English

大学共同利用機関法人 自然科学研究機構

基礎生物学研究所

  • Home
  • 研究部門・施設
  • > IBBPセンター:大学連携バイオバックアッププロジェクト Interuniversity Bio-Backup Project for Basic Biology (IBBP)
  • > IBBPセンター

研究部門・施設

IBBPセンター

スタッフ

Webサイト

研究の概要

大学連携バイオバックアッププロジェクト(Interuniversity Bio-Backup Project)は、生物遺伝資源をバックアップ保管することで、災害等に強い、安定した研究環境を整備・支援する事を目的として始まりました。中核拠点として基礎生物学研究所に設置されたIBBPセンターは、各地域の大学サテライト拠点(北海道大学、東北大学、東京大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学、九州大学)と協力して全国の研究者からお預かりした研究サンプルを保管しています。また、生物遺伝資源新規保存技術開発共同利用研究や Cryopreservation Conference 及び技術講習会の開催を通じて生物遺伝資源の長期保存技術開発の推進を目指しています。

大学連携バイオバックアッププロジェクト(IBBP)を推進するための中核拠点である基礎生物学研究所 IBBPセンターは、震度7クラスの地震にも耐えられる建物内に、気相および液相式液体窒素タンク、液体窒素自動供給システム、ドライキャビネットを備えた種子保存室、超低温フリーザー、生物遺伝資源管理データベースシステム(IBBP-easy)、保管環境常時監視システム、液体窒素製造装置など生物遺伝資源のバックアップ保管に必要な設備を備えている。停電によって万一IBBPセンターへの電気供給が断たれても、液体窒素タンク内に保管している生物遺伝資源は3週間程度、超低温状態で維持できる。また生物遺伝資源保存技術開発共同利用研究を推進するため、プログラムフリーザー、示差走査熱量計、真空冷却加熱ステージ付き蛍光顕微鏡、精子運動解析装置等の特殊機器も整備している。共同利用研究を進めることにより、多種多様な生物遺伝資源のバックアップ保管を可能とする技術開発を目指している。さらにCryopreservation Conferenceを開催することで、生物遺伝資源保存技術開発を目指す研究者と低温生物工学・化学・物理学研究者等の出会いの場を提供し、保存技術開発に関わる研究者ネットワークの構築を目指す。開発された保存技術を研究コミュニティーに広げる技術講習会の開催等により、保存技術開発からも研究をサポートしたいと考えている。

今後、次世代シーケンサーやゲノム編集技術により、非モデル生物を利用した研究が飛躍的に進展し、重要な生物遺伝資源は増加することが予想される。これらの新規モデル生物開発拠点と連携し、その長期保存技術開発を進めることで先端科学分野での安定した研究の推進と新分野の開拓を支援する。

2022_IBBP_fig1.jpg

バックアップ保管システム

IBBPは研究者が作製・使用している研究途上の生物遺伝資源のバップアップ保管を目的としており、他のバンク事業とは異なり第三者への配布は行わないため、保管委託された生物遺伝資源に関する情報が公開されることはない。またバックアップ保管費用については研究者の直接負担はない。現在IBBPセンターでは、液体窒素タンクではライブラリ、DNA・RNA、タンパク質(抗体)、微生物、培養細胞、植物組織、動物胚および精子、低温低湿を維持できる部屋では植物種子を保管している。2023年度は108件の新規、追加または延長申請を承認し、23件の一時返却や恒久返却、廃棄申請を受け付けた。2024年5月時点で、申請295件、容器合計37,928点の保管委託された生物遺伝資源サンプルをバックアップ保管している。

共同利用研究・研究集会と技術講習会

近年、生命科学分野では非モデル生物の研究が飛躍的に進展している。しかし安定した長期保存法が確立していない生物種も多く、それぞれの生物に適した超低温保存技術の開発が不可欠である。保存技術の開発にはガラス化や凍結のメカニズムの知識と、材料となる生物遺伝資源の生理・生態に関する知識が必要である。IBBPセンターでは新たな保存技術の開発と技術共有のため、長期保存技術に関する共同利用研究と研究集会、技術講習会を開催している。
 
2024_IBBP_table1.jpg

共同利用研究と技術講習会の成果

生物遺伝資源を保存するための新規保存技術開発共同利用研究では2023年度は4件を実施した(表参照)。オンサイトで開催された学会や研究会、また技術講習会(ラット生殖技術講習会)などの機会を通じて、保存技術開発推進や技術共有に寄与した。

2022_IBBP_fig2.jpg

研究室関連資料

写真