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大学共同利用機関法人 自然科学研究機構

基礎生物学研究所

研究部門・施設

研究者情報

太田 裕作
特任助教
太田 裕作
OHTA, Yusaku
所属:

研究の概要

細胞動態情報抽出の画像解析

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近年のバイオイメージング技術の発展により、ほとんどの生命現象は可視化され、画像データとして取得されてきている。生命システムの構成素子である細胞の個性や、細胞の集合体である個体の多様性を理解するためには、多種多様な画像から、いかに有益な情報を抽出し、それを定量的に表現するプロセスが必要となっている。本研究室では、顕微鏡から得られるビッグデータを研究者が容易に理解することができる、画像処理・解析手法の開発を目指している。

大規模画像データからの細胞動態情報の抽出・画像化

最近は蛍光イメージングで用いられるデータセットの大規模化が進んでいる。画像枚数で数万枚、容量で数百ギガバイトを超える大規模画像データでは、従来おこなわれてきた研究者の視覚と手作業に頼る分析の限界を超えており、新たな画像処理手法が必要である。そこで、大規模な画像データを数理計算処理を行うために独自に開発した解析プログラムを開発し、複数の細胞からのデータの自動計算と集計、解析結果の可視化の一連の処理を自動化を行なっている(図1)。
   

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図1. 大規模画像データの画像処理スキーム例

ゼブラフィッシュ初期胚の1細胞精度での全細胞機能解析技術の開発

原腸形成のような大規模な細胞集団の3次元リモデリングは、個々の細胞の分化・移動・変形が時間・空間的に精妙に協調することで達成される。そのため、個々の細胞の動態をイメージングデータから再構築、把握し、その集合体として、組織・個体を理解することは発生学の発展に必要不可欠なプロセスとなってきている。本研究では、細胞内動態情報と細胞位置情報の同時取得を行い、1細胞精度・全胚スケールでモルフォゲンと細胞運命の関係を明らかにする画像解析技術の開発をおこなっている。

研究の個別性に対応したオーダーメイドな画像解析支援

生命科学研究におけるバイオイメージングの重要性が増加の一途をたどる一方で、画像撮影技術の高度化が進み、研究者が画像情報を十分に活用することが困難となるジレンマが生じてきている。私は個々の研究の個別性に対応したオーダーメイドな画像解析支援をおこなっている(図2)。また、機械学習・深層学習を使った新しい画像解析手法を取り入れることによって、古典的な画像解析手法では困難であった画像解析を可能にし、新しい研究手法の提案も行いたいと考えている。

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図2. FRET画像の処理・解析プラグイン

研究室関連資料

参考文献

Yagi, H., Yagi-Utsumi, M., Honda, R., Ohta, Y., Saito, T., Nishio, M., Ninagawa, S., et al. (2020). Improved Secretion of Glycoproteins Using an N-Glycan-Restricted Passport Sequence Tag Recognized by Cargo Receptor. Nat. Commun. 11, 1368.
 
Ohta, Y., Furuta, T., Nagai, T., and Horikawa, K. (2018). Red fluorescent cAMP indicator with increased affinity and expanded dynamic range. Sci. Rep. 8, 1866.
 
Ohta, Y., Kamagata, T., Mukai, A., Takada, S., Nagai, T., and Horikawa, K. (2016). Nontrivial Effect of the Color-Exchange of a Donor/Acceptor Pair in the Engineering of Förster Resonance Energy Transfer (FRET)-Based Indicators. ACS Chem. Biol. 11, 1816-1822.

連絡先

E-mail: yohta@nibb.ac.jp