基礎生物学研究所
多彩な姿をもつアサガオは、日本で独自に発展してきた貴重なバイオリソースです。花や葉に現れる多様な形質を手がかりに、ゲノムの解読・比較・改変とトランスポゾンの研究を通じて、遺伝子の働きやその調節の仕組みを調べ、植物の形質が生じる分子基盤の理解を進めています。また、ナショナルバイオリソースプロジェクト・アサガオに参画し、遺伝資源の収集・保存・提供も行っています。

トランスポゾンが生み出したアサガオの多彩な形質
アサガオでは約200年前から、花や葉の色、模様、かたちなどに関わる多様な変異が出現してきた。それらの多くは、Tpn1ファミリーのトランスポゾン(動く遺伝子)による変異であることを明らかにしてきた。一方、系統間のゲノム多型は少なく、アサガオは比較的均一性の高いゲノムをもつ。この特徴を活用し、100以上の系統のゲノムを比較することで、変異の原因候補となる遺伝子を効率よく探索している。さらに、候補遺伝子をゲノム編集で改変し、原因遺伝子であることを検証するとともに、その機能解析を進めている。とくに、花や葉の形態や模様に関わる変異に着目し、多彩な形質が生じる仕組みの理解を目指している。
多彩な花の色は、色素の種類や量だけでなく、細胞内外のさまざまな要因によって決まる。アサガオの青色には、青く発色する色素の生合成と液胞内の酸性度調節が重要である。花色変異を利用し、色素の生合成や液胞機能について研究している。一方、アサガオの花の模様には、トランスポゾン、RNAサイレンシング、エピジェネティクスなどによる遺伝子発現制御が関わる。多様な模様を手がかりに、植物の遺伝子発現が調節される仕組みの理解を進めている。
基礎生物学研究所は、ナショナルバイオリソースプロジェクト・アサガオの分担機関として、代表機関である九州大学と連携して事業を進めている。本ユニットでは、269の花色に関わる変異系統と、ゲノム編集された系統を含む194の形質転換系統を保存している。さらに、17万5千のESTクローンとBACクローン、花弁特異的発現ベクター、アサガオのトランスポゾンから開発されたメダカのトランスジェネシス用ベクターなどを保存し、国内外の研究者に提供している。また、ゲノム情報や遺伝子発現情報を収集・整備し、データベースとして公開することで、これからのアサガオ研究を支える基盤づくりを進めている。

図1. アサガオの花弁における遺伝子発現データベース
開花3日前から開花後半日まで、3時間ごとに花弁で働く全遺伝子の発現量を解析し、データベース化した。例として、24時間周期で発現する2つの遺伝子を示している。
共同利用研究の募集:アサガオのバイオリソースを活用した研究を積極的にサポートします。共同利用研究についてもご相談ください。
星野 敦 助教 E-mail: hoshino@nibb.ac.jp
