2026.03.11 超階層生物学共同利用推進室セミナー
ISHpaletteを使ったシングルコピーmRNA検出入門:低コスト・スキマ時間で始めるFISH
恒岡 洋右 准教授(東邦大学医学部解剖学講座微細形態学分野)
2026年03月11日(水) 13:00 より 14:00 まで
明大寺地区1階 会議室(111)
亀井 保博(7535)
In situ hybridization(ISH)法は、細胞形態を保持したまま核酸の局在を可視化できる強力な手法である。ISH は核酸配列に基づいて標的を検出する手法であるため、遺伝子情報が十分に整備されていない非モデル生物にも適用しやすい。トランスクリプトーム解析が急速に進展する現在において、こうした柔軟性をもつ ISH は、遺伝子発現の空間情報を得るために欠かせない技術となっている。近年、RNAscopeなどに代表される技術革新により、mRNAの1コピーレベルでの高感度検出や複数遺伝子の同時検出が可能となり、世界的に広く利用されている。しかし、導入費用や消耗品のコストの高さが技術普及の障壁となっているほか、組織へのダメージが大きく、免疫染色など他の解析手法との併用が困難である点も課題として残る。一方、in situ hybridization chain reaction(in situ HCR)法は、ヘアピンDNAによるシグナル増幅により、mRNAを高感度に検出でき、迅速な多重染色を可能とする技術として急速に普及してきている。本セミナーでは、我々が開発したin situHCR法を基盤とする低コストかつ簡便な手法in situ shHCR法について紹介する。
in situ shHCR法では、ヘアピンDNA配列の最適化により試薬コストを大幅に削減しつつ、高いシグナルノイズ比の増幅を実現した。さらに、本改良法はプロトコルが簡便で作業時間が短いこと、他の染色法と容易に併用できること、動物種や組織の種類に依存せず、同一プロトコルで染色が可能であることなど、多くの利点を有している。本セミナーでは、in situ shHCR法の原理と技術的特徴について解説するとともに、実際の応用例を交えながら紹介する。In situ shHCR法は蛍光検出を目的として開発された技術であるが、近年の検討によって可能になった明視野染色や同一標本からの複数回のISH検出、シグナル増感法などへ応用範囲が拡大している。さらに、これらの検討から偶然生まれた自家蛍光消光技術についても紹介する。最後に、これらの技術が今後の生物学における遺伝子発現解析にもたらす展開と可能性についても議論したい。
本セミナーは、イベリアトゲイモリを用いた遺伝子発現イメージングの基礎技術~簡便なHCR法の技術講習会~(3/11-13)【代表広島大学林利憲・所内対応TSB推進室亀井保博】における「特別講演」を所内に公開するセミナーとなります。