2022.10.21 超階層生物学(TSB)センターセミナー
ヒレが手足に進化した遺伝的メカニズムの解明
中村 哲也 先生(米・ラトガース大学)
2022年10月21日(金) 13:00 より 14:30 まで
明大寺地区1階 第1セミナー室 (132-134) ZOOM配信あり
バイオイメージング解析室 上野直人(7570)
約3億8千年前、私たち脊椎動物の祖先である魚類はその形態を変化させ、陸上へ進出することに成功しました。しかし、魚類が四足動物へと進化した過程の中間動物はわずか数種類の化石が見つかっているだけであり、その進化メカニズムは多くが謎に包まれています。
私達のグループは、体の様々な器官の進化の中でも特に四肢の形態変化に着目して解析を進めています。わずか数種類の化石記録は、魚の鰭が徐々に形態を変え、四足動物の手足に進化した事を示していますが、その裏にある発生プロセスの変化についてはほとんど調べられていません。私達は今まで に、遺伝学、ジェノミクス、比較解剖学を組み合わせて魚の鰭から手足が進化したメカニズムを明らかにしてきました。これまでに得られたデータは、魚の鰭と鰭に付随する肩の骨は、従来の予想とは異なる細胞系譜から発生している事を示しています。
現在は、鰭と肩の骨に寄与する細胞群とその分化が、進化の過程でどの様に保存・変化してきたのか、その遺伝メカニズムの解析を行っています。
セミナーでは、特に転写因子であるHox遺伝子とGli遺伝子が手足の進化に果たした役割を議論できればと思います。
<セミナーは日本語で行います>