2009.07.09 ERATOセミナー
植物型低温ショックドメインタンパク質
中南 健太郎 理研PSC 植物ゲノム発現研究チーム
2009年07月09日(木) 16:00 より 17:00 まで
基生研明大寺地区・第1セミナー室(132-134)
ERATO長谷部分化全能性進化プロジェクト 榊原恵子 内線7600
低温ショックドメインタンパク質(Cold shock domain protein, CSP)はバクテリアから植物,動物にまで高度に保存されたDNA/RNA結合タンパク質である.その機能はRNAの安定高次構造を解除するRNAシャペロンであることが近年明らかになっている.つまりCSPは低温下でRNAのとる2次構造を解除し,低下したタンパク質合成を促進する機能を有する.CSPは様々なタンパク質の発現を転写後・翻訳レベルで制御していると考えられている.本研究ではシロイヌナズナを材料にCSPの生体内での機能を解析する目的で,植物の発達段階における詳細な発現解析を行った.その結果,CSPは茎頂,花芽等の細胞分裂の盛んな組織で発現が高く,花芽形成に関与することが示唆された.さらに胚発生段階においても高い発現が見られただけでなく,胚発生に関与するMADS-box転写因子であるAGL15によりCSPが制御されている可能性が明らかとなり,CSPが花芽形成だけでなく胚発達にも関与することが見いだされた.これらの結果より,CSPは低温ストレス応答だけでなく,植物の発達に何らかの機能を有することが示唆された.