2014.12.22 - 2014.12.23 微細藻類研究会2014
「微細藻類に関する多様な生態学的・生物学的知見の統合」
2014年12月22日(月) 13:00 より 2014年12月23日(火) 12:30 まで
岡崎コンファレンスセンター(愛知県岡崎市)
およそ30億年前に地球上に出現した微細藻類は、光合成によって多くの生命を支える炭水化物と酸素を産出することにより、現在の地球環境を作り上げてきました。現在でも様々な環境下にある水圏(海洋、湖沼、河川等)および土壌に広く分布していることはよく知られており、一次生産者として地球上の生命を維持する基盤となっていることは言うまでもありません。従って、地球生態系の全容とその進化を理解する上で、微細藻類の生理生態を調査し、更にそれらを裏付ける生命現象の分子メカニズムを解明していくことは必要不可欠であると言えます。しかしながら、これまではフィールドワーク主体の生態系に関する研究と、実験室内でのモデル生物種を用いた研究は、分断された状態で行われてきました。その結果、
・生態学的知見が集積されている種と生体メカニズムの解析が進んでいる種が一致しない。
・実験室内の研究はしばしば自然環境における知見を十分考慮しないまま進められる。
・生態系に見られる現象が生体メカニズムの最新の知見を取り入れずに説明される。
などの問題点が生じています。これは、フィールドの研究者の興味の対象と、実験室の研究者の興味の対象や研究の方向性等が異なっていたためであり、ある意味仕方の無いことです。ですが、微細藻類による地球規模の現象を分子レベルで理解するために、また細胞内の現象の生理学的、生態学的意義を理解するために、両分野の研究者間における情報交換と統合的な理解により、上記のような問題を解決していくことが必要な局面を迎えています。加えて、近年ではクロレラをはじめとする微細藻類の潜在的な力を利用する健康食品産業も発展してきており、また微細藻類のバイオ燃料への適用にも世界的な注目が集まっています。微細藻類の潜在能力を最大限に引き出し、社会生活の発展に貢献していくためにも、フィールド研究と実験室内研究をつないでいくことは必須であると言えます。
本研究会では、フィールド・実験室の各分野で微細藻類研究者が若手を中心に研究紹介を行い、最新の情報交換を行うことが最大の目的です。これにより、微細藻類研究の最前線および従前の研究の問題点を整理した後、今後の分野を越えた協力・共同研究を考案し、各分野の研究進展と、基礎生物学全体の飛躍的発展のきっかけにできればと思います。
研究提案代表者
基礎生物学研究所 大西紀和
瀬戸内海区水産研究所 紫加田知幸