2009.01.07 基生研セミナー
多ニューロン活動の可視化とシステム薬理学
池谷 裕二(イケガヤ ユウジ) (東京大学大学院薬学系研究科薬品作用学教室)
2009年01月07日(水) 15:00 より 16:30 まで
明大寺地区1階会議室(111)
分子細胞生物学研究部門 鈴木邦律 内線7518 kuninori@nibb.ac.jp
脳は多彩なニューロンの集合体です。単一のニューロンの解析や、あるいは逆に、ニューロンの個性を無視したバルク反応の解析でも、もちろん有用な知見をたらしますが、それだけでは回路機能を深く追求することは難しいと私は考えています。
多ニューロンカルシウム画像法(fMCI)は、カルシウム蛍光指示薬を脳標本にバルク負荷し、各ニューロンの活動電位に伴って生じる一過性カルシウム上昇を蛍光シグナルとして捉える手法です。この原理自体は20年ほど前に提唱されましたが、光学システムの進歩によって、近年ようやく安定な大規模記録が可能となりました。これによって膨大なニューロンからなる神経ネットワークの活動パターンを単細胞の解像度で解析することができます。当日はfMCIを用いて新学問領域「システム薬理学」の開拓を目指す我々の研究室の最近の成果を紹介したいと思います。