2004.06.24 基生研セミナー
細胞移動時の極性形成とコフィリンの活性制御
水野健作 (東北大学大学院生命科学研究科・教授)
2004年06月24日(木) 16:00 より 17:30 まで
明大寺地区1階会議室(111)
形態形成研究部門 上野 直人 内線7570 nueno@nibb.ac.jp
移動している細胞では、アクチン細胞骨格の再編成により、前方、後方の極性が形成される。前方ではラメリポディアが形成され膜が伸長し、後方ではストレスファイバーの形成により膜の引き込みが起こる。このような細胞移動時のアクチン骨格の再構築や極性形成、膜の突出などを時間的・空間的に制御する機構については不明な点が多い。コフィリンはアクチン脱重合・切断因子としてアクチン骨格の再編成の最重要因子の一つであり、移動細胞の先導端における仮足の形成や膜の突出にも重要な役割を果たしている。コフィリンはLIMキナーゼによりリン酸化・不活性化され、ホスファターゼSlingshotにより脱リン酸化・再活性化される。最近、私達はSlingshotが移動細胞の先導端でアクチン線維によって活性化されることを見出した。コフィリンのリン酸化・脱リン酸化による活性制御を中心に、細胞が外界のシグナルに応答してアクチン骨格を再編成し、極性を獲得し、方向性を持った運動(ケモタキシス)が誘導される際のシグナル伝達経路について紹介する。