2007.10.25 所長招聘セミナー
運動系神経回路形成の分子機構:“ミッフィー”変異マウスに学ぶ エフリン–Ephシグナル伝達
岩里 琢治 (理化学研究所脳科学総合研究センター(BSI) 副チームリーダー)
2007年10月25日(木) 15:00 より 17:00 まで
明大寺地区職員会館2階大会議室
脳生物学研究部門 山森哲雄 内線7615
エフリン–Ephシグナルは神経回路形成において主要な役割を担うが, その下流の機構はほとんど知られていない。われわれは, ウサギのように両足をそろえて歩く新規突然変異マウス“ミッフィー”を発見し, ミッフィーでは, 運動を制御する2種類の中枢神経回路が脊髄正中線を越えて左右混線していることを見つけた。さらに, 順遺伝学および逆遺伝学的手法を用いて, αキメリン欠損がミッフィー変異の原因であることを明らかにした。これらの発見が端緒となり, エフリン–Ephの“意外な”シグナル伝達機構が明らかになった。
文献:Iwasato, T., Katoh, H., Nishimaru, H., Ishikawa, Y., Inoue, H., Saito, Y.M., Ando, R., Iwama, M., Takahashi, R., Negishi, M.& Itohara, S. Rac-GAP α-chimerin regulates motor-circuit formation as a key mediator of ephrinB3/EphA4 forward signaling. Cell 130, 742-753. (2007).