2025.05.21 部門セミナー
L-glucose動態解明が拓く新たな癌治療と生命の世界
石沢武彰 先生(大阪公立大学大学院 医学研究科 肝胆膵外科学 教授)
2025年05月21日(水) 16:00 より 17:00 まで
明大寺キャンパス 基礎生物学研究所 1階会議室(111)
基生研・環境光生物学研究部門 小杉真貴子(7517)
2007年、肝機能検査用の試薬として用いられていたindocyanine green(ICG)が肝臓がんに滞留することを発見した私は、この現象を「手術中に腫瘍の位置を蛍光イメージングする技術」に発展させ、臨床応用してきました。現在はICGの近赤外蛍光を描出する画像装置が多数市販され、「肉眼で見えない構造や機能を可視化して安全確実な手術を行う技術=蛍光ガイド手術」が世界中に広まっています。
一方、様々な癌を特異的に蛍光標識するための蛍光プローブの開発も行ってきました。その中で出会ったのが、弘前大学の山田勝也先生です。山田先生は、「天然には存在しないと考えらえているL-glucoseを、一部の腫瘍細胞が取り込み代謝できる可能性」を発見しました。同時に、土壌中にL-glucoseを代謝できる微生物が存在すること、天然にL-glucosidaseが存在することが国内の研究者から報告されています。
このような背景から、L-glucoseの動態解明を目指す研究者が専門領域を越えて集結する「L-glucose研究会」が発足しました。今回、特に医療応用に焦点を当てて、本研究会の取り組みをご紹介します。