2015.10.23 部門公開セミナー
グーデア科胎生魚Xenotoca eiseniを用いて、非哺乳類で獲得された胎生形質を探る
飯田 敦夫(京都大学 再生医科学研究所)
2015年10月23日(金) 15:00 より 16:30 まで
山手3号館2階西 共通セミナー室
分子環境生物学 井口 泰泉(5235)
脊椎動物の繁殖様式は「哺乳類は胎生、それ以外は卵生」と大まかに認識されていて、それは概ね間違いではありません。しかし何事にも例外はあります。カモノハシは哺乳類でも卵を産みますし、魚類や爬虫類にも次世代を赤ちゃんで出産する種が少なからず存在します。
私は、メキシコ原産のグーデア科胎生魚という、言わば“例外的な魚”を研究材料としています。グーデア科の一種であるXenotoca eiseniは、交尾により体内受精して妊娠します。母体内で成長する胎仔は、腹部からリボン状の構造物を伸ばして、母親由来の栄養分を吸収します。“へその緒”を連想させますが、へその緒“ではない”、不思議な構造物です。これはグーデア科に独自の胎生の仕組みです。
胎生魚はグーデア科だけでなく、ウミタナゴ科やカワメンタイ科など、複数の種にまたがって分布しています。彼ら進化的に独立して出現し、それぞれが独自の胎生機構を保持していると考えられています。本セミナーでは、そんな胎生魚類の不思議さや面白さを紹介したいと考えています。