2012.07.13 部門公開セミナー
イセハナビ属植物を用いた周期的一斉開花植物の進化研究
柿嶋 聡 (静岡大学・創造科学技術大学院)
2012年07月13日(金) 13:30 より 14:30 まで
明大寺地区1階会議室 (111)
生物進化研究部門 長谷部 光泰(7546)
周期的一斉開花植物とは、種あるいは集団が特定の周期で一斉に開花し、枯死する植物であり、イネ科のタケ類が有名である。しかし、開花周期が長い種類が多く、その進化史は全く明らかとなっていない。そこで、開花周期が比較的短い周期的一斉開花植物を含むキツネノマゴ科イセハナビ属Strobilanthesに着目し、研究を行なってきた。沖縄本島で6年周期の一斉開花をするコダチスズムシソウS. flexicaulisについて、一斉開花の維持機構を検証するとともに、分子系統解析を行ない、周期的一斉開花が比較的最近沖縄本島で進化したことを明らかにした。また、遺伝的な解析から、同所的に生育するオキナワスズムシソウS. tashiroiとの間で非対称な交雑をしていることが示唆された。交雑シミュレーション解析の結果、その要因はコダチスズムシソウの周期的一斉開花による開花数の年変動であると推定された。このことは周期的一斉開花という生活史が他の種との間の生殖隔離にも影響を与えていることを示している。
※セミナーは英語で行われます。