疋田 貴俊　（京都大学大学院医学研究科メディカルイノベーションセンター）

2012年01月12日(木) 13:30 より 15:00 まで

明大寺地区１階会議室

脳生物学研究部門 山森 哲雄 (7615)

大脳基底核神経回路には線条体から黒質網様部に至る経路に直接路と間接路の２つの主要回路があるが、それぞれの役割と制御機構は明らかでなかった。そこで、生体において直接路と間接路をそれぞれ特異的にかつ可逆的に神経伝達遮断を行う可逆的神経伝達阻止法を開発した(1)。本手法を用いて、報酬・忌避による意思決定におけるドーパミンを介した大脳基底核神経回路機構を解析している。さらに、直接路と間接路の情報が入力される黒質網様部に着目して、分子機構を解析した(2)。以上の結果から大脳基底核神経回路のスイッチングと情報統合機構を考察する。

参考文献
1.  Hikida T, Kimura K, Wada N, Funabiki K, Nakanishi S. Distinct roles of synaptic transmission in direct and indirect striatal pathways to reward and aversive behavior.
Neuron, 66 (6): 896-907, 2010.
2. Kimura K, Hikida T, Yawata S, Yamaguchi T, Nakanishi S. Pathway-specific engagement of ephrinA5-EphA4/EphA5 system of the substantia nigra pars reticulata in cocaine-induced responses.　 Proc Natl Acad Sci U S A, 108 (24): 9981-9986, 2011.