2011.07.05 部門公開セミナー
網膜の自己組織化に見る「創発」: 多細胞集団の不思議な挙動のシステム解析
笹井 芳樹 (理化学研究所 発生・再生科学総合研究センターグループディレクター;生理学研究所客員教授)
2011年07月05日(火) 16:00 より 18:00 まで
山手地区3号館2階大会議室
初期発生研究部門 藤森 俊彦 内線5860
近年、多能性幹細胞からの特定の細胞腫への分化誘導の技術は、発生学の分子機構の解明に駆動される形で、飛躍的に進展した。 今、こうした個々の細胞分化の制御を越えて、細胞集団の分化・パターン化・組織構築を試験管内で制御して、特定の複合組織の 立体形成を研究する段階へと移りつつある。本セミナーでは、ES細胞の立体培養系で見られる、大脳皮質や網膜などの層構造を持った組織の自己組織化現象について紹介する。3次元長期ライブイメージング法を用いた細胞挙動や組織変形の解析や、AFMや3次元レーザー Ablation法を用いた力学動態解析の試みも紹介し、自己組織化の原理の元ととなる組織間相互作用の局所ルールのツボをあぶり出すことを通して、細胞集団ならではの「創発」について議論をしたい。