2009.04.17 部門公開セミナー
低地から高地へ:イブキ・ハクサンハタザオの適応的分化とゲノム基盤
森長 真一 (九州大学 大学院理学研究院 生物科学部門)
2009年04月17日(金) 16:00 より 17:30 まで
明大寺地区 第一セミナー室(132室)
生物進化研究部門 長谷部 光泰 内線7546
生物は如何にして分布を広げ、新たな環境に適応していくのか?近年のゲノム科学の発展は、遺伝子機能の進化から野生生物の環境適応を紐解く事を可能にしてきた。そこで現在、シロイヌナズナに近縁なハクサンハタザオとその派生系統であるイブキハタザオを対象に、低地から高地への分布拡大と環境適応の解明に取り組んでいる。
伊吹山は標高1377mであるにも関わらず山頂付近には亜高山草原が広がっており、上部にはイブキハタザオが下部にはハクサンハタザオが生育している。野外調査を行なったところ、いくつかの表現型が標高に沿って緩やかに変異し、山の上下間で遺伝子流動が制限されていることがわかった。そこで、シロイヌナズナで開発されたマイクロアレイを用いて、イブキハタザオとハクサンハタザオの野生集団のゲノム多型解析を行なった。発表では、分化の見られたゲノム領域の機能について触れながら、分布拡大と環境適応のゲノム基盤に関して議論したい。