2002.01.31 部門公開セミナー
AP複合体による細胞内蛋白質輸送制御
大野博司 (金沢大学がん研究所分子薬理学研究分野・教授)
2002年01月31日(木) 16:00 より 17:30 まで
基礎生物学研究所 4階情報研修室
細胞内エネルギー変換機構 大隅(内線7515)、吉森(内線7519)
演者:大野博司教授(金沢大学がん研究所分子薬理学研究分野)
細胞内膜系のオルガネラ間を結ぶ小胞輸送は、蛋白質輸送の特異性と多様性を発達させることにより、それぞれのオルガネラが相互に密接な連携を保ちつつ高度に分化した特異性をも維持するという、一見矛盾する命題を可能にしている。小胞輸送のうち、ゴルジ体以降の分泌系およびエンドサイトーシス系は、主としてクラスリンおよびAP複合体からなる輸送小胞によって制御されている。クラスリンは小胞の主要な被覆成分として小胞形成に寄与するのに対し、AP複合体はその多様性により輸送特異性の分子基盤をなす。現在までに全身のほぼ全ての細胞に発現する4種類と、非常に限られた分布を示す2種類の、計6種類のAP複合体が確認されている。今回のセミナーでは我々のデータを中心にAP複合体による蛋白質の選別輸送制御機構に関して論じたい。