ゲノムインフォマティクス・トレーニングコース 2017 春 開催報告

ゲノムインフォマティクス・トレーニングコース 2017 春
「RNA-seq 入門 – NGS の基礎から de novo 解析まで」
開催報告

 「RNA-seq入門」は、生物情報学を専門としない生命科学研究者を対象に、次世代シークエンサー(NGS)を使ったトランスクリプトーム解析(RNA-seq)をどのように実験デザインし、どのように膨大な遺伝子発現データから生物学的な情報を抽出するのか、その基礎的技術と考え方を身に付けることを目指したコースです。NGS のフォーマットの理解などの基礎的事項から、ゲノム情報のない生物種でトランスクリプトーム解析を可能にする de novo RNA-seq 解析などの発展的内容までを、講義とコンピュータを用いた演習を組み合わせて行いました。今回は、一般化線形モデルや Gene Ontology 解析のトピックを追加し、コース内容もグレードアップしました。 過去最高となる 85 名もの応募があり、選考の結果、準備編に 22 名、実践編に 21 名参加いただきました。受講者からは「これまでに試した NGS 関連の勉強の中では、一番ためになった。」などの感想をいただきました。また本コースのテキストを大学院の授業に使いたいという要望もいただいています。ゲノムインフォマティクストレーニングコースを基生研生物機能解析センターの事業の中核のひとつと位置づけ、さらに質の高いコースをコミュニティに提供していきたいと思います。

(参考:コーススケジュール)
「準備編:UNIX・R・NGS の基本」 2017 年 2 月 23 日(木)10:00 ~ 24 日(金)17:30
・UNIX 基礎
・R 入門
・NGS データ解析入門
・テキスト処理
・シェルスクリプト
・演習

「実践編:RNA-seq 解析パイプライン」 2017 年 3 月 9 日(木)10:00 ~ 10 日(金)17:30
・RNA-seq 入門 概論
・NGS 基本データフォーマット
・NGS 基本ツール:Bowtie2、samtools、IGV など
・統計学入門
・RNA-seq 基礎、ゲノムベース、トランスクリプトベース
・多変量解析
・機能アノテーションと Gene Ontology 解析 [ New!! ]
・実践演習 まとめ

(参考リンク)
・研究所のトレーニングコース公式ページ:http://www.nibb.ac.jp/training/2017-1st/
・過去のトレーニングコース一覧:http://www.nibb.ac.jp/training/

(文責:重信)

基生研セミナー(伊藤啓先生)を開催しました

昨日、重信秀治特任准教授が世話人となり、基生研セミナーを開催しました。

タイトル:「研究者コミュニティのための共同プロジェクト」
演者:伊藤 啓 先生

詳しくはこちらをご覧ください。

 伊藤先生は、ショウジョウバエやブレインサイエンスの分野で、国内外問わず数々の共同プロジェクトを立ち上げ、研究コミュニティを築き上げて来られた方です。ご講演では、共同プロジェクトを戦略的に運営するノウハウを聞くことができ、とても貴重なセミナーでした。満員となった会場では、質疑応答も活発に行われました。

ゲノムインフォマティクス・トレーニングコース 2017 夏 申込開始

基礎生物学研究所は、ゲノムインフォマティクス・トレーニングコースを開催します。

  • 大規模な生物データ解析のための UNIX 入門 : 2017 年 6 月 22 – 23 日

詳細は下記 URL をご覧ください。サイドメニューのバナーからも同 URL へアクセス可能です。

http://www.nibb.ac.jp/training/2017-2nd/(申込受付中) ※ 申込みは終了しました

新年度にあたって

基礎生物学研究所に新しくいらっしゃった研究者や学生の皆さんへ

 生物機能解析センター・生物機能情報分析室は所謂「共通機器室」です。所員の皆さんは、当センターで管理運用している多様な分析機器を利用することができます。皆さんのご研究に有効活用してください。また、単なる機器利用のみならず、遺伝子・タンパク質解析に関する相談も承ります。必要に応じて所内共同研究プロジェクトとして進めることも可能です。1名の教員(特任准教授)、4名の技術職員、4名の支援員が皆さんの研究を強力にサポートします。

全国の研究者の皆さんへ

 基生研は大学共同利用機関として、大学・研究機関などに所属する所外の研究者に対し、基生研内の施設や設備を開放し、また、これらの機器を利用して行う共同利用研究課題を随時公募しています。われわれ生物機能解析センター・生物機能情報分析室は、共同利用研究の場を提供する中核拠点であり、所定の手続きを行うことにより、多様な機器やスタッフの高度な分析ノウハウを、所外の研究者の皆様にもご活用頂けます。特に、次世代シーケンシングと質量分析に関連する研究は「統合ゲノミクス共同利用研究」という緊密な共同研究として実施する制度があります。

                       文責: 重信秀治(特任准教授)

                   お問い合わせ先: cai ‘AT MARK’ nibb.ac.jp
( ‘at mark’ を @ に変換して下さい)

次世代シーケンシングテクニカルセミナーを開催しました

生物機能情報分析室は 3 月 29 日(水)に次世代シーケンシングテクニカルセミナーを開催しました。詳しくはこちら

このセミナーは生物機能情報分析室に 10x Genomics 社 Chromium システムが導入されたことをきっかけに開催いたしました。

生物機能情報分析室の重信秀治 特任准教授から挨拶があった後、山口勝司 技術職員から私たちが日々挑戦している極長鎖 DNA シーケンシングの技術開発についての発表がありました。その後、新分野創成センターブレインサイエンス研究分野 郷康広 特任准教授にシングルセルトランスクリプトーム解析について発表していただきました。最後に、株式会社スクラムの掛谷知志様より 10x Genomics 社 Chromium システムの紹介がありました。

約 30 名の方にご参加いただきました。

10x Genomics 社 Chromium システムに、ご興味のある方は生物機能情報分析室までお問い合わせください。

テクニカルセミナー:生物機能情報分析室 次世代シーケンシング テクニカルセミナーのお知らせ

 生物機能情報分析室では、次世代 DNA シーケンシング技術をベースとした統合ゲノミクス共同研究を遂行しています。この度、研究推進において強力な武器になる 10x Genomics 社の Chromium™️ が導入されました。そこで下記内容で機器の紹介・説明を含む、テクニカルセミナーを開催いたします。

開催日時:2017 年 3 月 29 日(水)13:10 ~ 15 :10

会場:基礎生物学研究所・会議室(111 – 112 室)

Chromium とは:10X Genomics 社 Chromium システムは、分子バーコードとマイクロエマルジョン作成技術を利用するイルミナ社 NGS 用の前処理装置です。シングルセルから NGS ライブラリーを調製する際に、細胞毎に異なる分子バーコードを付加することで、数千〜数万細胞のシングルセル RNA-seq を実現しました。集団を構成する個々の細胞の発現プロファイルの解析だけでなく、割合が 1 %以下のレアな細胞の解析も可能です。さらにゲノム/エクソン解析では、ショートリードの情報から、ハプロタイプ毎に分けられた切れ目の無い配列情報(phase block)を得ることができ、数 10 MB の phase block から、ゲノム scaffold の super scaffolding や、これまで難しかった大きな構造変異(欠失、挿入、転座、融合、など)を解析できます。本セミナーでは、技術的な説明とあわせて解析例をご紹介させて頂きます。

プログラム:

13:10-13:15  挨拶

重信秀治

13:15-13:35   「極長鎖DNAシーケンシングに向けての現状と挑戦」

山口勝司

13:35-13:55   「シングルセルトランスクリプトーム解析の現状」

新分野創成センター ブレインサイエンス研究分野 特任准教授 郷康広

13:55-14:55   「10x Genomics社Chromiumシステムのご紹介」

株式会社スクラム 掛谷知志

14:55-15:10  質疑応答

 

本機器は新学術領域研究「個性創発脳」プロジェクトにより郷康広先生からご導入いただきました。