ゲノムインフォマティクス・トレーニングコース 2017 夏 申込開始

基礎生物学研究所は、ゲノムインフォマティクス・トレーニングコースを開催します。

  • 大規模な生物データ解析のための UNIX 入門 : 2017 年 6 月 22 – 23 日

詳細は下記 URL をご覧ください。サイドメニューのバナーからも同 URL へアクセス可能です。

http://www.nibb.ac.jp/training/2017-2nd/(申込受付中) ※ 申込みは終了しました

新年度にあたって

基礎生物学研究所に新しくいらっしゃった研究者や学生の皆さんへ

 生物機能解析センター・生物機能情報分析室は所謂「共通機器室」です。所員の皆さんは、当センターで管理運用している多様な分析機器を利用することができます。皆さんのご研究に有効活用してください。また、単なる機器利用のみならず、遺伝子・タンパク質解析に関する相談も承ります。必要に応じて所内共同研究プロジェクトとして進めることも可能です。1名の教員(特任准教授)、4名の技術職員、4名の支援員が皆さんの研究を強力にサポートします。

全国の研究者の皆さんへ

 基生研は大学共同利用機関として、大学・研究機関などに所属する所外の研究者に対し、基生研内の施設や設備を開放し、また、これらの機器を利用して行う共同利用研究課題を随時公募しています。われわれ生物機能解析センター・生物機能情報分析室は、共同利用研究の場を提供する中核拠点であり、所定の手続きを行うことにより、多様な機器やスタッフの高度な分析ノウハウを、所外の研究者の皆様にもご活用頂けます。特に、次世代シーケンシングと質量分析に関連する研究は「統合ゲノミクス共同利用研究」という緊密な共同研究として実施する制度があります。

                       文責: 重信秀治(特任准教授)

                   お問い合わせ先: cai ‘AT MARK’ nibb.ac.jp
( ‘at mark’ を @ に変換して下さい)

次世代シーケンシングテクニカルセミナーを開催しました

生物機能情報分析室は 3 月 29 日(水)に次世代シーケンシングテクニカルセミナーを開催しました。詳しくはこちら

このセミナーは生物機能情報分析室に 10x Genomics 社 Chromium システムが導入されたことをきっかけに開催いたしました。

生物機能情報分析室の重信秀治 特任准教授から挨拶があった後、山口勝司 技術職員から私たちが日々挑戦している極長鎖 DNA シーケンシングの技術開発についての発表がありました。その後、新分野創成センターブレインサイエンス研究分野 郷康広 特任准教授にシングルセルトランスクリプトーム解析について発表していただきました。最後に、株式会社スクラムの掛谷知志様より 10x Genomics 社 Chromium システムの紹介がありました。

約 30 名の方にご参加いただきました。

10x Genomics 社 Chromium システムに、ご興味のある方は生物機能情報分析室までお問い合わせください。

テクニカルセミナー:生物機能情報分析室 次世代シーケンシング テクニカルセミナーのお知らせ

 生物機能情報分析室では、次世代 DNA シーケンシング技術をベースとした統合ゲノミクス共同研究を遂行しています。この度、研究推進において強力な武器になる 10x Genomics 社の Chromium™️ が導入されました。そこで下記内容で機器の紹介・説明を含む、テクニカルセミナーを開催いたします。

開催日時:2017 年 3 月 29 日(水)13:10 ~ 15 :10

会場:基礎生物学研究所・会議室(111 – 112 室)

Chromium とは:10X Genomics 社 Chromium システムは、分子バーコードとマイクロエマルジョン作成技術を利用するイルミナ社 NGS 用の前処理装置です。シングルセルから NGS ライブラリーを調製する際に、細胞毎に異なる分子バーコードを付加することで、数千〜数万細胞のシングルセル RNA-seq を実現しました。集団を構成する個々の細胞の発現プロファイルの解析だけでなく、割合が 1 %以下のレアな細胞の解析も可能です。さらにゲノム/エクソン解析では、ショートリードの情報から、ハプロタイプ毎に分けられた切れ目の無い配列情報(phase block)を得ることができ、数 10 MB の phase block から、ゲノム scaffold の super scaffolding や、これまで難しかった大きな構造変異(欠失、挿入、転座、融合、など)を解析できます。本セミナーでは、技術的な説明とあわせて解析例をご紹介させて頂きます。

プログラム:

13:10-13:15  挨拶

重信秀治

13:15-13:35   「極長鎖DNAシーケンシングに向けての現状と挑戦」

山口勝司

13:35-13:55   「シングルセルトランスクリプトーム解析の現状」

新分野創成センター ブレインサイエンス研究分野 特任准教授 郷康広

13:55-14:55   「10x Genomics社Chromiumシステムのご紹介」

株式会社スクラム 掛谷知志

14:55-15:10  質疑応答

 

本機器は新学術領域研究「個性創発脳」プロジェクトにより郷康広先生からご導入いただきました。

ゲノムインフォマティクス・トレーニングコース 2017 春 終了

ゲノムインフォマティクス・トレーニングコース 2017 春「RNA-seq 入門 – NGS の基礎から de novo 解析まで – 」は無事に終了しました。

以下のような日程で開催しました。

  • 2017.2.23 – 24 準備編:UNIX・R・NGS の基本
  • 2017.3.9 – 10 実践編:RNA-seq 解析パイプライン

全体で 85 名の応募があり、準備編 22 名、実践編 21 名の方に受講いただきました。
ご応募、そしてご受講いただいた方々、ありがとうございました。

以下、基礎生物学研究所 HP のトレーニングコース開催リストのページもご参考ください。

来年度のコースに関しては 4 月以降にご案内する予定です。
今回残念ながら受講することができなかった方も是非ご応募ください。

アスパラガスの雌雄を分ける性決定遺伝子に関する共同利用研究の成果が Genes to Cells 誌に掲載されました

概要

 奈良先端科学技術大学院大学(学長:小笠原直毅)バイオサイエンス研究科の高山誠司客員教授(現東京大学)、村瀬浩司助教らの研究グループは基礎生物学研究所、徳島大学、東北大学、九州大学との共同研究により、全ゲノム(遺伝情報)や遺伝子の発現を網羅的に解析する手法を用いて、アスパラガスの雌雄を決める性決定遺伝子を世界で初めて発見しました。
 植物の多くは 1 つの花におしべとめしべをもつ両性花ですが、イチョウ、キウイフルーツ、アスパラガスなどは雄花のみをつける雄株と雌花のみをつける雌株に分かれます。これらの植物の性別はほ乳類と同様に性染色体によって制御されており、アスパラガスでは性染色体が XY のとき雄株、XX のとき雌株となります。アスパラガスの花は発生初期では雄花と雌花で違いはありませんが、発達するに従い雄花ではめしべの、雌花ではおしべの発達が停止します。そのため、Y 染色体上にはおしべの発達を促進する遺伝子とめしべの発達を抑制する 2 つの性決定遺伝子が存在すると予想されていました。
 本研究では MSE1 と名付けた転写因子の機能があるタンパク質の DNA を持つ遺伝子がおしべの発達を促進するアスパラガスの性決定遺伝子であることを明らかにしました。この成果はアスパラガスの性別を決定する鍵因子を明らかにしただけでなく、人為的に植物を雌雄があるタイプに改変したり、雌雄をあわせ持つ両性花に戻したりする技術へ発展する可能性があり、植物の育種に応用されることが期待されます。
 この成果は日本分子生物学会および米国の John Wiley & Sons 社が出版する Genes to Cells 誌 1 月号( 1 月 13 日発行)に掲載されました。

生物機能情報分析室チームの貢献

 本研究は基礎生物学研究所の共同利用研究の一つである、「統合ゲノミクス共同利用研究」の課題として実施されました。当研究所の生物機能解析センター生物機能情報分析室(重信秀治特任准教授、山口勝司技術職員ら)のチームは、次世代シーケンシング技術を駆使し、アスパラガスのゲノム解析に貢献しました。
 アスパラガスのゲノム解析は難易度が高いものでした。何度か失敗しつつ、基生研チームは、奈良先端大のチームとともに試行錯誤の末、若い先端葉組織から質の高い DNA を抽出することに成功し、さらに、シーケンスライブラリー作製の過程では DNA 損傷修復するなどの工夫を施しました。完成したライブラリーを、特徴の異なる 2 つのタイプの次世代 DNA シーケンサー(イルミナ社 HiSeq プラットフォームと PacificBio 社 PacBioRSII プラットフォーム)でシーケンスし、それらのデータを組み合わせて、アスパラガスゲノムの性決定遺伝子の候補領域近傍を集中的に解析しました。その結果、性決定遺伝子の同定と塩基配列の決定に成功しました。

詳しくは下記の論文や各機関のプレスリリースのページをご覧ください。

論文情報

  • 論文タイトル:MYB transcription factor gene involved in sex determination in Asparagus officinalis(和訳:アスパラガスの性決定に関わるMYB転写因子)
  • 著者:Kohji Murase1, Shuji Shigenobu2, Sota Fujii1, Kazuki Ueda1, Takanori Murata1,Ai Sakamoto1, Yuko Wada1, Katsushi Yamaguchi2, Yuriko Osakabe3, Keishi Osakabe3,Akira Kanno4, Yukio Ozaki5 and Seiji Takayama1,6
  • 所属:1奈良先端科学技術大学院大学,2基礎生物学研究所3徳島大学、4東北大学,5九州大学,6東京大学
  • DOI: 10.1111/gtc.12453
  • 掲載誌:Genes to Cells( 1 月号)

プレスリリース

メディアへの掲載情報

  • 2017.1.25 日経産業新聞
    重信秀治特任准教授らによる「アスパラガスの雌雄を分ける性決定遺伝子を世界で初めて発見 植物の性の進化、ダーウィンの予測を裏付け ~有用な作物の育種に期待~」に関する研究成果について、1 月 25 日の日経産業新聞にて紹介されました。
  • 2017.1.26 日刊工業新聞
    重信秀治特任准教授らによる「アスパラガスの雌雄を分ける性決定遺伝子を世界で初めて発見 植物の性の進化、ダーウィンの予測を裏付け ~有用な作物の育種に期待~」に関する研究成果について、1 月 26 日の日刊工業新聞にて紹介されました。

ゲノムインフォマティクス・トレーニングコース 2016 冬 終了

12月1日に開催したゲノムインフォマティクス・トレーニングコース 2016 冬「 BLAST 自由自在 ~ 配列解析の極意をマスターする」は無事に終了しました。ご参加いただいた方々に感謝申し上げます。

GITC2016winter_01

 

GITC2016winter_02

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今後のトレーニングコースの予定に関しては下記ページをご確認ください。

今後のゲノムインフォマティクス・トレーニングコースの予定について