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シンポジウム

The 4th NIBB-MPIPZ-TLL Symposium "Arabidopsis and Emerging Model Systems"

Organizers Masayoshi Kawaguchi(NIBB)
Yoshikatsu Matsubayashi (NIBB)
Kiyoshi Tatematsu (NIBB)
Mitsuyasu Hasebe (NIBB)
Mikio Nishimura (NIBB)
The 4th NIBB-MPIPZ-TLL Symposium
Venue Okazaki Conference Center, Okazaki, Japan
Date Nov. 19-21, 2012
Link Symposium Website (http://www.nibb.ac.jp/joint2012/)

 基礎生物学研究所は植物科学分野での学術交流と研究推進を目的として、第4回目となるNIBB-MPIPZ-TLL合同シンポジウムを2012年11月19日(月)~ 21日(水)、愛知県岡崎市・岡崎コンファレンスセンターにて開催した。この合同シンポジウムは、基礎生物学研究所と学術協定を結んだマックス・プランク植物育種学研究所(MPIPZ)と2009年にドイツのケルン市で開催したのが始まりであり、続いて学術協定を結んだシンガポールのテマセック生命科学研究所(TLL)が加わり、毎年3研究所の持ち回りでシンポジウムを開催している。今回設定されたテーマは“Arabidopsis and Emerging Model Systems”であった。シロイヌナズナ(Arabidopsis)は言わずと知れた優れたモデル植物であり、発生や生理、環境応答等の分子メカニズムの解明において中心的な役割を果たして来た。今回のシンポジウムにはシロイヌナズナの形態形成を中心に国内外で第一線の研究をする研究者を多数招聘し、最新の成果を発表するとともに熱心な議論を繰り広げた。岡崎は奇しくも日本におけるシロイヌナズナコミュニティーの発祥地として知られている。1990年とその翌年に、岡田清孝所長(当時は志村令郎研の助教授)が第1回と2回のワークショップを岡崎職員会館で企画・開催し、そこから日本のシロイヌナズナ研究は大きく進展したのである。
 しかし植物の世界は動物や微生物の世界と同様、実に多様である。シロイヌナズナでは探求・解明できない生命現象が数多く残されており、そもそもシロイヌナズナで得られた知見がどこまで植物界で普遍性をもっているかも不明である。また近年、次世代シーケンサー技術や遺伝子解析技術の革命により、新たなモデル系が次々と生み出されている状況にある。そこで本シンポジウムでは、ゼニゴケや藻類など新しいモデル植物や実験系を使って精力的に研究をしている研究者にも参加をお願いし、新旧相互の交流を深めた。
 今年は植物分野を四半世紀にわたって牽引してきた岡田所長の任期の最終年度にあたる。そこでシンポジウムでは、シロイヌナズナコミュニティー形成に携わり植物分野を牽引してきた研究者に加え、基生研にゆかりのある研究者や国際的に活躍する女性研究者にも参加いただき、シンポジウムを盛り上げた。参加者総数186名。若手研究者を中心としたポスターの発表数は67題。熱心な質疑応答の絶えない素晴らしいシンポジウムとなった。

本シンポジウムオーガナイザー 川口 正代司 (基礎生物学研究所)

 

 

 基礎生物学研究所は、2009年4月にドイツのマックス・プランク植物育種学研究所(MPIPZ)と、次いで2010年3月にシンガポールのテマセク生命科学研究所(TLL)とそれぞれ研究教育に関する協定を結び連携を深めてきた。2009年より毎年持ち回りで合同シンポジウムを開催し、各研究所のみならずそれぞれの国の大学や研究所から広く研究者や大学院生の参加を求めて先端的な研究を紹介し、共同研究の起点となるなどの実績を挙げている。今回の第4回シンポジウムでは、三研究所だけでなく、ドイツ、スイス、オーストリア、チェコ、オーストラリア、アメリカおよび日本の大学や研究所から38名の招待講演と67名のポスター発表があった。大学院生や若手研究者の参加が多く、参加者総数は180名を越え、植物科学研究の近年の急速な発展を支えたシロイヌナズナ(Arabidopsis)と新たに開発された様々なモデル系を用いた研究成果の発表と熱のこもった討議がおこなわれた。新たな潮流として、イメージング技術を駆使した根の成長と遺伝子発現パターンの動態の関わりの解析(Philip BenfeyやKlaus Palme)やシロイヌナズナの根の近傍の土壌中の細菌集団を網羅的に解析して植物と細菌の共生の実態を調べる研究(Paul Schulze-Lefert)などの発表が注目された。シロイヌナズナ以外の植物を用いた研究には、イネ(島本、経塚)、トマト(Klaus Theres)、ミヤコグサ(川口)、ミント(Sarojam Rajani)、多年草Arabis alpina(George Coupland)、タネツケバナ(清水)、ゼニゴケ(John Bowman)、ヒメツリガネゴケ(長谷部)、クラミドモナス(皆川)、ボルボックス(西井)、シアノバクテリア(近藤)など多様な報告があり、研究者の学術上の興味にもっとも適した植物種を自在に選択して最先端の研究を遂行している現況が明らかになった。植物を用いたエネルギー生産の現状と将来像について述べたChris Somervilleの講演も注目された。ポスターでも多数の面白い研究が発表された。参加した皆さんが新鮮な刺激を受けて研究と教育に新たな意欲を掻き立てられたことを願っている。

岡田 清孝 (基礎生物学研究所)



【若手研究者からの感想】
 第4回NIBB-MPIPZ-TLL合同シンポジウム"Arabidopsis and Emerging Model Systems"は、国内外から著名な研究者が多く集い、活発な議論そして人的交流が行われた実に充実した研究集会でした。私は昨年度まで共同利用研究員の大学院生として基生研に所属していたため、前回も楽しく参加させて頂いたのですが、特に今回は大規模な国際学会かと思うくらい豪華な参加者で、当日までとても心待ちにしていました。口頭発表も非常に興味深く斬新な発表ばかりで、タイトなスケジュールながら息つく暇のない思いで聞いていました。ポスター発表では、特に自分の研究と興味・テーマが近い人達と議論できたことは有意義でした。議論に夢中になりすぎて、ご飯をほとんど食べられず空腹を抱えたまま口頭発表に戻ったくらいでした。
 岡崎コンファレンスセンターは、参加者が一堂に集ってわいわいとディスカッションやお喋りに興ずるにはちょうど良い規模で、著名な研究者の方を自分のポスターのところに連れて行って私の研究の話をさせて頂けたり、コーヒーブレイクでは知り合いの知り合いと知り合えたりと、中規模の研究集会であることの良さを存分に満喫できました。実際にこの場で、私の所属する研究室と基生研の研究室の間で、勉強会を開催しようという提案が飛び出し、現在その準備を進めています。情報・意見交換や人的交流を通して、研究に新たな展開が生まれる期待を強く感じています。
 私のような若手研究者にとっては、世界トップレベルのPI たちを実際に見て聞いて直接話せる機会は、とても貴重なものですが、大規模な国際学会では距離が遠くその機会を得るのは難しいものです。今回は、会場に対してポスター発表したい参加者がとても多く、主催者の先生方は時間と場所の確保に大変苦慮されたのではないかと容易に想像できます。その中で、このような機会を私たちに与えて下さったことに、心より感謝致します。どうもありがとうございました。

池内 桃子 (理化学研究所)



 本シンポジウムでは、錚々たる研究者が国内外から集結し、非常に密度の濃い発表をおこなって下さいました。確かに、大きな国際学会であれば、今回のようなシンポジスト達が集まる機会もあるとは思います。ですが近年の学会では、関連分野ごとにセッションを分け、それらを並行させるのが一般的なので、裏番組となってしまう異分野の発表を聞くことが難しいのが実情です。ですので、今回のシンポジウムのように、さまざまな分野でトップを走る研究者達のお話を、これほど幅広く濃密に聞ける機会は滅多にないと思います。
 シンポジストの方々の発表は本当に素晴らしく、今や大御所となられた教授陣の長年の研究背景、つまり、その分野の発展の歴史を聞くに等しい壮大な発表から、新進気鋭の若手研究者がこれまでの分子生物学の成果や技術をさらに発展させ、新たな研究分野に迫るという、今後の展開が待ち遠しい発表まで、さまざまな面白さがありました。内容についても非常に有意義で、最先端のバイオイメージング手法や、最小限の因子による生物時計の再現など、分子生物学の粋を行く研究がある一方で、バイオ燃料の運用拡大に向けたインフラ整備のあり方や、植物進化の理解に向けての食虫植物の起源探究など、分子生物学に立脚した応用研究や、次世代の生物学分野への展開が幅広く語られました。
 その他にも、ポスター発表や休憩時間のディスカッションも楽しく、また、私的にですが他の宿泊者達と外に繰り出してディスカッションができたりなど、挙げていけばキリがないほど、とても有意義な三日間でした。このようにエキサイティングな会を企画して下さり、運営者の方々には本当に感謝の意が絶えません。また、本会開催の背景になったであろう、シンポジストらとの長年にわたる深い信頼関係を築き上げてこられた岡田清孝所長の人徳にも、心からの敬意を表します。本当にありがとうございました。

植田 美那子 (奈良先端科学技術大学院大学)



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Program
November 19th, Monday         at the Okazaki Conference Center (OCC)
8:45 Registration
09:15 - 09:25 Opening Remarks
    Masayoshi Kawaguchi (National Institute for Basic Biology, Japan)
   
Session 1  
Chair: Kiyoshi Tatematsu
09:25 - 10:05 “Development rooted in emergent properties of regulatory networks”
    Philip Benfey (Duke University, USA)
10:05 - 10:30 “Plant vascular stem cell fates controlled by a CLE peptide and brassinosteroid”
    Hiroo Fukuda (The University of Tokyo, Japan)
10:30 - 10:45 Coffee Break
   
Session 2  
Chair: Shoji Mano
10:45 - 11:15 “Arabidopsis Natural Variation: Epistasis Reveals A New Function For An Old Gene”
    Maarten Koornneef (Max Planck Institute for Plant Breeding Research, Germany)
11:15 - 11:40 “Transcriptional repression of seed maturation genes after seed germination in Arabidopsis thaliana”
    Kenzo Nakamura (Chubu University, Japan)
11:40 - 12:00 “Dynamics of Peroxisomes in Arabidopsis”
    Mikio Nishimura (National Institute for Basic Biology, Japan)
12:00 - 13:30 Lunch & Poster Session
   
Session 3  
Chair: Takuya Suzaki
13:30 - 14:10 “Insights from multiscale analysis of signalling networks in Arabidopsis thaliana”
    Klaus Palme (The University of Freiburg, Germany)
14:10 - 14:35 “ER-family genes involved in many processes of aerial morphogenesis”
    Masao Tasaka (Nara Institute of Science and Technology, Japan)
14:35 - 15:00 “Pedicel and internodal development in the inflorescence of Arabidopsis thaliana”
    Yoshibumi Komeda (The University of Tokyo, Japan)
15:00 - 15:25 Coffee Break
   
Session 4  
Chair: Yosuke Tamada
15:25 - 16:05 “Molecular Control of Fertilization and Interspecific Crossing Barriers in Arabidopsis thaliana”
    Ueli Grossniklaus (The University of Zurich, Switzerland)
16:05 - 16:35 “Epigenetic reprogramming during sexual reproduction in plants”
    Frederic Berger (Temasek Life Sciences Laboratory, Singapore)
16:35 - 17:00 “Polyploid model species of Arabidopsis and Cardamine: recurrent patterns in the evolution of selfing and polyploid speciation”
    Kentaro Shimizu (The University of Zurich, Switzerland)
17:00 - 17:20 Coffee Break
   
Session 5  
Chair: Hidefumi Shinohara
17:20 - 17:45 “ANGUSTIFOLIA3 governs “leaf” programs in Arabidopsis”
    Hirokazu Tsukaya (The University of Tokyo, Japan)
17:45 - 18:10 “ASYMMETRIC LEAVES2 (AS2)/AS1 is a developmental stabilizer for the leaf formation in Arabidopsis
    Yasunori Machida (Nagoya University, Japan)
18:10 - 18:30 “Primary Transcript Of MIR165A Is Necessary To Determine The miR165 Active Region In Arabidopsis Leaf Primorida”
    Kiyoshi Tatematsu (National Institute for Basic Biology, Japan)
   
November 20 (Tue)      at OCC
Session 6  
Chair: Masaki Ishikawa 
09:00 - 09:40 “Novel pathways in Arabidopsis shoot meristem stem cell maintenance”
    Thomas Laux (The University of Freiburg, Germany)
09:40 - 10:05 TAWAWA1, a molecular link between yield and meristem phase transition in rice inflorescence development”
    Junko Kyozuka (The University of Tokyo, Japan)
10:05 - 10:30 “Shoot Architecture and Leaf Dissection in Tomato Are Regulated  by Homologous Gene Modules”
    Klaus Theres (Max Planck Institute for Plant Breeding Research, Germany)
10:30 - 10:50 Coffee Break
   
Session 7  
Chair: Takashi Murata
10:50 - 11:15 “How does cotyledonous phytochrome control hypocotyl elongation with a long time lag?”
    Akira Nagatani (Kyoto University, Japan)
11:15 - 11:35 “Supercomplexes and Super-supercomplex in Photosynthesis”
    Jun Minagawa (National Institute for Basic Biology, Japan)
11:35 - 12:00 “Design of circadian clock: harmonic oscillation as the pacemaker and relaxation oscillation as a rhythm driver installed in the clock protein KaiC”
    Takao Kondo (Nagoya University, Japan)
12:00 - 12:10 Group photo
12:10 - 13:30 Lunch & Poster Session 
   
Session 8  
Chair: Makoto Hayashi
13:30 - 14:10 “HOW TO MAKE-UP LEAF FACES--The adaxial-abaxial polarity-dependent development of leaves--”
    Kiyotaka Okada (National Institute for Basic Biology, Japan)
14:10 - 14:50 “EVOLUTION OF BODY PLANS IN LAND PLANTS”
    John Bowman (Monash University Clayton campus, Australia)
14:50 - 15:15 “Communication, Fate, and Decision Making during Stomatal Development”
    Keiko Torii (University of Washington, USA)
15:15 - 15:40 Coffee Break
   
Session 9  
Chair: Atsushi Hoshino
15:40 - 16:10 “CONTROL OF FLORAL INDUCTION IN RELATED ANNUAL AND PERENNIAL PLANTS”
    George Coupland (Max Planck Institute for Plant Breeding Research, Germany)
16:10 - 16:35 “Molecular Biology of Florigen”
    Ko Shimamoto (Nara Institute of Science and Technology, Japan)
16:35 - 17:00 “Perfect Ending of Floral Meristems”
    Toshiro Ito (Temasek Life Sciences Laboratory, Singapore)
17:00 - 17:20 Coffee Break
   
Session 10  
Chair: Naoya Takeda
17:20 - 18:00 “Plant cytokinesis – a tale of membrane traffic and fusion”
    Gerd Jürgens (Eberhard Karls University of Tübingen, Germany)
18:00 - 18:25 “Developmental Control of Plant Cell Growth
    Keiko Sugimoto (RIKEN Plant Science Center, Japan)
18:25 - 18:45 “Secreted Peptide Signals Required for Maintenance of Root Stem Cell Niche in Arabidopsis”
    Yoshikatsu Matsubayashi (National Institute for Basic Biology, Japan)
19:00 - 21:00 Dinner & Poster Session
   
November 21 (Wed)     at OCC
Session 11  
Chair: Kenji Yamada
09:00 - 09:40 “The Development of Cellulosic Biofuels”
    Chris Somerville (The University of California, Berkeley, USA)
09:40 - 10:05 “Develop Plant Systems For The Sustainable Production Of Valuable Chemicals”
    Rajani Sarojam (Temasek Life Sciences Laboratory, Singapore)
10:05 - 10:30 “Endomembrane systems responsible for plant immunity”
    Ikuko Hara-Nishimura (Kyoto University, Japan)
10:30 - 10:50 Coffee Break
   
Session 12  
Chair: Kazuo Tsugane
10:50 - 11:15 “Cellular and evolutionary mechanism of morphogenesis in volvocine algae”
    Ichiro Nishii (Temasek Life Sciences Laboratory, Singapore)
11:15 - 11:40 Arabis alpina as a Model to Study Life-history Evolution within the Brassicaceae”
    Maria Albani (Max Planck Institute for Plant Breeding Research, Germany)
11:40 - 12:00 “Carnivorous plant genome and the evolution of digestive enzymes and pitcher leaves”
    Mitsuyasu Hasebe (National Institute for Basic Biology, Japan)
12:00 - 13:30 Lunch
   
Session 13  
Chair: Masanao Sato
13:30 - 13:50 “Long-Distance Control of Symbiotic Organ Development”
    Masayoshi Kawaguchi (National Institute for Basic Biology, Japan)
13:50 - 14:15 “Comprehensive genetic analysis of CLV3 downstream pathway, and CLE peptide function in root knot nematode infection”
    Shinichiro Sawa (Kumamoto University, Japan)
14:15 - 14:40 “Network Properties and Structures of Plant Immunity”
    Kenichi Tsuda (Max Planck Institute for Plant Breeding Research, Germany)
14:40 - 15:10 “Structure and functions of the bacterial root microbiota in Arabidopsis”
    Paul Schulze-Lefert (Max Planck Institute for Plant Breeding Research, Germany)
   
15:10 - 15:20 Closing Remarks
    Paul Schulze-Lefert (Max Planck Institute for Plant Breeding Research, Germany)
15:30 - 17:00 Mixer at the entrance hall