RESEARCH 幹細胞化の分子機構
(村田隆 准教授、玉田洋介 助教、石川雅樹 助教、壁谷幸子 技術職員、青山剛士 研究員、張列弛 院生、森下美生 院生:大学院生募集中)
幹細胞は分裂して自分自身と同じ細胞を作る能力と自分とは異なった分化する能力を持った細胞を作り出す能力を併せ持った細胞です。そして、発生過程で分化細胞が異なった種類の幹細胞を作り出すことによって生活史が形成されることを先に説明しました。一方、通常の発生過程とは異なり、植物体が傷害を受けると、通常発生過程では幹細胞化しない分化細胞が幹細胞へと変化し、新しい個体を再生する場合があります。我々が実験材料として用いているヒメツリガネゴケは、葉を切断すると葉細胞が原糸体幹細胞へと変化し、原糸体幹細胞が発生を続け、個体を再生します(Ishikawa et al. 2011, Sakakibara et al. 2014)。このような幹細胞化を通した個体再生は適応的でかつ複雑なプロセスで中間段階は不適応ですから、まさしく、複合適応形質です。
我々は、傷害によって引き起こされる葉細胞の原糸体幹細胞化における遺伝子ネットワーク解明を通して、この問題に挑戦しています。
Ishikawa, M., Murata, T., Sato, Y., Nishiyama, T., Hiwatashi, Y., Imai, A., Kimura, M., Sugimoto, N., Akita, A., Oguri, Y., Friedman, W.E., Hasebe, M., and Kubo, M. (2011). Physcomitrella cyclin dependent kinase A links cell cycle reactivation to other cellular changes during reprogramming of leaf cells. Plant Cell 23, 2924-2938.
Sakakibara, K., Reisewitz, P., Aoyama, T., Friedrich, T., Ando, S., Sato, Y., Tamada, Y., Nishiyama, T., Hiwatashi, Y., Kurata, T., Ishikawa, M., Deguchi, H., Rensing, S.A., Werr, W., Murata, T., Hasebe, M., Laux, T. (2014). WOX13-like genes are required for reprogramming of leaf and protoplast cells into stem cells in the moss Physcomitrella patens. Development 141, 1660-1670.
現在の大きな問題点は、