2014.05.26 新学術領域研究 公開セミナー
ソニック・ヘッジホッグ(Shh)による神経管のパターン形成
笹井 紀明 (英国国立医学研究所、ロンドン大学眼科学研究所)
2014年05月26日(月) 15:45 より 16:45 まで
明大寺地区1階 会議室 (111)
岡崎統合バイオサイエンスセンター 高田 慎治 (5241)
新学術領域研究「免疫四次元空間ダイナミクス」公開セミナー
中枢神経組織の1つである脊髄は、神経管と呼ばれる細長いチューブ状の構造が頭尾軸に沿って形成されることによって分化が始まります。神経管の断面は、感覚神経や運動神経、その周辺の介在神経など、背腹軸に沿って10以上の異なる性質を持つ神経細胞が整然と配置されます。このようなパターン形成に対して重要な役割を果たす分泌因子はいくつかありますが、私たちはそのうち、特にソニック・ヘッジホッグ(Shh)の活性に興味を持ち、主にニワトリ胚をモデル動物に用いて研究を進めています。
Shhは分泌因子の中でも特に「モルフォゲン」と呼ばれ、濃度依存的に異なる前駆細胞の分化を誘導することが知られていますが、最近の私たちの研究から、正確なパターン形成のためには、作用のタイミングも重要であることが明らかとなりました。特に、神経前駆細胞が底板領域細胞(floor plate) に分化するためには、Shhが分化の早い時期に作用することが重要であることがわかりました。これは、シグナル分子の受け手となる細胞の性質が時々刻々と変わっており、同じシグナルに対して異なる反応を示したからだと考えられます。本セミナーでは、シグナル分子と受け手細胞の反応様式の関係について詳しく議論したいと思います。
(参考文献)
1. Dessaud et al. (2010) PLoS Biology vol.6, e1000382
2. Ribes et al. (2010) Genes and Development vol. 24, 1186-1200
主催:新学術領域研究「免疫四次元空間ダイナミクス」 代表 高浜洋介(徳島大学)