2018.03.05 基生研セミナー
DNAバーコードによる分子・細胞動態計測
谷内江 望(東京大学 先端科学技術研究センター)
2018年03月05日(月) 15:30 より 17:00 まで
明大寺地区1階 会議室 (111)
生殖細胞研究部門 池田 達郎 (5866)
超並列DNAシークエンシングはゲノム、エピゲノム、トランスクリプトーム計測の他に、DNAバーコードという考え方によって様々な実験の超多重並列化を実現した。今回の発表の前半では、最近の高速スクリーニングにおけるDNAバーコードの様々な利用に触れた後、タンパク質間相互作用等の複数の因子が関わる細胞形質の計測を高速化するために私達が開発したBarcode Fusion Genetics (BFG)法を紹介する。BFG法を酵母ツーハイブリッド (Y2H) 法と組み合わせることによって (BFG-Y2H)、最低でも250万のタンパク質ペアについてタンパク質間相互作用ネットワークを一人の研究者が2-3週間程度で計測することが可能になった。後半では、DNAバーコードとゲノム編集を利用して細胞分化、発生に関わる哺乳動物の細胞系譜を丸ごと同定するプロジェクトについて紹介する。これまで条件パラメータの多さとそれらの「組合せ爆発」のために困難であった様々な網羅的な計測の限界をDNAバーコードという概念が変えつつある。これに加えて、発表の最後には、AIによる計測空間の効果的な予測、ロボティクスによる計測自動化を組合せて現代生物学が到達できないレベルで大量データに支えられた生物学を進めるRobotic Crowd Biologyという構想について紹介する。