2012.08.21 基生研セミナー
カテコールアミンの喉の渇き調節
稲永 清敏 (九州歯科大学)
2012年08月21日(火) 16:30 より 18:00 まで
明大寺地区1階 会議室 (111)
統合神経生物学 野田 昌晴 (5846)
口腔乾燥症は年々増加しており、高齢者の罹患率は特に高い。原因としては、加齢、シェーグレン症候群などの唾液腺疾患、薬物療法の副作用、X線照射療法後の後遺症、心因性によるものなど多岐に渡っており、「のどの“渇き” thirst」や「口の“乾き” dryness」が複雑に絡み合って生じている。従来、この領域における研究は主に唾液分泌低下症に焦点を絞って進んできた。我々は、口腔乾燥症の成因を、脳内の口渇中枢の関与を考慮することにより口腔乾燥症を包括的に把握できるのではないかと考えている。たとえば、ストレスにより交感神経が緊張し唾液分泌が低下するが、脳内のノルアドレナリン分泌も増加し喉の渇きが誘発されると考えられる。また、精神疾患により変化するドーパミンは水中毒などの症状に関与していることが報告されている。私たちは口渇中枢の脳神経核の一つである脳弓下器官ニューロンに対するノルアドレナリンおよびドーパミンの作用について調べたのでこれらの受容体刺激と喉の渇きについてお話したい。