2019.07.10 部門公開セミナー
個々のDNAポリメラーゼの役割から見るDNA複製フォーク動態 ‐分裂酵母と培養ヒト細胞の視点から‐
大学 保一 助教(東北大学 学際科学フロンティア研究所)
2019年07月10日(水) 16:00 より 17:00 まで
明大寺地区1階 会議室 (111)
幹細胞生物学研究室 坪内 知美(7693)
現在までのDNA複製研究により、最少因子となる多くのタンパク質は同定され、DNA複製反応をin vitroで再構成することが可能になった。しかし、多くの生物で、DNAの一次配列から複製開始点の位置や、その進行に影響する配列・構造を予測することは未だできてない。特に、真核生物のDNA複製は染色体上の多くの部位から開始されるが、細胞周期ごとに異なるセットの開始領域が活性化される。この現象は個々の領域での開始反応が確率的に起こるためであり、その確率も個々の領域で異なる。よって、DNA複製の開始反応および複製フォークの進行を網羅的、かつ、定量的に評価することは、個々の生物における、長大な染色体を効率よく複製する仕組みを明らかにする大きな手がかりと言える。 現在我々は、複製フォークの進行に伴うリーディング鎖,ラギング鎖合成それぞれを担うポリメラーゼPolεとPolδの全ゲノムに渡る使用度から、複製開始反応、および、フォーク進行度を算出する実験系の確立を、分裂酵母に加えて、ヒト培養細胞で行った。 本セミナーでは、これらの研究成果を元に、ゲノム複製機構に内在する「柔軟さ」や「危うさ」を議論する。

