日 時
2018年05月18日(金) 16:00
より 17:00 まで
詳 細
CRISPR-Cas9 に代表されるゲノム編集技術の発展により、これまで遺伝子改変が困難であった生物においてもゲノム編集が行われるようになった。ラット(Rattus norvegicus)は腎臓病や高血圧など様々な疾患モデル動物として古くから利用されてきた。マウスよりも個体サイズが大きく、扱いやすいなど実験的利点がある一方で、2010 年までES細胞が樹立されず、ノックアウトラットの作製や遺伝的解析を行う上での欠点となっていた。ゲノム編集技術を利用した遺伝子改変ラットの作製法が発達し、遺伝的解析の有用なモデル動物となりつつある。しかし、実際の作製過程においては、ex vivo での受精卵の取り扱いやマニピュレーターによるマイクロインジェクションなど非常に高度かつ専門的な技術が必要とされる。
最近私たちは、マウスにおいて受精卵を体内から取り出すことなく、簡便にゲノム編集可能なi-GONAD 法を開発した1)。i-GONAD 法は卵管内にある着床前の受精卵に対して、核酸・タンパクをエレクトロポレーションによって導入し、ゲノム編集を行う方法である。さらに、i-GONAD 法を応用・発展させ、新たな遺伝子改変ラット作製法rGONAD法を開発した2)。本発表では、rGONAD 法を用いた遺伝子改変マウス・ラットの作製法および、この作製法を利用した新規疾患モデルラットについて紹介したい。
文献:
1) Ohtsuka M et al., Genome Biol., 2018
2) Kobayashi T
et al., BMC Biotechnol., 2018