ゲノムインフォマティクス・トレーニングコース 2017 春 終了

ゲノムインフォマティクス・トレーニングコース 2017 春「RNA-seq 入門 – NGS の基礎から de novo 解析まで – 」は無事に終了しました。

以下のような日程で開催しました。

  • 2017.2.23 – 24 準備編:UNIX・R・NGS の基本
  • 2017.3.9 – 10 実践編:RNA-seq 解析パイプライン

全体で 85 名の応募があり、準備編 22 名、実践編 21 名の方に受講いただきました。
ご応募、そしてご受講いただいた方々、ありがとうございました。

以下、基礎生物学研究所 HP のトレーニングコース開催リストのページもご参考ください。

来年度のコースに関しては 4 月以降にご案内する予定です。
今回残念ながら受講することができなかった方も是非ご応募ください。

アスパラガスの雌雄を分ける性決定遺伝子に関する共同利用研究の成果が Genes to Cells 誌に掲載されました

概要

 奈良先端科学技術大学院大学(学長:小笠原直毅)バイオサイエンス研究科の高山誠司客員教授(現東京大学)、村瀬浩司助教らの研究グループは基礎生物学研究所、徳島大学、東北大学、九州大学との共同研究により、全ゲノム(遺伝情報)や遺伝子の発現を網羅的に解析する手法を用いて、アスパラガスの雌雄を決める性決定遺伝子を世界で初めて発見しました。
 植物の多くは 1 つの花におしべとめしべをもつ両性花ですが、イチョウ、キウイフルーツ、アスパラガスなどは雄花のみをつける雄株と雌花のみをつける雌株に分かれます。これらの植物の性別はほ乳類と同様に性染色体によって制御されており、アスパラガスでは性染色体が XY のとき雄株、XX のとき雌株となります。アスパラガスの花は発生初期では雄花と雌花で違いはありませんが、発達するに従い雄花ではめしべの、雌花ではおしべの発達が停止します。そのため、Y 染色体上にはおしべの発達を促進する遺伝子とめしべの発達を抑制する 2 つの性決定遺伝子が存在すると予想されていました。
 本研究では MSE1 と名付けた転写因子の機能があるタンパク質の DNA を持つ遺伝子がおしべの発達を促進するアスパラガスの性決定遺伝子であることを明らかにしました。この成果はアスパラガスの性別を決定する鍵因子を明らかにしただけでなく、人為的に植物を雌雄があるタイプに改変したり、雌雄をあわせ持つ両性花に戻したりする技術へ発展する可能性があり、植物の育種に応用されることが期待されます。
 この成果は日本分子生物学会および米国の John Wiley & Sons 社が出版する Genes to Cells 誌 1 月号( 1 月 13 日発行)に掲載されました。

生物機能情報分析室チームの貢献

 本研究は基礎生物学研究所の共同利用研究の一つである、「統合ゲノミクス共同利用研究」の課題として実施されました。当研究所の生物機能解析センター生物機能情報分析室(重信秀治特任准教授、山口勝司技術職員ら)のチームは、次世代シーケンシング技術を駆使し、アスパラガスのゲノム解析に貢献しました。
 アスパラガスのゲノム解析は難易度が高いものでした。何度か失敗しつつ、基生研チームは、奈良先端大のチームとともに試行錯誤の末、若い先端葉組織から質の高い DNA を抽出することに成功し、さらに、シーケンスライブラリー作製の過程では DNA 損傷修復するなどの工夫を施しました。完成したライブラリーを、特徴の異なる 2 つのタイプの次世代 DNA シーケンサー(イルミナ社 HiSeq プラットフォームと PacificBio 社 PacBioRSII プラットフォーム)でシーケンスし、それらのデータを組み合わせて、アスパラガスゲノムの性決定遺伝子の候補領域近傍を集中的に解析しました。その結果、性決定遺伝子の同定と塩基配列の決定に成功しました。

詳しくは下記の論文や各機関のプレスリリースのページをご覧ください。

論文情報

  • 論文タイトル:MYB transcription factor gene involved in sex determination in Asparagus officinalis(和訳:アスパラガスの性決定に関わるMYB転写因子)
  • 著者:Kohji Murase1, Shuji Shigenobu2, Sota Fujii1, Kazuki Ueda1, Takanori Murata1,Ai Sakamoto1, Yuko Wada1, Katsushi Yamaguchi2, Yuriko Osakabe3, Keishi Osakabe3,Akira Kanno4, Yukio Ozaki5 and Seiji Takayama1,6
  • 所属:1奈良先端科学技術大学院大学,2基礎生物学研究所3徳島大学、4東北大学,5九州大学,6東京大学
  • DOI: 10.1111/gtc.12453
  • 掲載誌:Genes to Cells( 1 月号)

プレスリリース

メディアへの掲載情報

  • 2017.1.25 日経産業新聞
    重信秀治特任准教授らによる「アスパラガスの雌雄を分ける性決定遺伝子を世界で初めて発見 植物の性の進化、ダーウィンの予測を裏付け ~有用な作物の育種に期待~」に関する研究成果について、1 月 25 日の日経産業新聞にて紹介されました。
  • 2017.1.26 日刊工業新聞
    重信秀治特任准教授らによる「アスパラガスの雌雄を分ける性決定遺伝子を世界で初めて発見 植物の性の進化、ダーウィンの予測を裏付け ~有用な作物の育種に期待~」に関する研究成果について、1 月 26 日の日刊工業新聞にて紹介されました。

ゲノムインフォマティクス・トレーニングコース 2016 冬 終了

12月1日に開催したゲノムインフォマティクス・トレーニングコース 2016 冬「 BLAST 自由自在 ~ 配列解析の極意をマスターする」は無事に終了しました。ご参加いただいた方々に感謝申し上げます。

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今後のトレーニングコースの予定に関しては下記ページをご確認ください。

今後のゲノムインフォマティクス・トレーニングコースの予定について

一般公開 2016「生き物の不思議」が開催されました

生物機能情報分析室は 10月8日(土)に開催された基礎生物学研究所 一般公開 2016「生き物の不思議」にて「もっと知りたい!いろんな生きもの」というブースを出しました。

来場者の方々に我々が共同利用研究などで扱っている生き物を実物展示や動画で見ていただき、その生き物の特徴や研究する面白さをポスターや分析室スタッフによる口頭説明でお伝えしました。扱った生き物はプラナリア・アブラムシ・キノコシロアリ・オオシロアリタケ・シラン・ベタ・ホタルでした。ホタルの光を試験管内でお見せする“ホタルショー”もたくさんの人に興味を持ってもらえたと思います。

大隅先生のノーベル賞受賞もあり、今年の一般公開は大盛況でした。私たち分析室のブースにも多くの方が立ち寄ってくださいました。お立ち寄りいただいた方々に感謝申し上げます。

今後とも基礎生物学研究所をよろしくお願いいたします。

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今後のゲノムインフォマティクス・トレーニングコースの予定について

基礎生物学研究所は、ゲノムインフォマティクス・トレーニングコースを開催します。

今後の開催予定についてお知らせします。

● BLAST 自由自在 ~ 配列解析の極意をマスターする:2016 年 12 月 1 日

詳細とお申し込みは下記 URL をご覧ください。

http://www.nibb.ac.jp/training/2016-3rd/(終了しました)

● RNA-seq 入門 – NGS の基礎から de novo 解析まで
準備編:UNIX・R・NGS の基本:2017 年 2 月 23 – 24 日
実践編:RNA-seq 解析パイプライン:2017 年 3 月 9 – 10 日

詳細とお申し込みは下記 URL をご覧ください。

http://www.nibb.ac.jp/training/2017-1st/(申し込みは終了しました)

六ツ美中学校の職場体験が行われました

昨日、六ツ美中学校の職場体験が行われました。生物機能情報分析室では森友子技術班長、山口勝司技術主任、浅尾久世技術支援員が職場体験の対応を行いました。

3名の方が職場体験に来られ、植物の植え替え作業や、無菌作業を体験していただきました。

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重信秀治特任准教授が東京農大で開催される「生物資源ゲノム解析拠点シンポジウム・研究発表会」で招待講演をします

重信秀治特任准教授が 9 月 6 日に東京農業大学世田谷キャンパスで開催される
「生物資源ゲノム解析拠点シンポジウム・研究発表会」にて招待講演をします。

講演の演題は「NGS時代の昆虫研究」です。

詳しくは以下のウェブサイトをご覧ください。
http://www.nodai-genome.org/gabase/symposium_2016.html