大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 基礎生物学研究所(所在:愛知県岡崎市)は、「大学生のための夏の実習」を開催します。8月28日(水)〜30日(金)の2泊3日の日程で、基礎生物学研究所にて生物学に関する実習を行います。対象は、生命科学系の大学生、または、生物学に関心を持つ他専攻の大学生です(学部1年生〜4年生どの学年でもOK)。短期の実習のため、実習レベルは比較的初級です。実習を通して、大学の枠を超えた交流を楽しみませんか?各コースにつきそれぞれ3名程度を募集します。
対象:生命科学分野の大学生、または、生物学に関心を持つ他専攻の大学生
受講料:無料
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昨年山中伸弥教授とノーベル医学生理学賞を共同受賞したジョン・ガードン博士は、アフリカツメガエルの卵を使って脊椎動物で初めて核移植を行った研究者です。神秘的で美しい卵割を見せるアフリカツメガエルの胚発生を観察し、また直径1mmほどの胚の一部を微細な道具を使って切除したり、卵にmRNAを注入したりという胚操作の基本技術に挑戦することによって、発生生物学の面白さに触れてもらいます。
細胞集団の振る舞い、生物の形などに関連する生命現象を題材として、コンピュータ(=イン・シリコ)による模擬実験(=シミュレーション)を行います。生命現象を実現するための仕組みやそこに秘められた可能性を、コンピュータ・シミュレーションを使って予測してみましょう。
ほ乳類の精子形成は、”幹細胞”によって支えられています。本コースでは、マウス精巣の組織切片を用いて、抗体染色法によって幹細胞を可視化します。さらに、精巣から取り出して長期間培養している幹細胞や、生きた精巣の中の幹細胞の動きを観察します。これらの観察を通し、精子を作り続ける仕組みを考えてみましょう。
動物の認知、意思決定はたくさんの異なった脳領域(前頭葉, 側頭葉, 基底 核,,,)の協調的な活動によって生み出されます。そこで、脳内でどことどこが強く結合しているかを光遺伝学的手法を用いてマッピングし、脳内機能結合パターンを見てみましょう。また大脳固定標本中の神経細胞の美しい形態をスケッチしましょう。
植物は葉や花などの器官を作りながら成長していきます。植物の種類によって葉や花の形は様々ですが、そうした器官を次々と生み出すのは茎頂メリステムと呼ばれる分裂組織です。実習では、様々な植物の茎頂メリステムを複数の顕微鏡を使って探しながら、観察します。その観察結果から、メリステムの場所や形、葉や花がどのように作られてくるのかについて考えていきます。本実習は形態学・発生学で重要な「観察する」ことの大事さを体験してもらうのが目的です。
サンゴやイソギンチャクなどの刺胞動物は細胞内に植物プランクトンを取り込み光合成をさせ、そこから栄養を得ています。我々の部門で、生きたセイタカイソギンチャクに褐虫藻を共生させてみましょう。顕微鏡観察、光合成活性測定などを行い動物と植物が助け合い生きているさまを研究しましょう。
緑色蛍光タンパク質 (GFP) を発現して光るマウス大脳を用いて、切片作成、蛍光顕微鏡による蛍光観察と画像取得をおこないます。通常の透過光顕微鏡では脳組織中の神経細胞の形態は観察が困難ですが、GFPで光る神経細胞は蛍光顕微鏡により詳細な形態まで浮き彫りにすることができます。神経細胞の美しい姿を実感してください。
ヒトにおいて、関節に小光点をつけて動いてもらうと、光点の動きのみからヒトの存在がリアルに知覚されることが知られています。このように生き物の動きを少数の点の動きに落とし込んだ運動刺激はバイオロジカルモーションと呼ばれ、盛んに研究が行われています。実習では様々な生き物(例えば、ヒトやメダカ)の動きをビデオ記録し、解析することでバイオロジカルモーション刺激を作成します。そして、様々な生き物のバイオロジカルモーションの比較を行い、それらの共通性を明らかにすることで、動きから生き物が検出される仕組みに迫ってみましょう。
緑色蛍光タンパク質(GFP)は生きた個体の細胞で観察することができるので細胞を標識するのに最適な方法です。最新の研究用顕微鏡を使って、血球が光るメダカのGFP蛍光を観察したり、熱ショック応答でGFPを発現するメダカにレーザー光でGFPを発現させて、その後細胞がどのように変化するかを観察したりします。これらの実験を通じて生命科学の研究現場を体験してもらおうと考えています。
生き物の設計図であるゲノムの情報は、正確に次の世代の引き継がれていくことが大切です。ゲノム情報を正確に引き継ぐために生物は、様々な仕組みを使って校正を行っています。それでも突然変異はおきます。突然変異の原因は複数ありますが、本実習では動く遺伝子トランスポゾンによって引き起こされた突然変異とその原因となった遺伝子について考えます。トランスポゾンはゲノム中に多く存在しますが、普段は動かないように色々な抑制を受けています。例外的なトランスポゾンが転移するイネの系統から発見した変異体からゲノムDNAを抽出して、トランスポゾンの挿入領域をPCR法で増幅したり、トランスポゾンが動く前と後のゲノムの状態を比較する事を計画しています。基本的な分子生物学の手法を体験し、遺伝学の基礎を理解する事を目指します。
出芽酵母を用いて、タンパク抽出、精製、酵素の活性測定など生化学実験の基礎テクニックを学ぶ予定です。
自然科学研究機構 基礎生物学研究所は愛知県岡崎市にある生物学の研究所です。生命の営みの基本をなす遺伝子の働きや細胞の働きを探ると共に、生物が環境に適応し、そして多様な形と能力を持つに至った仕組みを明らかにすることを目指して研究活動を行っています。総合研究大学院大学 生命科学研究科 基礎生物学専攻として大学院教育も行っています。
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