研究所の生き物たち File1

ゼブラフィッシュ ( 学名: Danio rerio )

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ゼブラフィッシュ(ロングフィンタイプ)
上の体が細く赤みの強い個体がオス、下の体が丸い個体がメス(戦略室撮影)


ゼブラフィッシュはインド原産の体長4〜5cm程の小型の魚です。飼育しやすく繁殖も容易な熱帯魚として人気があり、ペットショップではゼブラダニオの名で売られています。研究所では27.5℃の水温で、昼の長さが(ライトON)14時間、夜の長さが(ライトOFF)10時間という環境で飼育されています。体に縦縞(横縞じゃないですよ)があることから、シマウマ(ゼブラ)にちなんでゼブラフィッシュの名前が付きました。

飼育しやすいとはいえ、魚をベストコンディションで飼育するにはそれなりに人手がかかります。1日2回、ブラインシュリンプとフレークを混ぜたエサをやります。同時に水槽の1/10程の水を換えます。毎日、水のpHをチェックし、酸性に偏りすぎていれば重曹を入れてpHを調整します。1週間に1回は硝酸塩、亜硝酸塩、アンモニア濃度をチェックします。魚が健康でいることが、研究を進める上で大変重要ですので飼育環境には気をつかいます。休みの日も当番制でエサやりや水替えが行われます。

ゼブラフィッシュ3  団地のような水槽で飼育されています。

大人しい性格の魚、と紹介されていることが多いのですが、一つの水槽に2匹だけ入れて飼うと、相手を激しく攻撃することがあります。1匹だけで飼うか、または十数匹を一緒に飼うのが良いようです。

オスとメスを同じ水槽に入れておくと、朝に産卵行動を行います。オスはメスの体に体当たりして産卵を促し、卵が水中に放出されると同時にオスが精子をふりかけ、受精が行われます。

卵は直径約0.5mm。受精後40分ではじめの細胞分裂(卵割)がおき、2細胞になります。卵黄が豊富で、細胞分裂が卵の動物極側だけでおきる盤割と呼ばれる形式で発生が進みます。その後は20分おきに1回のペースで細胞分裂がおきて、4細胞、8細胞、16細胞、32細胞と細胞数が増えていきます。

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ゼブラフィッシュの卵 左から1細胞期、2細胞期、16細胞期

大事に育てれば、約3ヶ月で成魚になります。

細いガラス管を使って、卵の中に遺伝子を注入したり、遺伝子の働きを抑制する薬剤を注入したりすることができ、遺伝子の機能を調べる実験に使われています。体が透明で脳や内臓など、体の形が出来上がる様子を観察するのに適しています。また、世界中の研究室で大規模に突然変異体の作成が行われています。

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ゼブラフィッシュの胚 左から10体節期の胚、20体節期の胚

ゼブラフィッシュを用いて研究を行っている基礎生物学研究所の研究室は
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分子発生学研究室(高田慎治教授)です。