【電子顕微鏡支援担当:小池正人(順天堂大学)】[2023.05.15]
小松雅明 教授(順天堂大学)の論文が Developmental cell に掲載されました


新たなオートファジー経路を発見 ― 革新的技術が明らかにした細胞の恒常性を維持する仕組み ―

Kurusu R., Fujimoto Y., Morishita H., Noshiro D., Takada S., Yamano K., Tanaka H., Arai R., Kageyama S., Funakoshi T., Komatsu-Hirota S., Taka H., Kazuno S., Miura Y., Koike M., Wakai T., Waguri S., Noda N.N., Komatsu M. Integrated proteomics identifies p62-dependent selective autophagy of the supramolecular vault complex. Developmental Cell (2023) DOI:10.1016/j.devcel.2023.04.015

<概要>本研究では、オートファジーによって分解されるたんぱく質を効率よく精製し同定する革新的手法を開発しました。その結果、細胞内の巨大なたんぱく質複合体「ヴォルト」が新たなオートファジー経路により分解されること、ヴォルトの分解不全は肝細胞がんと関連することを見出しました。ABiS・電子顕微鏡支援(支援担当:小池正人)では、凍結超薄切片を用いた免疫電子顕微鏡により、細胞内の液滴に局在する分子を可視化する支援を行いました。

プレスリリース プレスリリース(順天堂大学のサイト)

【電子顕微鏡支援担当:村田和義(生理学研究所)】[2023.05.15]
神吉智丈 教授(新潟大学)の論文が Molecular Cell に掲載されました


新規ミトコンドリア分裂因子を発見
~マイトファジーの過程における ミトコンドリア分裂のメカニズムを解明~

Fukuda T., Furukawa K., Maruyama T., Yamashita S.I., Noshiro D., Song C., Ogasawara Y., Okuyama K., Alam J.M., Hayatsu M., Saigusa T., Inoue K., Ikeda K., Takai A., Chen L., Lahiri V., Okada Y., Shibata S., Murata K., Klionsky D.J., Noda N.N., Kanki T. The mitochondrial intermembrane space protein mitofissin drives mitochondrial fission required for mitophagy. Molecular Cell, (2023) DOI:10.1016/j.molcel.2023.04.022

<概要>本研究では、新規のミトコンドリア分裂因子であるMitofissin(Mitochondrial fission protein)を発見し、この因子がマイトファジーの際にミトコンドリアをオートファゴソームに収まる大きさに分裂させることを明らかにしました。ABiS・電子顕微鏡支援(支援担当:村田和義)では、連続ブロック表面SEMを使用し、Mitofissinがミトコンドリアをオートファゴソームに収まる大きさに分裂させる様子を可視化する支援を行いました。

プレスリリース プレスリリース(新潟大学のサイト)

【光学顕微鏡支援:東山哲也(名古屋大学)】【画像解析支援:檜垣匠(熊本大学)】[2023.02.27]
植田美那子 教授(東北大学)の論文が Life Science Alliance に掲載されました


植物の細胞分裂を阻害する新たな薬剤を発見 ~コケ植物から被子植物まで、多様な植物種に効果あり~

Kimata Y., Yamada M., Murata T., Kuwata K., Sato A., Suzuki T., Kurihara D., Hasebe M., Higashiyama T., Ueda M. Novel inhibitors of microtubule organization and phragmoplast formation in diverse plant species. Life Science Alliance (2023) DOI:10.26508/lsa.202201657

<概要>本研究では、シロイヌナズナの受精卵を用いて細胞分裂を阻害する化合物のスクリーニングを行い、核分裂と細胞板形成を阻害する新規薬剤を見出しました。
ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:東山哲也)では、二光子励起顕微鏡を使用して深部イメージングする支援を行いました。また、ABiS・画像解析支援(支援担当:檜垣匠)では、ライブイメージング像を定量化する支援を行いました。

プレスリリース プレスリリース(東北大学のサイト)

【電子顕微鏡支援担当:大野伸彦(生理学研究所)】[2023.02.21]
上野将紀 教授(新潟大学)の論文が eLife に掲載されました


脳脊髄液を感知する謎のニューロン - 歩行をになう神経回路と機能を解明 -

Nakamura Y., Kurabe M., Matsumoto M., Sato T., Miytashita S., Hoshina K., Kamiya Y., Tainaka K., Matsuzawa H., Ohno N., Ueno M. Cerebrospinal fluid-contacting neuron tracing reveals structural and functional connectivity for locomotion in the mouse spinal cord. eLife(2023) DOI:10.7554/eLife.83108

<概要>本研究では、脳脊髄液の感知に関わると想定されてきた細胞、脳脊髄液接触ニューロン(cerebrospinal fluid-contacting neurons)がもつ神経のネットワークと歩行運動への機能を明らかにしました。ABiS・電子顕微鏡支援(支援担当:大野伸彦)では、SBF-SEMを使用し、脳脊髄液接触ニューロンの細胞構造とシナプス接続の特性を解明する支援を行いました。

プレスリリース プレスリリース(新潟大学のサイト)

プレスリリース プレスリリース(生理学研究所のサイト)

【電子顕微鏡支援担当:大野伸彦(自治医科大学)・深澤有吾(福井大学)】[2022.11.01]
松井広 教授(東北大学)の論文がNature Neuroscience に掲載されました


シナプスを食べて憶える ~グリア細胞による神経細胞の微細構造の貪食が記憶を支える ~

Morizawa Y.M., Matsumoto M., Nakashima Y., Endo N., Aida T., Ishikane H., Beppu K., Moritoh S., Inada H., Osumi N., Shigetomi E., Koizumi S., Yang G., Hirai H., Tanaka K., Tanaka K.F., Ohno N., Fukazawa Y., Matsui K. Synaptic pruning through glial synapse engulfment upon motor learning. Nature Neuroscience 25, 1458-1469 (2022) DOI:10.1038/s41593-022-01184-5

<概要>本研究では、学習後の脳内シナプスを調べることにより、グリア細胞のシナプスの貪食が学習記憶を支えていることを発見しました。ABiS・電子顕微鏡支援(支援担当:大野伸彦・深澤有吾)では、高分解能走査型電子顕微鏡を使用し、脳内のシナプスを含む超微細構造の変化を解析する支援を行いました。

プレスリリース プレスリリース(東北大学のサイト)

【光学顕微鏡支援担当:鍋倉淳一(生理学研究所)】[2022.11.02]
田畑秀典 室長(愛知県医療療育総合センター発達障害研究所)の論文が Nature Communications に掲載されました


神経機能を制御するアストロサイトが脳内に広く分布する仕組みを解明
-精神神経疾患の新たな病態理解に期待-

Tabata H., Sasaki M., Agetsuma M., Sano H., Hirota Y., Miyajima M., Hayashi K., Honda T., Nishikawa M., Inaguma Y., Ito H., Takebayashi H., Ema M., Ikenaka K., Nabekura J., Nagata K.I., Nakajima K. Erratic and blood vessel-guided migration of astrocyte progenitors in the cerebral cortex. Nature Communications (2022) DOI:10.1038/s41467-022-34184-x

<概要>本研究では、脳を構成する主要な細胞であるアストロサイトが胎児や新生児の脳内でどのように移動して持ち場につくのかを明らかにしました。 ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:鍋倉淳一・揚妻正和)では、二光子顕微鏡を使用し、発達期マウス胎児におけるin vivoライブイメージングの技術開発、および4Dデータ(タイムラプスボリュームイメージングデータ)の解析に関する支援を行いました。

プレスリリース プレスリリース(愛知県医療療育総合センター発達障害研究所のウェブサイト)
プレスリリース プレスリリース(生理学研究所のウェブサイト)
プレスリリース プレスリリース(慶應義塾大学のウェブサイト)

【光学顕微鏡支援:今村建志(愛媛大学)】[2022.09.05]
仁子陽輔 助教(高知大学)の論文が ACS Applied Materials & Interfacesに掲載されました


Matsuura H., Kawakami R., Isoe M., Hoshihara M., Minami Y., Yatsuzuka K., Tsuda T., Murakami M., Suzuki Y., Kawamata J., Imamura T., Hadano S., Watanabe S., Niko Y. NIR-II-Excitable Dye-Loaded Nanoemulsions for Two-Photon Microscopy Imaging of Capillary Blood Vessels in the Entire Hippocampal CA1 Region of Living Mice. ACS Appl Mater Interfaces 14, 40481-40490 (2022) DOI:10.1021/acsami.2c03299

<概要>本研究では、生体二光子励起蛍光イメージングにおける観察可能深度を飛躍的に向上させる新しい蛍光ナノプローブを開発しました。本ナノプローブは第二近赤外光(1100nm)で効率的に二光子励起発光する特徴を有しており、本ナノプローブを用いることでマウスの脳深部領域(海馬 CA1 領域全層:脳表面から1.1~1.5mm)の毛細血管を明瞭に描出することに成功しました。ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:今村健志)では、二光子蛍光顕微鏡を用いた支援を行いました。

【画像解析支援:上野直人(基礎生物学研究所)】[2022.10.05]
近藤寿人 表現ディレクター(生命誌研究館 当時:京都産業大学 教授)の論文が Frontiers in Cell and Developmental Biology に掲載されました


Yoshihi K., Iida H., Teramoto M., Ishii Y., Kato K., Kondoh H. Epiblast cells gather onto the anterior mesendoderm and initiate brain development without the direct involvement of the node in avian embryos: Insights from broad-field live imaging. Frontiers in Cell and Developmental Biology 10, (2022) DOI:10.3389/fcell.2022.1019845

<概要>本研究では、脳形成に関わるエピブラスト細胞の移動を、ライブイメージングによって解析しました。エピブラストをランダムに蛍光標識する方法を開発し、長距離(1mm以上)、長時間(18時間以上)にわたるエピブラストの細胞移動を計測しました。頭部エピブラスト細胞には、あらかじめ脳の特定の領域に発生する特異性が備わっており、それらの細胞が前部中内胚葉に向かって集合することによって、脳が形成されることを明らかにしました。ABiS・画像解析支援(支援担当:上野直人、加藤輝)では、細胞の移動を追跡するための新しいデータ処理方法(輝点の同定とその経時追跡)を開発しました。

【光学顕微鏡支援担当:根本 知己(北海道大学 現:生理学研究所)・中垣俊之・三上秀治(北海道大学)[2022.06.17]
小谷友也 准教授(北海道大学)の論文が iScienceに掲載されました


固相のRNA分子倉庫が液相のタンパク質合成工場に
~細胞が必要な時期に必要なタンパク質を合成する新たな仕組みを解明~

Sato K., Sakai M., Ishii A., Maehata K., Takada Y., Yasuda K., Kotani T. Identification of embryonic RNA granules that act as sites of mRNA translation after changing their physical properties. iScience 25, 104344 (2022) DOI:https://doi.org/10.1016/j.isci.2022.104344

<概要>本研究では、受精後に翻訳されるmRNAの存在様式とタンパク質の合成を時空間において高解像度で解析しました。その結果、受精卵で固相として存在したRNA顆粒が卵割期に液相の顆粒に変化し、その内部で翻訳を活性化するという、新たな翻訳制御機構の存在を発見しました。光学顕微鏡支援(支援担当:根本知己・中垣俊之・三上秀治)では、超解像顕微鏡による細胞のイメージングの支援を行いました。

プレスリリース プレスリリース(北海道大学のウェブサイト)

【光学顕微鏡支援担当:松田道行(京都大学)[2022.05.23]
表原拓也 講師(東京医科大学)の論文が Reproductionに掲載されました


精細管内を流れる精子の分布ならびに精細管壁の動きを可視化
~精細管を精路として捉える新たな研究分野の開拓に期待~

Kanazawa Y., Omotehara T., Nakata H., Hirashima T., Itoh M. Three-dimensional analysis and in vivo imaging for sperm release and transport in the murine seminiferous tubule. Reproduction 164, 9-18 (2022) DOI:10.1530/REP-21-0400

<概要>本研究では、マウスの精巣内で複雑に蛇行する精細管内を流れる精子の分布や動きを解析することで、精巣の精細管内において、精子は出口に向かって一方向に流れるのではなく行ったり来たりしながら流れることを明らかにし、精細管が折れ曲がる部位ではとくに精細管壁が大きく揺さぶられ、精子が剥がれやすくなることを見出しました。ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:松田道行)では、二光子顕微鏡を使用し、マウスを生かしたまま精巣内の精細管の動きを観察する支援を行いました。

プレスリリース プレスリリース(東京医科大学のウェブサイト)

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