成果発表
【光学顕微鏡支援:稲葉一男(筑波大学)】[2024.06.04]
中山卓郎 助教(筑波大学)の論文がScientific Reportsに掲載されました
Nakayama T., Nomura M., Yabuki A., Shiba K., Inaba K., Inagaki Y. Convergent reductive evolution of cyanobacteria in symbiosis with Dinophysiales dinoflagellates. Scientific Reports (2024) DOI:10.1038/s41598-024-63502-0
<概要>シアノバクテリアには他の微生物と共生するものが多く知られますが、その多様性や進化には不明な点が多く残されています。本研究では、海洋に生息する渦鞭毛藻Citharistes regiusに共生するシアノバクテリアのゲノムを解読することにより、シアノバクテリアと渦鞭毛藻の複雑な共生進化過程を明らかにしました。ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:稲葉一男)では、研究調査船によるプランクトン採集、解析支援を行いました。
【光学顕微鏡支援:稲葉一男(筑波大学)】[2024.04.20]
大岩和弘 主管研究員(情報通信研究機構 未来ICT研究所)の論文がBiophysics and Physicobiologyに掲載されました
Iwamoto H., Oiwa K., Shiba K., Inaba K. X-ray diffraction recording from a small amount of fibrous protein materials oriented by a micro shear-flow cell. Biophysics and Physicobiology (2024) DOI:10.2142/biophysico.bppb-v21.0014
<概要>本研究では、緑藻クラミドモナス、ホヤ精子の鞭毛を実験材料としてマイクロシアーフローセルを用いた少量の繊維状タンパク質材料からX線回折パターンを記録する方法について報告しました。ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:稲葉一男)では、実験材料であるホヤ精子の提供、鞭毛調製について解析支援を行いました。
【光学顕微鏡支援担当:松田道行(京都大学)】[2024.04.25]
八代健太 教授(京都府立医科大学)の論文がDevelopment volume 151, issue 8に掲載され表紙を飾りました。
蛍光顕微鏡画像を簡便に三次元観察可能に
~蛍光顕微鏡画像用にデザインされた「ボリュームレンダリングソフトウェア」を開発~
Takeshita N., Sakaki S., Saba R., Inoue S., Nishikawa K., Ueyama A., Nakajima Y., Matsuo K., Shigeta M., Kobayashi D., Yamazaki H., Yamada K., Iehara T., Yashiro K. Acto3D: an open-source user-friendly volume rendering software for high-resolution 3D fluorescence imaging in biology. Development (2024) DOI:10.1242/dev.202550
<概要>蛍光顕微鏡と組織透明化技術の進歩により、組織や臓器の三次元的観察が可能になりましたが、高額なシステムが多くの研究室の障壁でした。本研究では、Apple Siliconのもつ特質を活用したオープンソースのボリュームレンダリングソフトウェアActo3Dを開発し、比較的安価なラップトップで、自由度の高い高解像度の三次元観察を可能にしました。これにより、生命科学分野での幅広い応用が期待されます。ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:松田道行)では、光学顕微鏡観察及び、解析における技術的支援を行いました。
プレスリリース(京都府立医科大学のウェブサイト)
【光学顕微鏡支援:三上秀治(北海道大学)】[2024.05.23]
高野勇太 准教授(北海道大学)の論文がNanoscale Horizons に掲載されました
幅広く応用可能なナノ材料の簡便な作り方を開発~酵素の加水分解作用を利用する画期的な手法~
<概要>本研究では、酵素の加水分解作用をコントロールすることで、性質とサイズの揃ったメゾスコピック粒子を簡便に作成するユニークなナノ粒子材料作成法(BNS法)を発明しました。メゾスコピック粒子は光触媒や太陽電池、ナノ薬剤など多種多様なナノ材料を合成可能な新手法として期待されています。今回は一例として、ペプチドと量子ドット(2023年ノーベル化学賞)による薬物キャリア性能を実証しました。
ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:三上秀治)では、この薬物キャリアのスフェロイド中での局在を確認するため、2光子顕微鏡による細胞のイメージングの支援を行いました。
【MRI支援:青木茂樹(順天堂大学)】[2024.04.04]
西田南海子 副部長(田附興風会北野病院)の論文が Frontiers in Aging Neuroscience に掲載されました
<概要>本研究では、正常圧水頭症の髄液中Lipocalin-type prostaglandin D synthaseのchaperone機能とMRI拡散テンソル画像の定量解析を用いた白質障害の評価を通じて glymphopathyのメカニズムを考察しました。ABiS・MRI支援(支援担当:青木茂樹・下地啓五)では脳画像解析手法に関わる支援を行いました。
【光学顕微鏡支援:根本知己(生理学研究所)】[2024.03.18]
小池誠一 特命助教(富山大学)の論文が eLife に掲載されました
生きた細胞内で小胞の動きを可視化し、2種類の小胞融合機構を発見
<概要>本研究では、マウス胚を包む卵黄嚢の細胞を用いて、細胞内で物質の輸送などを行う小胞を蛍光物質で標識し、これが融合する過程を可視化する技術を開発しました。これにより小胞の融合過程を観察したところ、融合には2つの異なる様式があること、また、その制御に細胞骨格アクチンが関与することを見いだしました。
ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:根本知己、堤元佐)では、高感度共焦点顕微鏡と画像解析による高解像度化処理を組み合わせて、後期エンドソーム周辺のアクチン繊維の微細構造の可視化を支援しました。
【光学顕微鏡支援担当:藤森俊彦(基礎生物学研究所)・根本知己(生理学研究所)】[2024.03.22]
古瀬幹夫 教授(生理学研究所)および大谷哲久 准教授(東京都立大学 前:生理学研究所 助教)の論文が Journal of Cell Biology に掲載されました
引き伸ばされても細胞同士がバラバラにならないわけ~からだが力学的ストレスに耐える新たな仕組みを解明~
<概要>本研究では、密着結合が上皮細胞の細胞間接着構造の力学的ストレスに対する抵抗性に重要であることを初めて明らかにしました。ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:藤森俊彦)によりライブ・イメージングにより密着結合の膜タンパク質を欠いた細胞が偶発的に伸展した際に細胞間接着が崩壊することを見出しました。また、ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:根本知己、堤元佐)ではSTED顕微鏡を用いた超解像観察により、密着結合の膜タンパク質を欠いた細胞において、メカノセンサーとして働くZO-1の分子構造・配向に異常が生じていることを明らかにしました。
【画像解析支援:上野直人(基礎生物学研究所)】[2024.02.09]
近藤寿人 顧問(生命誌研究館 前:京都産業大学 教授)の論文が Frontiers in Cell and Developmental Biology に掲載されました
Nakamura K., Watanabe Y., Boitet C., Satake S., Iida H., Yoshihi K., Ishii Y., Kato K., Kondoh H. Wnt signal-dependent antero-posterior specification of early-stage CNS primordia modeled in EpiSC-derived neural stem cells. Frontiers in Cell and Developmental Biology (2024) DOI:10.3389/fcell.2023.1260528
<概要>本研究では、胚の神経系原基が、前脳、中脳、後脳、脊髄の領域に分かれる初期過程において、前部から後部に向かって漸増するWntシグナルの勾配が神経系の領域化をもたらしている可能性を示しました。培養されたエピブラスト幹細胞から神経幹細胞株を生み出す過程をモデルとした研究で、それを確認しました。ABiS・画像解析支援(支援担当:上野直人、加藤輝)では、前部エピブラストの中の神経系領域原基が領域へと分かれていくことをライブイメージング解析技術により明らかにしました。
【光学顕微鏡支援担当:今村 健志(愛媛大学)】[2024.01.03]
村上正基 特任教授(愛媛大学)の論文が Scientific Reports に掲載されました
マウス発汗の三次元ライブイメージングに成功 ~汗関連疾患の病態解明に期待~
<概要>本研究では、新たに開発した蛍光色素カクテルをマウスに経静脈投与し、二光子励起顕微鏡を用いて足趾指腹を観察することで、発汗の3次元リアルタイムイメージングに世界で初めて成功しました。ここにレーザーアブレーションを併用することで表皮内汗管からの汗漏出現象を作出し、タイムラプス観察にて同部位に表皮内水疱が形成されることを見いだし、掌蹠膿疱症のモデルマウスとして応用できる可能性が示唆されました。ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:今村健志)では、2光子顕微鏡による3次元タイムラプス観察の支援を行いました。
【光学顕微鏡支援:東山哲也(名古屋大学)】【画像解析支援:檜垣匠(熊本大学)】[2023.03.20]
植田美那子 教授(東北大学)の論文がPlant & Cell Physiologyに掲載されました
植物の受精卵が形を変えながら伸びることを発見
Kang Z., Matsumoto H., Nonoyama T., Nakagawa S., Ishimoto Y., Tsugawa S., Ueda M. Coordinate Normalization of Live-Cell Imaging Data Reveals Growth Dynamics of the Arabidopsis Zygote. Plant and Cell Physiology (2023) DOI:10.1093/pcp/pcad020
<概要>本研究では、シロイヌナズナの受精卵をライブイメージングし、得られた像の座標を標準化して形状変化を詳細に解析したことで、受精卵の細胞伸長動態を明らかにしました。ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:東山哲也)では、二光子励起顕微鏡を使用して深部イメージングする支援を行いました。また、ABiS・画像解析支援(支援担当:檜垣匠)では、ライブイメージング像を定量化する支援を行いました。
プレスリリース(東北大学のサイト)
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