【光学顕微鏡支援担当:藤森俊彦(基礎生物学研究所)・根本知己(生理学研究所)】[2024.03.22]
古瀬幹夫 教授(生理学研究所)および大谷哲久 准教授(東京都立大学 前:生理学研究所 助教)の論文が Journal of Cell Biology に掲載されました

引き伸ばされても細胞同士がバラバラにならないわけ~からだが力学的ストレスに耐える新たな仕組みを解明~

Nguyen T.P., Otani T., Tsutsumi M., Kinoshita N., Fujiwara S., Nemoto T., Fujimori T., Furuse M. Tight junction membrane proteins regulate the mechanical resistance of the apical junctional complex. Journal of Cell Biology (2024) DOI:10.1083/jcb.202307104

<概要>本研究では、密着結合が上皮細胞の細胞間接着構造の力学的ストレスに対する抵抗性に重要であることを初めて明らかにしました。ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:藤森俊彦)によりライブ・イメージングにより密着結合の膜タンパク質を欠いた細胞が偶発的に伸展した際に細胞間接着が崩壊することを見出しました。また、ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:根本知己、堤元佐)ではSTED顕微鏡を用いた超解像観察により、密着結合の膜タンパク質を欠いた細胞において、メカノセンサーとして働くZO-1の分子構造・配向に異常が生じていることを明らかにしました。

プレスリリース プレスリリース(生理学研究所のサイト)

プレスリリース プレスリリース(東京都立大学のサイト)

【画像解析支援:上野直人(基礎生物学研究所)】[2024.02.09]
近藤寿人 顧問(生命誌研究館 前:京都産業大学 教授)の論文が Frontiers in Cell and Developmental Biology に掲載されました


Nakamura K., Watanabe Y., Boitet C., Satake S., Iida H., Yoshihi K., Ishii Y., Kato K., Kondoh H. Wnt signal-dependent antero-posterior specification of early-stage CNS primordia modeled in EpiSC-derived neural stem cells. Frontiers in Cell and Developmental Biology (2024) DOI:10.3389/fcell.2023.1260528

<概要>本研究では、胚の神経系原基が、前脳、中脳、後脳、脊髄の領域に分かれる初期過程において、前部から後部に向かって漸増するWntシグナルの勾配が神経系の領域化をもたらしている可能性を示しました。培養されたエピブラスト幹細胞から神経幹細胞株を生み出す過程をモデルとした研究で、それを確認しました。ABiS・画像解析支援(支援担当:上野直人、加藤輝)では、前部エピブラストの中の神経系領域原基が領域へと分かれていくことをライブイメージング解析技術により明らかにしました。

【光学顕微鏡支援担当:今村 健志(愛媛大学)】[2024.01.03]
村上正基 特任教授(愛媛大学)の論文が Scientific Reports に掲載されました

マウス発汗の三次元ライブイメージングに成功 ~汗関連疾患の病態解明に期待~

Yatsuzuka K., Kawakami R., Niko Y., Tsuda T., Kameda K., Kohri N., Yoshida S., Shiraishi K., Muto J., Mori H., Fujisawa Y., Imamura T., Murakami M. A fluorescence imaging technique suggests that sweat leakage in the epidermis contributes to the pathomechanism of palmoplantar pustulosis. Scientific Reports (2024) DOI:10.1038/s41598-023-50875-x

<概要>本研究では、新たに開発した蛍光色素カクテルをマウスに経静脈投与し、二光子励起顕微鏡を用いて足趾指腹を観察することで、発汗の3次元リアルタイムイメージングに世界で初めて成功しました。ここにレーザーアブレーションを併用することで表皮内汗管からの汗漏出現象を作出し、タイムラプス観察にて同部位に表皮内水疱が形成されることを見いだし、掌蹠膿疱症のモデルマウスとして応用できる可能性が示唆されました。ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:今村健志)では、2光子顕微鏡による3次元タイムラプス観察の支援を行いました。

プレスリリース プレスリリース(愛媛大学のサイト)

【光学顕微鏡支援:東山哲也(名古屋大学)】【画像解析支援:檜垣匠(熊本大学)】[2023.03.20]
植田美那子 教授(東北大学)の論文がPlant & Cell Physiologyに掲載されました


植物の受精卵が形を変えながら伸びることを発見

Kang Z., Matsumoto H., Nonoyama T., Nakagawa S., Ishimoto Y., Tsugawa S., Ueda M. Coordinate Normalization of Live-Cell Imaging Data Reveals Growth Dynamics of the Arabidopsis Zygote. Plant and Cell Physiology (2023) DOI:10.1093/pcp/pcad020

<概要>本研究では、シロイヌナズナの受精卵をライブイメージングし、得られた像の座標を標準化して形状変化を詳細に解析したことで、受精卵の細胞伸長動態を明らかにしました。ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:東山哲也)では、二光子励起顕微鏡を使用して深部イメージングする支援を行いました。また、ABiS・画像解析支援(支援担当:檜垣匠)では、ライブイメージング像を定量化する支援を行いました。

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【電子顕微鏡支援担当:大野伸彦(生理学研究所)】[2023.11.08]
見学美根子 教授(京都大学)の論文がDevelopment に掲載されました


Hatsuda A., Kurisu J., Fujishima K., Kawaguchi A., Ohno N., Kengaku M. Calcium signals tune AMPK activity and mitochondrial homeostasis in dendrites of developing neurons. Development (2023) DOI:10.1242/dev.201930

<概要>本研究では、神経活動依存的なニューロン樹状突起成長において、AMPK活性化を介したミトコンドリア代謝制御が関与することを明らかにしました。ABiS・電子顕微鏡支援(支援担当:大野伸彦)では、透過型電子顕微鏡を使用し、ミトコンドリアの形態観察支援を行いました。

【光学顕微鏡支援担当:三上秀治(北海道大学)】[2023.10.30]
真崎雄一 講師(北海道大学)の論文が Cell Communication and Signaling に掲載されました


Mazaki Y., Handa H., Fumoto Y., Horinouchi T., Onodera Y. LRRK2 is involved in the chemotaxis of neutrophils and differentiated HL-60 cells, and the inhibition of LRRK2 kinase activity increases fMLP-induced chemotactic activity. Cell Commun Signal (2023) DOI:10.1186/s12964-023-01305-y

<概要>本研究では、好中球の走化性とミトコンドリアの関係を明らかにしました。ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:三上秀治・小林健太郎)では、超解像度顕微鏡を使用し、ミトコンドリアの形態観察の支援を行いました。

【電子顕微鏡支援担当:中村桂一郎(久留米大学)・太田啓介(久留米大学)】[2023.09.04]
野村真未 助教(山形大学)の論文が Frontiers in Cell and Developmental Biology に掲載されました


Nomura M., Ohta K., Nishigami Y., Nakayama T., Nakamura K.-I., Tadakuma K., Galipon J. Three-dimensional architecture and assembly mechanism of the egg-shaped shell in testate amoeba Paulinella micropora. Frontiers in Cell and Developmental Biology (2023) DOI:10.3389/fcell.2023.1232685

<概要>本研究では、有殻アメーバの珪酸質のパーツから構成される被殻構造を三次元的に解析し、細胞外に娘被殻が形成される際、母被殻に対して線対称の位置で構築されることを明らかにしました。ABiS・電子顕微鏡支援(支援担当:中村桂一郎・太田啓介)ではFIB-SEMを使用し、連続的な細胞構造の解析支援を行いました。

【光学顕微鏡支援担当:三上秀治(北海道大学)】[2023.10.10]
堤元佐 特任助教(生命創成探究センター)の論文が Frontiers in Cellular Neuroscienceに掲載されました


時空間での蛍光相関解析が生体深部超解像イメージングを可能にする
~生きた脳の深部でナノスケールの神経細胞微細形態の可視化に成功~

Tsutsumi M., Takahashi T., Kobayashi K., Nemoto T. Fluorescence radial fluctuation enables two-photon super-resolution microscopy. Frontiers in Cellular Neuroscience (2023) DOI:10.3389/fncel.2023.1243633

<概要>本研究では、蛍光顕微鏡観察像の時空間相関解析に基づく超解像法 SRRF を二光子顕微鏡法に適用することで、これまで観察が困難であった生体脳深部のナノスケールの神経細胞微細形態を可視化することに世界で初めて成功しました。ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:三上秀治・小林健太郎)では、本研究で報告した新規手法の評価のため、構造化照明超解像顕微鏡(SIM)観察の支援を行いました。

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【電子顕微鏡支援担当:小池正人(順天堂大学)】[2023.07.20]
西田友哉 准教授(順天堂大学)の論文が Biochemical and Biophysical Research Communications に掲載されました


Kanai A., Nishida Y., Iwamoto T., Yokota M., Aoyama S., Ueki K., Ito M., Uzawa H., Iida H., Koike M., Watada H. Genome-wide screening for regulators of degradation of insulin secretory granules with a fluorescent reporter. Biochemical and Biophysical Research Communications 676, 132-140 (2023) DOI:10.1016/j.bbrc.2023.07.040

<概要>本研究では、インスリン分泌顆粒分解機構解明のため、インスリン分泌顆粒分解をモニターする蛍光レポーターを開発し、栄養飢餓により誘導されるインスリン分泌顆粒分解がリソソーム依存的であることを発見しました。さらにその蛍光レポーターを用いたゲノムワイドスクリーニングにより、インスリン分泌顆粒分解においては従来型オートファジーとは別の機構が関与していることを明らかにしました。ABiS・電子顕微鏡支援(支援担当:小池正人)では、栄養飢餓誘導とリソソーム阻害剤処理を行ったMIN6細胞における、インスリン分泌顆粒含有リソソームを評価する支援を行いました。

【光学顕微鏡支援:野中茂紀、亀井保博(基礎生物学研究所)・画像解析支援:上野直人(基礎生物学研究所)】[2023.06.23]
近藤晶子 助教(帝京大学)の論文が Development Growth & Differentiation に掲載されました


Kondow A., Ohnuma K., Taniguchi A., Sakamoto J., Asashima M., Kato K., Kamei Y., Nonaka S. Automated contour extraction for light-sheet microscopy images of zebrafish embryos based on object edge detection algorithm. Development Growth & Differentiation (2023) DOI:10.1111/dgd.12871

<概要>本研究では、時系列データの変化点検出手法を画像のエッジ検出に応用し、ゼブラフィッシュ初期胚の輪郭を、自家蛍光像など胚の輪郭が特異的に標識されていない画像から抽出する手法を開発しました。この手法では単一のパラメーター値が比較的広いバリエーションの画像に適用できたため、胚の3Dタイムラプス画像の小スケール解析を自動化するのに役立つと期待されます。ABiS・光学顕微鏡支援(担当:野中茂紀、亀井保博)では光シート顕微鏡を使用したゼブラフィッシュ胚のライブイメージングで、画像解析支援(担当:上野直人、加藤輝)では輪郭抽出手法の開発で支援を行いました。

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