RESEARCH 雄ずい形態の進化機構
(鳥羽大陽 研究員)
花の中で花粉を作る雄性の生殖器官が雄ずいです。多くの被子植物種では, シロイヌナズナのように、細長い花糸とその先端に葯を持つ雄ずいが見られます。一方で,扁平な形態の雄ずい、 葉状雄ずいも知られています。このような雄ずいの形を決める分子機構を知りたいと思っています。
葉状雄ずいのような例外はありますが,雄ずいの基本的な構造は葯と花糸の二つからできていることです。しかし,その基本構造がどのようにしてできるのか,その分子機構はまだ分かっていません。そこで、シロイヌナズナの変異体を用いて、そのメカニズムを解明しようとしています。これまでの研究で、MADSボックス遺伝子の一つを異所的発現すると、花弁を部分的に雄ずい様に形態変化させることがわかりました。現在は,この現象に注目して、さらなる解析を進めています。
A シロイヌナズナの雄ずい. B,C 葉状雄ずい. アウストロバイレヤ (B), ガルブリミマ (C). D シロイヌナズナ野生型の花. E トマトAGAMOUSを異所的発現した変異体. F 雄ずい様に変化した花弁. スケールバー 0.1 mm (A, F). 1.0 mm (B-E).