研究概要

RESEARCH クルミホソガの食草転換機構

昆虫が食草を変えるときには、幼虫が新しい食草を食べられるようになる進化と雌親が新しい食草に卵を産む進化が同時におこらなければなりません。どうしてこんなことが起こるのでしょうか。しかも、昆虫が種分化するときには良く食草転換が伴っていますのでかなり頻繁におきています。しかし、これまで良い実験系が無く、昆虫の食草転換を制御する遺伝子は特定されていませんでした。

大島一正 君(現京都府立大学助教)は大学院のときにクルミホソガの中にクルミ食べるレースとネジキを食べるレースがおり、両者が交配可能であることを発見しました。彼は、この系を用いてQTL解析を行えば、食草転換において幼虫と雌親の形質変化を制御している遺伝子を特定できるではないかと考え、学振特別研究員の3年間AFLPマッピングによって、両遺伝子座をほぼ特定しました。現在、新学術領域「ゲノム支援」、金沢大・西山智明 博士との共同研究によって、ゲノム解読をほぼ終え、遺伝子領域の絞りこみを行っています。

クルミホソガの成虫

クルミホソガの幼虫は葉に潜行する