大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 基礎生物学研究所

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共同利用研究

進化多様性生物学領域

分子遺伝学研究部門

高等植物の「アサガオ」と「イネ」を主要研究材料に、(1) 目に見える変異形質からゲノム配列の変化を解明する“Genetics”、(2) エピジェネティックな発現制御を解明する“Epigenetics”、(3) 相同組換えやトランスポゾンを用いて遺伝子を改変して変異形質を探る“Reverse Genetics”の相互に密接に関連する3方向から“ゲノム動態と生体機能”の機構解明を行い、進化や多様性への理解を深めたいと考えている。特に、トランスポゾン(Transposons)など種々の可動遺伝因子(Mobile Genetic Elements) によるDNA再編成を伴う遺伝的組換えやDNAメチル化と遺伝子発現の分子機構の解明を当面の課題としている。

ゲノム動態研究部門

ゲノムは可塑性に富む面と、保守的な面を併せ持つ。生物が生まれてからこのかた、ゲノムは変化し続けてきたし、現在も変化し続けている。しかし、短期間では全く変化しないように見える。この両面併せ持つゲノム・ダイナミクスの謎を解くのが当部門のテーマである。そのため、短期間に激しい変化が起こる遺伝子増幅の現象に焦点を当て、そのダイナミクスの解明に取り組んできた。具体的には、酵母を用いて典型的な多コピー遺伝子として知られるリボソームRNA遺伝子の増幅機構、増幅した遺伝子の維持機構、増幅と高次な染色体構造との関係等を明らかにしつつある。また、動物細胞に薬剤耐性を付与したりがんの悪性化を引き起こしたりする、より一般的で複雑な遺伝子増幅機構を明らかにする目的で、酵母による増幅モデル系の構築を試み、短時間で100コピー以上の増幅する系の確立に成功している。現在、この系の動物細胞への応用により、未解決の動物細胞での遺伝子増幅の機構解明を進めている。遺伝子増幅の機能の一つは遺伝子産物の増産にあるが、他の機能として、遺伝子進化への寄与が指摘されてきた。我々は、これまでに得た遺伝子増幅の実験系に、増幅遺伝子特異的な変異誘導系を導入することにより、遺伝子進化が実験的に検証できる時代に入ったと考え、取り組み始めている。

生物進化研究部門

当研究部門では、ゲノム配列情報、および、それから生み出される遺伝子産物の働きを、異なった生物間で比較解析することにより、進化メカニズムを解明することを目的としている。具体的には(1) 種々の生物の分子系統解析、(2) 植物における生殖器官形態形成関連遺伝子機能の比較解析、(3) ヒメツリガネゴケを用いた茎頂分裂組織形成、維持、器官形成および細胞の不等分裂に関与する新規遺伝子の機能解析、(4)植物の細胞骨格構築に関与する遺伝子の機能解析と進化の研究などを行っている。 詳細はhttp://www.nibb.ac.jp/evodevo参照。

バイオリソース研究室(形質転換生物研究施設)

条鰭類を含む魚類は脊椎動物の約半数を占める大きなグループである。また条鰭類は哺乳類を含む肉鰭類と姉妹関係を形成することから、我々「ヒト」を含む哺乳類の進化を考察する上でも重要な位置を占めている。我々の研究室では、主にメダカをもちいて脊椎動物のゲノム進化に関する研究をおこなっている。大きな分類群間の比較ゲノム研究としてはポリプテルス等をもちいて染色体進化様式の推定を開始している。またメダカ近縁種間の形質変化(現在は性決定システムを主なターゲットとしている)を司るゲノム配列を同定することで、小進化の過程で起きる形質変化が、具体的にどのようなゲノム構造の変化によって引き起こされるのかと言う点に注目して研究を進めている。また2007年から始まった第2期メダカバイオリソースプロジェクトを担う中心研究室として、メダカバイオリソースの収集・保存・配布をおこなうことでメダカ及びメダカ近縁種をもちいた新たな生物学研究の推進を担っている。

構造多様性研究室

鱗翅目昆虫の成虫翅は二次元の上皮組織であり、翅輪郭形状の決定・気管、気管小枝および翅脈のパターン形成・これらと関連した斑紋パターン形成などの興味深い過程を示す。これらの過程を形態学的な手法を用いて細胞レベルで詳細に記述するとともに、内在するメカニズムを明らかにしようとしている。

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