環境生物学領域
分子環境生物学研究部門
(岡崎統合バイオサイエンスセンター 生命環境研究領域)
ホルモンや化学物質に対する発生中の動物の応答機構を主にゲノミクスの手法を用いて研究している。マウス、爬虫類、両生類、魚類、無脊椎動物を用いたホルモン応答遺伝子の解析、マイクロアレイの確立、ホルモン受容体のクローニング、性ホルモン作用の臨界期と成体での作用点の差異などを、応答遺伝子から解析している。生体を取り巻く環境変化や化学物質の影響について生命体レベルから分子レベルまでの総合的な視点で研究を行っている。オオミジンコおよびアメリカワニの性決定機構についても解析している。
植物発生遺伝学研究部門
種子植物の地上部は、葉と茎だけでできている。その葉の発生の制御機構を解明することは、植物の形態形成のメカニズムの解明、さらには植物における多様性形成の理解に必須である。本研究室はこれまで、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)を中心的な研究材料に、世界に先駆けて、いくつかの鍵となる遺伝子を同定してきた。また同定した遺伝子を使って、実際に葉の形を制御できることを示すことにも成功している。現在は、分子遺伝学的知見を元に幅広い研究手法を駆使しつつ、葉の形態やサイズを司る遺伝子群の、分子レベルでの機能解明を進めている。またそれと共に、単面葉に見られるような、自然界における葉の形態・サイズの多様性に関するエボデボ(Evo/devo)的な研究も始めている。「葉」をキーワードに、葉の形態進化、あるいは環境適応的な葉の発生の可塑性をも視野に入れつつ、「植物」についての理解を深めようというのが、本研究室の研究の柱である。
光環境学研究室(客員部門)
地球上に生命が発生して以来の大気環境及び光環境の変遷を考えると、有害紫外光からの逃避や適度の光合成有効光への誘引は初期生物にとって必須であったはずであり、これらが現存生物の多様な光センシングの起源をなすと考えられる。これら祖先型的光センシングシステムは現存の原核及び真核微生物に最近相次いで見いだされている。本研究室ではそのうちでも進化的に多様な生物群である単細胞藻類を主要な研究対象として、未知の光センサーの探索やその分子メカニズムの解明さらには生体機能光制御への生物工学的応用を行っている(例:Iseki et al. 2002, Natue 415, 1047-51;Schroeder-Lang et al. 2007, Nat. Methods 4, 39-42)