成果発表
【電子顕微鏡支援:豊岡公徳(理化学研究所)】[2024.12.10]
佐藤明子 教授(広島大学)の論文が EMBO reports に掲載されました
光によって細胞内でのタンパク質の輸送をコントロールできる新しい方法「RudLOV法」を開発しました
<概要>本研究では、光によって細胞内でのタンパク質の輸送をコントロールできる新しい方法「RudLOV法」を開発し、この手法を使って dynamin 阻害剤, dynasore の新しい作用を発見しました。dynamin 2 が積荷タンパク質のゴルジ体からの搬出に必要であることはすでに報告があります。本研究では、 dynasore が dynamin 2 に加えて、ゴルジ体のシス側で機能する未知の因子の機能を阻害することで、ゴルジ体シス槽の成熟を阻害することを示しました。ABiS・電子顕微鏡支援(支援担当:豊岡公徳)では、アレイトモグラフィーによるゴルジ層板構造の3次元的解析支援を行いました。
【電子顕微鏡支援:渡辺雅彦(北海道大学)】[2024.12.16]
橋本谷祐輝 准教授(同志社大学)の論文がeLife に掲載されました
<概要>視床下部に位置する乳頭体上核は海馬へと投射し、歯状回の主要出力細胞である顆粒細胞とシナプスを形成し、グルタミン酸とGABAを共放出することが知られています。しかし、それぞれの神経伝達物質が同じシナプス終末において、どのように貯蔵されているのかよくわかっていませんでした。本研究では、電気生理学的手法と形態学的手法を用いて、グルタミン酸とGABAが別々のシナプス小胞に蓄えられていることを明らかにしました。ABiS・電子顕微鏡支援(支援担当:渡辺雅彦)では樹脂包埋超薄切片による多重蛍光免疫染色と、連続電顕・免疫電顕による興奮性・抑制性シナプスの微細構造解析を担当しました。
【光学顕微鏡支援:三上秀治(北海道大学)】[2024.12.03]
太田信哉 准教授(北海道大学)の論文がNucleic Acids Research に掲載されました
<概要>本研究では、ZNF518タンパク質の局在と相互作用を調べることにより、このZNF518がセントロメアタンパク質CENP-Bを介してセントロメアに局在し、さらにヘテロクロマチンタンパク質HP1およびヒストンメチルトランスフェラーゼG9Aと相互作用して、ペリセントロメアのヒストンをメチル化し、SUV39H1を補完する形で、ペリセントロメアのヘテロクロマチン化に寄与することを発見しました。ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:三上秀治)では、高解像度共焦点顕微鏡によるペリセントロメアのイメージングの支援を行いました。
【電子顕微鏡支援:豊岡公徳(理化学研究所)】[2024.09.04]
佐藤明子 教授(広島大学)の論文が Frontiers in Cell and Developmental Biology に掲載されました
COPI-SNAREタンパク質の欠損はゴルジ体の集合化を引き起こす
<概要>ゴルジ体の基本単位であるゴルジ層板は、ショウジョウバエ・線虫・植物では細胞質に分散しているが、哺乳類では核周辺に集合し互いに連結してゴルジリボンを形成していることが知られています。本研究では、ショウジョウバエの分散型ゴルジ層板が、COPI-SNAREの欠損によりトランスゴルジ網を中心に集合してゴルジリボンを形成することを発見しました。
ABiS・電子顕微鏡支援(支援担当:豊岡公徳)では、アレイトモグラフィーによるゴルジ層板構造の3次元的解析支援を行いました。
【電子顕微鏡支援:豊岡公徳(理化学研究所)】[2024.10.31]
松永幸大 教授(東京大学)の論文が Proceedings of the Japan Academy. Series B, Physical and biological sciences に掲載されました
光合成活性を持つ葉緑体を動物細胞に移植することに成功
~光合成可能な動物細胞作製の突破口を開く~
<概要>本研究では、細胞内に導入された葉緑体の状態を電子顕微鏡と蛍光顕微鏡を用いてを調べることにより、 外から導入した葉緑体が2日間維持されることを発見しました。
ABiS・電子顕微鏡支援(支援担当:豊岡公徳)では、電子顕微鏡を使用し、光-電子相関顕微鏡法により撮像する支援を行いました。
【光学顕微鏡支援:根本知己(生理学研究所)】[2024.08.06]
大野良和 特任助教(北里大学)の論文が Frontiers in Marine Science に掲載されました
サンゴの骨格形成過程で生じる結晶微粒子を可視化
―サンゴ骨格の立体構造に関与する石灰化中心―
<概要>サンゴは炭酸カルシウムを主成分とした立体的な骨格を形成します。骨格形成の成長部には石灰化中心が存在し、垂直方向に成長する骨格である隔壁の形成に関わることが近年の研究で示唆されていました。本研究では、蛍光イメージングによって、生体のサンゴ稚ポリプの石灰化中心の直接観察に成功しました。
ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:根本知己、堤元佐)では、石灰化中心付近における炭酸カルシウム結晶の画像解析による追跡を支援しました。
【光学顕微鏡支援:洲崎悦生(順天堂大学)】[2024.06.12]
論文が nature communications に掲載されました
透明化組織標本の簡易なデスクサイド3D観察へ
― 個人研究者によるDIY構築が可能な光シート顕微鏡の提案 ―
<概要>近年、組織透明化技術が広く採用されているにもかかわらず、適切なライトシート蛍光顕微鏡へのアクセスが不十分であることが、医学生物学分野のエンドユーザーにとって大きな障害となっている。本研究では、このボトルネックの解決策として、descSPIM(desktop-equipped SPIM for cleared specimens)を開発した。descSPIMは低コスト($20,000–50,000)、低専門性(非専門家による1日の設置作業)ながら実用的な撮影が可能なDIYライトシート顕微鏡で、本論文では、最も基本的な構成でも、マウス全脳やがん細胞株由来の異種移植腫瘍塊の多色イメージングが可能であることを示した。本デバイスはすでにオープンソース化され、数十の研究室への導入されており、今後広範な研究分野での貢献が期待される。
descSPIMは、ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当・洲崎悦生)により、以下のABiS利用者に導入されており、大塚健介 上席研究員(電力中央研究所)はマウスの腸の撮像、二井偉暢 助教(九州大学)は子宮内で発生する胚の撮像、古賀純一郎 講師(産業医科大学)は炎症細胞の組織内分布を単一細胞レベルで可視化することに成功した。
(ABiSにおけるdescSPIM利用者、敬称略)
内藤清惟、片山量平、早河翼、福原茂朋、八代健太、加来賢、大石由美子、関根圭輔、古賀純一郎、木村健一、苅部冬紀、眞鍋一郎、二井偉暢、大塚健介
プレスリリース(順天堂大学のサイト)
プレスリリース(国立がん研究センターのサイト)
プレスリリース(生命創成探究センターのサイト)
プレスリリース(生理学研究所のサイト)
プレスリリース(電力中央研究所のサイト)
プレスリリース(東京医科歯科大学のサイト)
【光学顕微鏡支援:稲葉一男(筑波大学)】[2024.06.04]
中山卓郎 助教(筑波大学)の論文がScientific Reportsに掲載されました
Nakayama T., Nomura M., Yabuki A., Shiba K., Inaba K., Inagaki Y. Convergent reductive evolution of cyanobacteria in symbiosis with Dinophysiales dinoflagellates. Scientific Reports (2024) DOI:10.1038/s41598-024-63502-0
<概要>シアノバクテリアには他の微生物と共生するものが多く知られますが、その多様性や進化には不明な点が多く残されています。本研究では、海洋に生息する渦鞭毛藻Citharistes regiusに共生するシアノバクテリアのゲノムを解読することにより、シアノバクテリアと渦鞭毛藻の複雑な共生進化過程を明らかにしました。ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:稲葉一男)では、研究調査船によるプランクトン採集、解析支援を行いました。
【光学顕微鏡支援:三上秀治(北海道大学)】[2024.05.23]
高野勇太 准教授(北海道大学)の論文がNanoscale Horizons に掲載されました
幅広く応用可能なナノ材料の簡便な作り方を開発~酵素の加水分解作用を利用する画期的な手法~
<概要>本研究では、酵素の加水分解作用をコントロールすることで、性質とサイズの揃ったメゾスコピック粒子を簡便に作成するユニークなナノ粒子材料作成法(BNS法)を発明しました。メゾスコピック粒子は光触媒や太陽電池、ナノ薬剤など多種多様なナノ材料を合成可能な新手法として期待されています。今回は一例として、ペプチドと量子ドット(2023年ノーベル化学賞)による薬物キャリア性能を実証しました。
ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:三上秀治)では、この薬物キャリアのスフェロイド中での局在を確認するため、2光子顕微鏡による細胞のイメージングの支援を行いました。
【光学顕微鏡支援担当:松田道行(京都大学)】[2024.04.25]
八代健太 教授(京都府立医科大学)の論文がDevelopment volume 151, issue 8に掲載され表紙を飾りました。
蛍光顕微鏡画像を簡便に三次元観察可能に
~蛍光顕微鏡画像用にデザインされた「ボリュームレンダリングソフトウェア」を開発~
Takeshita N., Sakaki S., Saba R., Inoue S., Nishikawa K., Ueyama A., Nakajima Y., Matsuo K., Shigeta M., Kobayashi D., Yamazaki H., Yamada K., Iehara T., Yashiro K. Acto3D: an open-source user-friendly volume rendering software for high-resolution 3D fluorescence imaging in biology. Development (2024) DOI:10.1242/dev.202550
<概要>蛍光顕微鏡と組織透明化技術の進歩により、組織や臓器の三次元的観察が可能になりましたが、高額なシステムが多くの研究室の障壁でした。本研究では、Apple Siliconのもつ特質を活用したオープンソースのボリュームレンダリングソフトウェアActo3Dを開発し、比較的安価なラップトップで、自由度の高い高解像度の三次元観察を可能にしました。これにより、生命科学分野での幅広い応用が期待されます。ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:松田道行)では、光学顕微鏡観察及び、解析における技術的支援を行いました。
プレスリリース(京都府立医科大学のウェブサイト)
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