成果発表
【光学顕微鏡支援:亀井保博(基礎生物学研究所)】[2025.02.27]
富樫英 研究員(神戸大学)の論文が Cell Reports に掲載されました
細胞の接着を支える新たな仕組みを解明 ~アファディンが液滴のように集まることで接着複合体を形成 ~
Kuno S., Nakamura R., Otani T., Togashi H. Multivalent afadin interaction promotes IDR-mediated condensate formation and junctional separation of epithelial cells. Cell Rep (2025) DOI:10.1016/j.celrep.2025.115335
<概要>本研究では、アファディンが接着分子や細胞骨格と多価相互作用することで、IDR依存的な凝集体を形成し、初期接着形成時に線状AJへの効率的な集積を促進することを明らかにしました。さらに、アファディンとZO-1が異なる凝集体を形成し、それぞれ異なる分布を示すことから、上皮細胞の接着複合体内でAJとTJの分離に関わるメカニズムが示唆されました。ABiSの光学顕微鏡支援(支援担当:亀井保博)では、細胞内分子濃度および拡散速度の定量的な解析に関する支援を行いました。
プレスリリース(神戸大学のサイト)
【光学顕微鏡支援:東山哲也(名古屋大学 現:東京大学)・電子顕微鏡支援:渡辺雅彦(北海道大学)、深澤有吾(福井大学)】[2025.02.28]
上田(石原)奈津実 准教授(東邦大学)の論文が Cell Reports に掲載されました
長期記憶を定着させるタンパク質 ” セプチン3 ” の働きを解明 ~ 記憶の維持や回復を支える治療戦略への展開に期待 ~
Ageta-Ishihara N., Fukazawa Y., Arima-Yoshida F., Okuno H., Ishii Y., Takao K., Konno K., Fujishima K., Ageta H., Hioki H., Tsuchida K., Sato Y., Kengaku M., Watanabe M., Watabe A. M., Manabe T., Miyakawa T., Inokuchi K., Bito H., Kinoshita M. Septin 3 regulates memory and L-LTP-dependent extension of endoplasmic reticulum into spines. Cell Rep (2025) DOI:10.1016/j.celrep.2025.115352
<概要>本研究では、Septin 3がシナプス伝達の後期長期増強現象 (L-LTP) 依存的な小胞体の樹状突起スパイ
ンへの伸長を介してスパイン内カルシウムイオン濃度を制御することで、記憶形成を制御している
ことを発見しました。ABiSの電子顕微鏡支援(支援担当:渡辺雅彦・深澤有吾)では、免疫組織学的
解析に適した特異抗体の作製、電子顕微鏡を用いたSeptin 3のシナプス結合内局在とシナプス結合内
超微細構造の三次元再構築解析を支援し、光学顕微鏡支援(支援担当:東山哲也・佐藤良勝)では、小胞体の
ライブイメージング解析を支援しました。
プレスリリース(名古屋大学のサイト)

【光学顕微鏡支援担当:青木一洋(京都大学)[2024.10.30]
井上実 医長(静岡がんセンター放射線治療科)の論文が PNASに掲載されました
Inoue M., Takayama K., Hashimoto R., Enomoto M., Date N., Ohsumi A., Mizowaki T. Hyponatremia unleashes neutrophil extracellular traps elevating life-threatening pulmonary embolism risk. Proc Natl Acad Sci U S A (2024) DOI:10.1073/pnas.2404947121
<概要>本研究では、マウスおよびヒトの好中球において細胞外ナトリウム濃度の低下により、非感染状態であってもNeutrophil extracellular traps (NETs)が誘導されることを発見しました。本機構により誘導されるNETsは、感染下で起こる肺塞栓の促進因子となりうることも併せて発見しました。ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:青木一洋)では、二光子励起顕微鏡を用いてマウス肺のライブイメージング支援を行いました。
【電子顕微鏡支援:豊岡公徳(理化学研究所)】[2025.02.04]
山田萌恵 助教(名古屋大学)の論文が Nature Plants に掲載されました
細胞板の形成を導く”分子モーター”を特定 植物の器官発生時の連続的な細胞分裂に必須の機構
<概要>本研究では、基部陸上植物ヒメツリガネゴケをモデルとして、細胞板形成過程を調べることにより、細胞板材料を含む小胞を輸送する分子モーター・キネシン12を同定しました。ABiS・電子顕微鏡支援(支援担当:豊岡公徳)では、細胞質分裂中のヒメツリガネゴケから細胞切片を作製し、細胞板形成部位を電子顕微鏡観察する支援を行いました。
【光学顕微鏡支援:稲葉一男(筑波大学)】[2024.11.27]
山本遼介 講師(大阪大学)の論文がmSphereに掲載されました
Yamamoto R., Tanaka Y., Orii S., Shiba K., Inaba K., Kon T. Chlamydomonas IC97, an intermediate chain of the flagellar dynein f/I1, is required for normal flagellar and cellular motility. mSphere (2024)DOI: 10.1128/msphere.00558-24
<概要>本研究では、単細胞緑藻クラミドモナスをモデル生物として用い、繊毛ダイニンのサブユニットに欠損を持つ変異株の繊毛運動を詳細に観察することで、当該サブユニットの欠損が繊毛運動に与える影響を明らかにしました。ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:稲葉一男・柴小菊)では、高速度カメラを用いてクラミドモナス変異株の繊毛運動を可視化する支援を行いました。
【光学顕微鏡支援:三上秀治(北海道大学)】[2024.12.27]
東恒仁 助教(北海道大学)の論文がJournal of Pharmacological Sciences に掲載されました
<概要>タバコ煙ガス相の細胞傷害因子である不飽和カルボニル化合物に対するマクロファージの感受性に関与する因子を分子レベルで調べることにより、シスチントランスポーターであるSLC7A11の発現量が不飽和カルボニル化合物感受性を決定する因子の一つであることを発見しました。ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:三上秀治)では、ワイドフィールド顕微鏡による細胞形態のイメージングの支援を行いました。
【電子顕微鏡支援担当:太田啓介(久留米大学)】[2024.12.13]
小柴琢己 教授(福岡大学)の論文が Journal of Biological Chemistryに掲載されました
Ban T., Kuroda K., Nishigori M., Yamashita K., Ohta K., Koshiba T. Prohibitin 1 tethers lipid membranes and regulates OPA1-mediated membrane fusion. Journal of Biological Chemistry (2024) DOI:10.1016/j.jbc.2024.108076
<概要>ミトコンドリアは二重の膜で構成されている特徴的なオルガネラで、主に細胞内で消費されるエネルギーの大半を産生する重要な場所です。このような活動を行うために、ミトコンドリアは絶えず融合と分裂によりその形態を維持していますが、その分子機構はこれまであまり理解されていませんでした。本研究では、ミトコンドリアの内膜に局在するタンパク質Prohibitin 1の働きを詳細に解析することで、ミトコンドリア内膜における融合機構の一端を再構成実験系により明らかにしました。本成果は、ミトコンドリア形態異常による疾患理解に大きな貢献が期待されます。ABiS・電子顕微鏡支援(支援担当:太田啓介)では、電子顕微鏡によるプロテオリポソームの解析支援を行いました。
【電子顕微鏡支援:豊岡公徳(理化学研究所)】[2024.12.10]
佐藤明子 教授(広島大学)の論文が EMBO reports に掲載されました
光によって細胞内でのタンパク質の輸送をコントロールできる新しい方法「RudLOV法」を開発しました
<概要>本研究では、光によって細胞内でのタンパク質の輸送をコントロールできる新しい方法「RudLOV法」を開発し、この手法を使って dynamin 阻害剤, dynasore の新しい作用を発見しました。dynamin 2 が積荷タンパク質のゴルジ体からの搬出に必要であることはすでに報告があります。本研究では、 dynasore が dynamin 2 に加えて、ゴルジ体のシス側で機能する未知の因子の機能を阻害することで、ゴルジ体シス槽の成熟を阻害することを示しました。ABiS・電子顕微鏡支援(支援担当:豊岡公徳)では、アレイトモグラフィーによるゴルジ層板構造の3次元的解析支援を行いました。
【電子顕微鏡支援:渡辺雅彦(北海道大学)】[2024.12.16]
橋本谷祐輝 准教授(同志社大学)の論文がeLife に掲載されました
<概要>視床下部に位置する乳頭体上核は海馬へと投射し、歯状回の主要出力細胞である顆粒細胞とシナプスを形成し、グルタミン酸とGABAを共放出することが知られています。しかし、それぞれの神経伝達物質が同じシナプス終末において、どのように貯蔵されているのかよくわかっていませんでした。本研究では、電気生理学的手法と形態学的手法を用いて、グルタミン酸とGABAが別々のシナプス小胞に蓄えられていることを明らかにしました。ABiS・電子顕微鏡支援(支援担当:渡辺雅彦)では樹脂包埋超薄切片による多重蛍光免疫染色と、連続電顕・免疫電顕による興奮性・抑制性シナプスの微細構造解析を担当しました。
【光学顕微鏡支援:三上秀治(北海道大学)】[2024.12.03]
太田信哉 准教授(北海道大学)の論文がNucleic Acids Research に掲載されました
<概要>本研究では、ZNF518タンパク質の局在と相互作用を調べることにより、このZNF518がセントロメアタンパク質CENP-Bを介してセントロメアに局在し、さらにヘテロクロマチンタンパク質HP1およびヒストンメチルトランスフェラーゼG9Aと相互作用して、ペリセントロメアのヒストンをメチル化し、SUV39H1を補完する形で、ペリセントロメアのヘテロクロマチン化に寄与することを発見しました。ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:三上秀治)では、高解像度共焦点顕微鏡によるペリセントロメアのイメージングの支援を行いました。
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