成果発表
【画像解析支援:檜垣匠(熊本大学)】[2025.07.03]
高橋直紀 准教授(明治大学)の論文が Plant physiology に掲載されました
<概要>植物の根では、DNA損傷に応答して幹細胞が選択的に細胞死を起こし、その後に補充されることでゲノムの安定性が保たれる。本研究では、DNA損傷応答において中心的な役割を果たすSOG1転写因子が、オーキシンシグナルの抑制に働くIAA5とIAA29の発現を誘導し、オーキシンシグナルを低下させることで幹細胞の細胞死を促進する仕組みを明らかにした。
ABiS・画像解析支援(支援担当・檜垣匠)では、画像解析ソフトを使用し、植物の組織構造の数値化の支援を行いました。
【電子顕微鏡支援:山崎美和子(北海道大学)】[2025.07.03]
岡崎朋彦 准教授(北海道大学)の論文が Science に掲載されました
GGCX膜トポロジー反転による細胞質タンパク質カルボキシル修飾の発見
~ビタミンKが抗ウイルス防御に働く新たな仕組みを同定~
<概要>抗ウイルス応答を担うMAVSが、ビタミンK依存酵素GGCXによって細胞内で修飾される新たな仕組みを解明しました。GGCXの膜トポロジー反転により、細胞の防御戦略を切り替える“分子スイッチ”が働くことが明らかになりました。
ABiS・電子顕微鏡支援(支援担当:山崎美和子)では、GGCX発現細胞の切片作製およびC末端の電子顕微鏡観察に関する支援を行いました。
【MRI支援担当:林拓哉(理化学研究所)】[2025.06.19]
松平泉 助教(東北大学)の論文が iScience に掲載されました
脳の「かたち」は父に似るのか母に似るのか? 親子の脳が類似する性別ごとのパターンを発見
<概要>本研究では、父・母・子からなる「親子トリオ」の脳MRI画像を用いて、子の脳のどの部分が、父親と母親のどちらに似ているのかを詳細に調べました。その結果、子の脳には「父親にのみ似る部分」「母親にのみ似る部分」「両親に似る部分」「どちらにも似ない部分」が存在することを発見しました。ABiS・MRI支援(支援担当・林拓也)では、Human Connectome Project Multi-Modal Parcellation version 1.0に基づいて皮質厚や表面積などを算出する支援を行いました。
プレスリリース(東北大学のサイト)
プレスリリース(加齢医学研究所のサイト)
プレスリリース(学際高等研究教育院のサイト)
プレスリリース(学際科学フロンティア研究所)
【光学顕微鏡支援担当:今村健志(愛媛大学)】[2025.03.26]
宿南知佐 教授(広島大学)の論文が Development に掲載されました
“光る”遺伝子改変マウスで探る腱・靱帯が筋骨格をつなぐしくみの解明 〜体を動かす組織の成り立ちを立体的に“見える化”し、疾患研究の新たな糸口に〜
<概要>本研究では、ScxTomato;Sox9EGFPレポーターマウスを用いて腱・靱帯と軟骨の組織間相互作用を調べることにより、Scxが腱・靱帯の成熟のみならず、筋肉の形成や骨への付着も制御していることを発見しました。ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:今村健志)では、共焦点および二光子励起顕微鏡を使用し、胚組織の高解像度三次元イメージング解析を支援しました。
プレスリリース(広島大学のサイト)
プレスリリース(広島大学(英語版)のサイト)
プレスリリース(Asia Research Newsのサイト)
【画像解析支援:加藤輝(基礎生物学研究所)】[2025.05.21]
近藤寿人 顧問(生命誌研究館 前:京都産業大学 教授)の論文が Frontiers in Cell and Developmental Biology に掲載されました
Takami N., Kato K., Yoshihi K., Kawamura A., Iida H., Kondoh H. The potent neuroepithelium-promoting activity of Otx2 during gastrulation, as demonstrated by its exogenous epiblast-wide expression in chicken embryos. Frontiers in Cell and Developmental Biology (2025) DOI:10.3389/fcell.2025.1599287
<概要>Otx2は頭部形成に必須の転写因子ですが、神経系初期発生における制御機能は不明でした。ニワトリ胚を用いた本研究によって、Otx2にはエピブラストから神経系への発生を促進する活性があること、屈曲に抗する強靭な神経上皮を形成する活性があることが示されました。これらの活性によって、大きな神経組織としての脳が早期に発生します。ABiS・画像解析支援(支援担当:加藤輝)では、Otx2発現によって変化するエピブラスト細胞の移動を、ライブイメージングによって解析しました。
【電子顕微鏡支援担当:大野伸彦(生理学研究所)】[2025.04.05]
樽野陽幸 教授(京都府立医科大学)の論文が Cell に掲載されました
咳と嚥下のスイッチ 喉に新たな感覚器官を発見
~咳治療に道筋、喉ごし感覚の⼀端か~
Soma S., Hayatsu N., Nomura K., Sherwood M. W., Murakami T., Sugiyama Y., Suematsu N., Aoki T., Yamada Y., Asayama M., Kaneko M., Ohbayashi K., Arizono M., Ohtsuka M., Hamada S., Matsumoto I., Iwasaki Y., Ohno N., Okazaki Y., Taruno A. Channel synapse mediates neurotransmission of airway protective chemoreflexes. Cell (2025) DOI:10.1016/j.cell.2025.03.007
<概要>本研究では、マウスを用いた実験で、苦味のある毒素を含む植物抽出物、タバコの煙、空気汚染物質、病原体関連物質など多様な侵害化学物質に対して生じる咳や嚥下を担う喉の感覚細胞を新たに発見しました。さらに、これらの細胞がアレルギー性の咳過敏症に関与することを明らかにしました。本研究成果をもとに、今後、この咳の機序がヒトにも存在することが明らかになれば、慢性咳嗽の診断および治療法に新たな道筋を与えることが期待されます。ABiS・電子顕微鏡支援(支援担当:大野伸彦)では、SBF-SEMを用いた3D-CLEMによる解析支援を行いました。
プレスリリース(JSTのサイト)


【電子顕微鏡支援:豊岡公徳(理化学研究所)】[2025.04.08]
坂本亘 教授(岡山大学)の論文が Plant Physiologyに掲載されました
生命の源、光合成の足場を保つしくみの解明~「足場=チラコイド膜」を守り植物を高温に強くする~
Gachie S. W., Muhire A., Li D., Kawamoto A., Takeda-Kamiya N., Goto Y., Sato M., Toyooka K., Yoshimura R., Takami T., Zhang L., Kurisu G., Terachi T., Sakamoto W. The thylakoid membrane remodeling protein VIPP1 forms bundled oligomers in tobacco chloroplasts. Plant Physiology (2025) DOI:10.1093/plphys/kiaf137
<概要>本研究では、光合成における光エネルギーの転換反応が生じる「チラコイド膜」の維持に、「VIPP1」と呼ばれるタンパク質が重要な役目を果たしていることを明らかにしました。ABiSの電子顕微鏡支援(支援担当:豊岡公徳)では、電子線トモグラフィー技術によるVIPP1の構造解析に関する支援を行いました。
プレスリリース(岡山大学のサイト)


【光学顕微鏡支援:亀井保博(基礎生物学研究所)】[2025.02.27]
富樫英 研究員(神戸大学)の論文が Cell Reports に掲載されました
細胞の接着を支える新たな仕組みを解明 ~アファディンが液滴のように集まることで接着複合体を形成 ~
Kuno S., Nakamura R., Otani T., Togashi H. Multivalent afadin interaction promotes IDR-mediated condensate formation and junctional separation of epithelial cells. Cell Rep (2025) DOI:10.1016/j.celrep.2025.115335
<概要>本研究では、アファディンが接着分子や細胞骨格と多価相互作用することで、IDR依存的な凝集体を形成し、初期接着形成時に線状AJへの効率的な集積を促進することを明らかにしました。さらに、アファディンとZO-1が異なる凝集体を形成し、それぞれ異なる分布を示すことから、上皮細胞の接着複合体内でAJとTJの分離に関わるメカニズムが示唆されました。ABiSの光学顕微鏡支援(支援担当:亀井保博)では、細胞内分子濃度および拡散速度の定量的な解析に関する支援を行いました。
プレスリリース(神戸大学のサイト)
【光学顕微鏡支援:東山哲也(名古屋大学 現:東京大学)・電子顕微鏡支援:渡辺雅彦(北海道大学)、深澤有吾(福井大学)】[2025.02.28]
上田(石原)奈津実 准教授(東邦大学)の論文が Cell Reports に掲載されました
長期記憶を定着させるタンパク質 ” セプチン3 ” の働きを解明 ~ 記憶の維持や回復を支える治療戦略への展開に期待 ~
Ageta-Ishihara N., Fukazawa Y., Arima-Yoshida F., Okuno H., Ishii Y., Takao K., Konno K., Fujishima K., Ageta H., Hioki H., Tsuchida K., Sato Y., Kengaku M., Watanabe M., Watabe A. M., Manabe T., Miyakawa T., Inokuchi K., Bito H., Kinoshita M. Septin 3 regulates memory and L-LTP-dependent extension of endoplasmic reticulum into spines. Cell Rep (2025) DOI:10.1016/j.celrep.2025.115352
<概要>本研究では、Septin 3がシナプス伝達の後期長期増強現象 (L-LTP) 依存的な小胞体の樹状突起スパイ
ンへの伸長を介してスパイン内カルシウムイオン濃度を制御することで、記憶形成を制御している
ことを発見しました。ABiSの電子顕微鏡支援(支援担当:渡辺雅彦・深澤有吾)では、免疫組織学的
解析に適した特異抗体の作製、電子顕微鏡を用いたSeptin 3のシナプス結合内局在とシナプス結合内
超微細構造の三次元再構築解析を支援し、光学顕微鏡支援(支援担当:東山哲也・佐藤良勝)では、小胞体の
ライブイメージング解析を支援しました。
プレスリリース(名古屋大学のサイト)

【光学顕微鏡支援担当:青木一洋(京都大学)[2024.10.30]
井上実 医長(静岡がんセンター放射線治療科)の論文が PNASに掲載されました
Inoue M., Takayama K., Hashimoto R., Enomoto M., Date N., Ohsumi A., Mizowaki T. Hyponatremia unleashes neutrophil extracellular traps elevating life-threatening pulmonary embolism risk. Proc Natl Acad Sci U S A (2024) DOI:10.1073/pnas.2404947121
<概要>本研究では、マウスおよびヒトの好中球において細胞外ナトリウム濃度の低下により、非感染状態であってもNeutrophil extracellular traps (NETs)が誘導されることを発見しました。本機構により誘導されるNETsは、感染下で起こる肺塞栓の促進因子となりうることも併せて発見しました。ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:青木一洋)では、二光子励起顕微鏡を用いてマウス肺のライブイメージング支援を行いました。
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