研究所の生き物たち
クラミドモナス(学名: Chlamydomonas reinhardtii)2012/01/19
解説
クラミドモナスは単細胞の緑藻です。植物プランクトンの一種でもありますが、海水ではなく、淡水(池、沼、土壌など)に棲息しています。この緑藻は、言わば1個の植物細胞が独立して生活しているようなものですから、扱いやすいモデル植物として広く研究に用いられています。
特に光合成の研究によく用いられる理由は、この緑藻は陸上植物と同じ光合成装置を持つこと、そして逆説的ですが、光合成をせずに生育することができるからです。例えば、光合成に重要な遺伝子を壊してみて、その効果を調べると言った研究によく使われます。また、ゲノムの解読も完了し、核、葉緑体、ミトコンドリアゲノム全ての遺伝子操作が可能なため、技術的にも扱いやすいという有利さも備えています。
このような“技術的に扱いやすい植物”であるという特徴に加え、最近では、酸素のない環境で水素を発生するという“緑藻”特有の性質も注目されています。このため、エネルギー問題の解決を目指した、水素発生やバイオエネルギーの研究も盛んに行われるようになりました。