大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 基礎生物学研究所(所在:愛知県岡崎市)は、「大学生のための夏の実習2025」を開催します。8月27日(水)~8月29日(金)の2泊3日の日程で、基礎生物学研究所にて生物学に関する実習を行います。対象は、生命科学系の大学生です(学部1年生~4年生どの学年でもOKです)。実習を通して、研究所での研究活動を体験すると共に、大学の枠を超えた交流を楽しみませんか?

生命科学分野を専攻する大学生。高等専門学校の4年次以上の方も対象です。

8月27日(水)

10:00 - 10:30 受付 (基礎生物学研究所 明大寺地区)
10:30 - 11:30 開校式 (あいさつ・スタッフ紹介・参加者自己紹介)
11:30 - 17:30 コースごとに分かれて実習
18:00 - 情報交換会

8月28日(木)

09:30 - 17:30 コースごとに分かれて研究室にて実習(開始時間がもう少し早いコースや、終了時間が遅くなるコースもあります)

8月29日(金)

09:30 - 11:00 発表準備
11:00 - 12:00 実習成果発表会(受講生の皆さんによる体験発表)
12:00 - 12:15 閉校式

13:00 - 関心があれば大学院説明会が開催されますので、ご参加下さい。

コース1
細胞動態研究部門(上田研)

「植物の細胞を観る」
コース定員:3名
金澤 建彦 助教・上田 貴志 教授

固い細胞壁に包まれた植物の細胞も、その中ではオルガネラ(細胞小器官)や小胞がダイナミックに運動しています。実習では植物の細胞の中のさまざまなオルガネラや小胞、細胞骨格などを蛍光タンパク質で標識し、その形や動きを複数の共焦点顕微鏡を用いて観察します。植物細胞の中に光きらめく小宇宙の存在を感じてもらえればと考えています。

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コース2
クロマチン制御研究部門(中山研)

「タンパク質を精製して機能を調べてみよう!」
コース定員:3名
川口 隆之 助教・中山 潤一 教授

私たちの体を構成し細胞のはたらきを支えているナノサイズの部品が「タンパク質」です。このタンパク質の設計図はDNAですが、そのDNAのはたらきを制御しているのもタンパク質です。本実習ではDNAのはたらきを制御するタンパク質をカラムクロマトグラフィーで精製して、その機能を生化学的に解析します。

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コース3
光物理生物学研究部門(近藤研)

「生物の光特性を調べてみよう!」
コース定員:3名
近藤 徹 教授・研究室スタッフ・大学院生メンバー

植物などの光合成生物は太陽光を巧みに利用するために光特性を最適化しています。本実習では、光合成に関わる色素やタンパク質の吸収や蛍光などのスペクトル測定の他に、顕微鏡を用いた1分子分光測定を行い、光特性評価を行います。また、独自の装置や測定法を自分達で開発する過程も体験してもらいたいと考えています。

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コース4
神経細胞生物学研究室(椎名研)

「神経細胞を蛍光で観察しよう」
コース定員:3名
京 卓志 助教・椎名 伸之 准教授

緑色蛍光タンパク質 (GFP) を発現して光る神経細胞を用いて、蛍光顕微鏡による蛍光観察と画像取得をおこないます。通常の透過光顕微鏡では脳組織中の神経細胞の形態は観察が困難ですが、GFPで光る神経細胞は蛍光顕微鏡により詳細な形態まで浮き彫りにすることができます。神経細胞の美しい姿を実感してください。

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コース5
植物環境応答研究部門(森田研)

「植物の重力屈性を細胞レベルで観察しよう」
コース定員:2名
森田(寺尾)美代 教授・大学院生メンバー

植物のかたちは、外部環境に適応してつくられます。例えば、光や重力などには方向性があり、植物はその方向変化を認識し、茎や根の成長方向を調節します(光屈性・重力屈性)。これは「植物の運動」と称されるように動的な現象で、シロイヌナズナの根では、重力屈性反応は数時間の間に完結します。本実習では、①根での重力方向の認識に必要な遺伝子の変異体を用いた生理実験、②当研究室が開発した特殊な顕微鏡(参照)を利用したタンパク質の動態観察を行います。これにより、根の重力屈性における植物が重力を感じとる仕組みについて学びます。

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コース6
IBBPセンター 栂根研

「カンキツの茎頂の接ぎ木とその超低温保存への挑戦」
コース定員:3名
栂根 一夫 RMC准教授・農研機構 間瀬 誠子上級研究員

気候変動や農業生産の効率化などにより、地域特有の野生植物や農作物の品種が失われつつあります。果樹などの永年性植物の遺伝資源は、主に接ぎ木によって増殖され、屋外で保存されていますが、絶滅の恐れがある種や、研究の継続に欠かせない実験材料をより安定的に保存するため、茎頂組織を-170℃以下の超低温で保存し、保存組織から植物体を再生する技術の開発が進められています。本実習では、カンキツの茎頂組織の接木によって、超低温保存技術の開発を試みている研究を体験していただきます。

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コース7
バイオリソース研究室

「メダカ胚へのマイクロインジェクション」
コース定員:3名
成瀬 清 研究員(総合研究大学院大学 名誉教授)

遺伝子導入やゲノム編集に必須の技術であるメダカ卵へのマイクロインジェクションをおこないます。インジェクションニードルの作成や卵を固定するためのアガーモルドの作成など一連の操作を実際に行います。インジェクションは授精直後の卵に行うことから受精卵の採取等も実施します。GFP mRNAをインジェクションすることでGFPの発現も蛍光顕微鏡で観察します。

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募集定員 : 各コース3名程度、全体で20名程度

受講料:無料

旅費・宿泊費のサポートはありません。希望者は、研究所の宿泊施設(三島ロッジ:一泊2600円)をご利用いただけます。

募集期間:【現在申し込み受付中です】7月15日(火)まで参加者募集を行います。コース別に定員を超えた場合には志望理由により選考を行います(先着順ではありません)。7月22日(火)までに参加の可否をご連絡いたします。その後、定員に空きがあれば先着順で受け付けます。

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自然科学研究機構 基礎生物学研究所は愛知県岡崎市にある生物学の研究所です。生命の営みの基本をなす遺伝子の働きや細胞の働きを探ると共に、生物が環境に適応し、そして多様な形と能力を持つに至った仕組みを明らかにすることを目指して研究活動を行っています。国立大学法人 総合研究大学院大学 先端学術院 基礎生物学コースとして大学院教育も行っています。

自然科学研究機構 基礎生物学研究所 大学生のための夏の実習2025 事務局
〒444-8585 愛知県岡崎市明大寺町字西郷中38
E-mail: graduate25@nibb.ac.jp
Tel: 0564-55-7628
Fax: 0564-55-7597


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