領域代表 木村宏 東京工業大学
領域代表 木村宏 /東京工業大学

新学術領域「クロマチン潜在能」が発足しました。この領域は、前身の「クロマチン動構造(代表:胡桃坂仁志)」の成果や技術、国内外ネットワークを引き継ぎ、クロマチンと細胞核の研究を行い、遺伝子発現制御の基盤としてクロマチンが持つ潜在能力を明らかにしていきます。近年の網羅的解析により、クロマチンの修飾やドメイン構造、および、それらと遺伝子発現の関係などが明らかになってきました。しかし、細胞の中で遺伝子の転写がいつ、どこで、どのように起こるのか、という根本的な問題は解明されていません。一方、生細胞イメージングにより、転写が起こる瞬間を捉えることができるようになっています。このような技術を用いることで、転写されやすいクロマチンと転写されにくいクロマチンの実体を明らかにできると考えました。クロマチンを介した遺伝子発現の制御は、ヌクレオソームレベルからクロマチンドメイン、細胞核構造との相互作用まで、様々な階層で行われていると考えられます。本新学術領域では、領域内の連携により、異なる階層をシームレスにつないでクロマチン潜在能の実体の解明を目指します。特に、「定量計測」や「モデル化」を重視しています。遺伝子発現制御の研究は、基礎研究の中でも最も基礎的な分野です。国際的な競争も激しいですが、独創的な技術やアイデアにより、重要な成果を生み出していきたいと考えています。公募研究の募集も開始しています。5年間よろしくお願いします。

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