研究概要

RESEARCH 植物の体制を決める細胞分裂面の決定機構を明らかにすることで、陸上植物の陸上化を可能とした鍵変化を探す

大学院生、博士研究員募集中
(堀内雄太 院生、青山剛士 博士研究員、壁谷幸子 技術職員、玉田洋介 助教、石川雅樹 助教、村田隆 准教授:金沢大学・小藤累美子 助教、マックスプランク研究所・吉田彩子 研究員、日本女子大・関本弘之 教授との共同研究)

動物細胞は発生過程で動けますが、植物細胞は細胞壁があるために動けません。従って、どちらの方向に分裂するかによって、できあがる形が決定します。しかし、細胞をどのような方向に分裂させるかの分子機構はほとんどわかっていないのです。

(詳しい研究内容)

動物細胞は発生過程で動けますが、植物細胞は細胞壁があるために動けません。従って、どちらの方向に分裂するかによって、できあがる形が決定します。しかし、細胞をどのような方向に分裂させるかの分子機構はほとんどわかっていないのです。金沢大学の小藤累美子 助教は、偶然、ヒメツリガネゴケの転写因子をコードする遺伝子を壊すと体の表面に並行な細胞分裂(並層分裂)が起こらなくなることを発見しました。植物が陸上化するときに、生殖細胞である卵、精子、胞子を乾燥から守るために、造卵器、造精器、胞子嚢が進化したことが植物陸上化の鍵であったと考えられてきました。これらの器官の共通点は並層分裂によって卵、精子、受精卵を守るような細胞層が形成されることです。小藤助教は、特定の遺伝子を壊すとこれらの全ての器官の並層分裂が起こらなくなることを発見しました。従って、この遺伝子の進化が植物陸上化における生殖関連保護器官の進化の鍵になったのだということがわかってきました。

ではこの遺伝子はどうやって細胞分裂面を制御しているのでしょうか。そもそも、細胞はどうやって体の表面を知って、それに平行に分裂面を作ることができるのでしょうか。現在、いろいろな方法を用いて、細胞分裂方向を制御する因子を解明できないかと研究しています。

基盤研究(S)
「植物発生進化のグランドプランとしての細胞分裂軸制御機構とその時空間制御機構の解明」