プレスリリース:花を作る遺伝子の起源推定に成功

 基礎生物学研究所の越水静総合研究大学院大学大学院生、村田隆准教授、長谷部光泰教授、金沢大学の小藤累美子助教、東京工業大学の太田啓之教授グループ、宮城大学の日渡祐二准教授らとの共同研究の成果が発表されました。


花を作る遺伝子の起源推定に成功

 花を付ける植物(被子植物)は花を付けない植物から進化してきました。この 30 年ほどの研究から、数種類の MADS-box(マッズボックス)遺伝子と呼ばれる遺伝子が共同して働くことで、花が作られることがわかってきました。また、20 年前には花を付けない植物であるシダ類にも MADS-box 遺伝子があることが発見されました。花を付けない植物では MADS-box 遺伝子がどのような働きをしているのか、それらの遺伝子がどのように進化して花を作るようになったのか、植物の形の進化のメカニズムを探る研究として進められてきましたが、これまでにはっきりとした結論が得られていませんでした。その理由は、花を付けない植物では遺伝子操作が難しく、MADS-box 遺伝子がどんな働きをしているかが明確にわからなかったからです。

 基礎生物学研究所の越水静総合研究大学院大学大学院生、村田隆准教授、長谷部光泰教授を中心とした研究グループは、金沢大学の小藤累美子助教、東京工業大学の太田啓之教授グループ、宮城大学の日渡祐二准教授らとの共同研究により、花を付けない植物であるコケ植物ヒメツリガネゴケが持つ6つの MADS-box 遺伝子全てを解析し、これらの遺伝子が、茎葉体の細胞分裂と伸長、精子の鞭毛の動きの2つの働きを持っていることを明らかにしました。茎葉体も精子の鞭毛も、花の咲く植物が乾燥に適応して進化する過程で退化し、消失してしまっています。このことから、進化の過程で、茎葉体と精子の鞭毛で働いていた MADS-box 遺伝子が不要になり、それを別な機能に再利用することで、花が進化した可能性が高いことがわかりました。この点は、発生の仕組みが、異なった系統でも類似している動物とは大きく異なっており、動物と植物では発生の仕組みの進化の仕方が異なることがはっきりしました。

 本研究成果は国際学術誌 “Nature Plants”(ネイチャー・プランツ)に 2018 年1 月 3 日付けで掲載されました。

論文タイトル:Physcomitrella MADS-box genes regulate water supply and sperm movement for fertilization
著者:Shizuka Koshimizu, Rumiko Kofuji, Yuko Sasaki-Sekimoto, Masahide Kikkawa, Mie Shimojima, Hiroyuki Ohta, Shuji Shigenobu, Yukiko Kabeya, Yuji Hiwatashi, Yosuke Tamada, Takashi Murata, and Mitsuyasu Hasebe
doi:10.1038/s41477-017-0082-9

詳しくは以下のページをご覧ください。
http://www.nibb.ac.jp/press/2018/01/09.html

プレスリリース:長期記憶形成に必須な分子メカニズムを特定

基礎生物学研究所/岡崎統合バイオサイエンスセンター 神経細胞生物学研究室らとの共同研究の成果が発表されました。


長期記憶形成に必須な分子メカニズムを特定
~タンパク質の設計図を神経樹状突起へ局在化させる因子が不可欠~

 基礎生物学研究所/岡崎統合バイオサイエンスセンター 神経細胞生物学研究室の中山啓助教、大橋りえ大学院生(総合研究大学院大学)、椎名伸之准教授らの研究グループは、新潟大学(崎村建司教授)、東京理科大学(古市貞一教授)、東京薬科大学(篠田陽講師)、基礎生物学研究所(野田昌晴教授、重信秀治准教授)、神戸市看護大学(二木啓教授)、理化学研究所(御子柴克彦チームリーダー)の研究グループと共同で、長期記憶の形成のためには、タンパク質の設計図である「伝令RNA」を、神経細胞から長く伸びた樹状突起へ局在化させる因子、RNG105が必須であることを明らかにしました。

本研究成果は、2017年11月21日付けで英国オンライン科学誌eLifeに掲載されます。

詳しくは以下のページをご覧ください。
http://www.nibb.ac.jp/press/2017/11/21.html

フローサイトメーター CytoFLEX 測定体験会のお知らせ

各位

生物機能情報分析室
尾納 隆大

フローサイトメーター測定体験会のお知らせ

この度、生物機能情報分析室は、ハイパフォーマンス コンパクトフローサイトメーター CytoFLEX の測定体験会を企画しました。ベックマン・コールター株式会社の担当者にお越しいただき、機器のご説明等をしていただきます。サンプルを持ち込んで測定いただくことも可能です。ご興味のある方は是非ご参加ください。

【機器の特徴】
・幅 43 cm、重さ 24 kgとコンパクトながら高性能なフローサイトメーター
・蛍光補正の簡単なオートコンペンセーション機能付
・高感度( FITC で 30 MESF 以下、PE で 10 MESF 以下)
・スタートアップも 10 分以下
・日常メンテナンスも洗浄 10 分のみの簡単処理
・サンプルデータの取得は 7 ケタ(従来 4 ケタ)
・解析ソフトはライセンスフリーで Windows7 以上のパソコンであれば使用可

レ ー ザ ー: 488nm、638nm、405nm の 3 種類
検出可能な蛍光色素: 13 カラー
( 青 488nm ) FITC、PE、PI、PerCP、PerCP-Cy5.5、PC5.5、PECy5、PECy7 など
( 赤 638nm ) APC、Alexa fluoro647、APC-Alexa fluoro700、APC-Cy7 など
( 紫 405nm ) Brilliant Violet421、Brilliant Viole510、Brilliant Viole605 など

【日時・タイムスケジュール】
平成 29 年 11 月 24 日(金)
説 明 会  13:30 – 14:30
操作実演 14:30 ~ 15:30
測定体験 15:30 ~

※ 装置は 12 月 8 日(金)昼まで設置しますので、期間中はご使用になれます。

【場所】明大寺 基礎生物学研究所 形質統御棟 G104 室

【本機器または測定に関する問い合わせ先】
ベックマン・コールター株式会社
TEL: 090-9852-3221
E-mail: takasato’AT MARK’beckman.com(’at mark’ を @ に変換してください)
担当:佐藤 様

【本企画に関する問い合わせ先】
基礎生物学研究所・生物機能解析センター・生物機能情報分析室(ex. 7670)
E-mail:cai’AT MARK’nibb.ac.jp(’at mark’ を @ に変換してください)
担当:尾納隆大

成果発表:ゾウムシが硬いのは共生細菌によることを解明

産業技術総合研究所(産総研)との共同利用研究の成果が発表されました。
重信秀治特任准教授前田太郎博士研究員がゾウムシの共生細菌のゲノム解読を行いました。


ゾウムシが硬いのは共生細菌によることを解明
– チロシン合成に特化し、外骨格の硬化・着色に必須な共生細菌 –

ポイント

  • ゾウムシ 4 種の共生細菌ナルドネラの極小ゲノムの配列を決定、解析
  • アミノ酸の一種であるチロシン合成に特化し、ゾウムシ外骨格の硬化・着色に関与
  • 共生細菌の新規機能のみならず、新たな害虫防除開発のシーズとして期待

詳しくは産総研プレスリリースのページをご覧ください。
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2017/pr20170919/pr20170919.html

論文へのリンク:http://www.pnas.org/content/114/40/E8382.abstract

フローサイトメーター Attune NxT 測定体験会のお知らせ

各位

生物機能情報分析室
重信 秀治

フローサイトメーター測定体験会のお知らせ

この度、生物機能情報分析室は、高速フローサイトメーター Attune NxT ~ Acoustic Focusing Cytometer ~ の測定体験会を企画しました。ライフテクノロジーズジャパン株式会社の担当者にご用意いただいた標準サンプルを使用します。サンプルを持ち込んで測定いただくことも可能です。その場合は、事前に打ち合わせが必要ですので、10/10(火)までに尾納までお問い合わせください。

【日時】
10/26(木)10:00 – 12:00
10/27(金)  9:00 – 11:00

【場所】
明大寺 基礎生物学研究所 形質統御棟 G104 室

【機器の特徴】
• Acoustic Focusing 技術により、迅速な検出速度を実現しました。短い取得時間でもデータの質を損なわず、レアイベントの検出が可能となります。また、広い流路設計を実現しましたので、一番の問題点である”詰まり”を軽減することができました。

• Acoustic Focusing 技術により、しっかりとサンプル一列にそろえることで、酵母や大腸菌など、不揃いな形状のサンプルも安定したデータを取得できます。

• 独自のモジュラーデザインにより、 1 日でフィールドアップグレードが可能です。最大 4 レーザー、14 カラーでシステムをカスタマイズできる柔軟性があり、既存の実験プロトコールやラボのご予算に合わせられるように設計されています。標準的なサンプルを当社にてご用意いたしますので、ぜひ高速かつ高精度なフローサイトメーターをご体感ください。

【本機器に関する問い合わせ先】
ライフテクノロジーズジャパン株式会社 担当:安藤/坂口  TEL:06-7659-9781

【本企画に関する問い合わせ先】
基礎生物学研究所・生物機能解析センター・生物機能情報分析室(ex. 7670)
E-mail:cai ‘AT MARK’ nibb.ac.jp( ‘at mark’ を @ に変換して下さい)
担当:尾納隆大

次世代 DNA シーケンシング テクニカルセミナーを開催しました

先日、10 月 3 日(火)に次世代シーケンシングテクニカルセミナーを開催し、ナノポアシーケンステクノロジーに関する話題を紹介致しました。詳しくはこちら

総勢 60 名と大反響で第一セミナー室は、溢れるほどに来場頂きました。満員を見て参加を断念された方に、深くお詫び申し上げます。

参加された方々はナノポアテクノロジーシーケンサーのお手軽さ、将来性を十二分に体感出来たのではないかと思います。

セミナーでも申しましたが、これから試すという方は、是非、私たちにも声をかけてください。コアファシリティとしての情報交換ハブの役割も果たして行きます。

次世代 DNA シーケンシング テクニカルセミナーを開催します

 生物機能情報分析室では、次世代 DNA シーケンシング技術をベースとした統合ゲノミクス共同研究を遂行しています。この度、最近話題のナノポアシーケンサーに関して、Oxford NANOPORE Technologies 社の担当者にご講演頂くと共に、生物機能情報分析室の実施状況等を紹介するテクニカルセミナーを開催します。

開催日時:
2017 年 10 月 3 日(火) 14:15 ~ 16:00

会場:
基礎生物学研究所・第一セミナー室(132 – 134室)

要旨:
 イギリスに本社を置く、オックスフォード・ナノポアテクノロジーズは手の平サイズのシークエンサー MinION を 2015 年より一般向けに販売開始している。MinION はナノメートルサイズのタンパク質の穴を通過する分子を測定するナノポアセンシングという技術を使った第 3 世代のシークエンサーである。特に MinION は手の平サイズという携帯性から、従来のラボでの実験・シークエンスといった活用にとどまらず、感染症の現場での菌の検出・同定など屋外でのシークエンスを可能にしている。現在 NASA が宇宙ステーションで MinION を使ったシークエンスを行っていることはニュースにもなっている。またリアルタイムにシークエンスが行えることから、迅速な病原菌の同定への応用研究も始まっている。昨年末のスループット向上により、ヒトゲノムの解析、トマトゲノムなど大きく複雑な生物のゲノム応用も進められている。本セミナーでは、MinION のシークエンス原理から、その仕様、そしてすでに活用されている事例や論文の紹介を交えて、MinION への理解を深めていただくとともに、現在リリースしたばかりの Direct RNA シークエンスについても解説を行う。さらにハイスループット版の GridION, PromethION についても紹介する。

プログラム:
14:15 – 14:25 挨拶 重信秀治

14:25 – 15:25
「オックスフォード・ナノポアテクノロジーズ社シークエンサ MinION, GridION, PromethION の基礎、今後の開発ロードマップについて」
株式会社 Oxford NANOPORE Technologies 宮本真理

15:25-15:40
「生物情報分析室における実施状況と要所」 山口勝司

15:40-16:00 質疑応答

連絡先:
基礎生物学研究所・生物機能解析センター・生物機能情報分析室(ex. 7670)
担当:山口勝司