成果発表(2019年)
【電子顕微鏡支援:太田啓介(久留米大学)】[2019.06.20]
北尻真一郎 講師(信州大学)の論文が JCI insight に掲載されました
Katsuno T., Belyantseva I.A., Cartagena-Rivera A.X., Ohta K., Crump S.M., Petralia R.S., Ono K., Tona R., Imtiaz A., Rehman A., Kiyonari H., Kaneko M., Wang Y.-X., Abe T., Ikeya M., Fenollar-Ferrer C., Riordan G.P., Wilson E.A., Fitzgerald T.S., Segawa K., Omori K., Ito J., Frolenkov G.I., Friedman T.B., Kitajiri S.-i. TRIOBP-5 sculpts stereocilia rootlets and stiffens supporting cells enabling hearing. JCI Insight 4, (2019) DOI:10.1172/jci.insight.128561
<概要>本研究では、TRIOBPのアイソフォーム特異的ノックアウトマウスを調べることにより、 内耳有毛細胞の不動毛を支える根の構造にTRIOBP-5が必要であることを発見しました。ABiS・電子顕微鏡支援(支援担当:太田啓介)では、FIB-SEMを使用し、内耳有毛細胞の細胞内構造を三次元的に電顕レベルで解析する支援を行いました。
【光学顕微鏡支援:稲葉一男(筑波大学)】[2019.06.25]
中山卓郎 助教(東北大学)の論文が Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America に掲載されました
海洋微生物と共生するシアノバクテリアは 広く海洋に分布する「見逃された」系統だった 単細胞ゲノム解析により判明
Nakayama T., Nomura M., Takano Y., Tanifuji G., Shiba K., Inaba K., Inagaki Y., Kawata M. Single-cell genomics unveiled a cryptic cyanobacterial lineage with a worldwide distribution hidden by a dinoflagellate host. Proceedings of the National Academy of Sciences, 201902538 (2019) DOI:10.1073/pnas.1902538116
<概要>本研究では、別の微生物の細胞に共生する海洋シアノバクテリアのゲノム配列を調べることにより、このシアノバクテリアが世界の海洋に広く分布するが、これまで「見逃されて」いた系統であることを示しました。 ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:稲葉一男)では、船舶による実験材料の採集及び、光学顕微鏡観察に関する支援を行いました。
プレスリリース(東北大学のサイト)
【光学顕微鏡支援:鍋倉淳一(生理学研究所)】[2019.05.16]
永井健治 教授(大阪大学)の論文が Scientific Reports に掲載されました
生物発光で複数マウスの脳活動を同時にライブ観察
Inagaki S., Agetsuma M., Ohara S., Iijima T., Yokota H., Wazawa T., Arai Y., Nagai T. Imaging local brain activity of multiple freely moving mice sharing the same environment. Sci Rep 9, 7460 (2019) DOI:10.1038/s41598-019-43897-x
<概要>本研究では、神経の電気シグナルを可視化する「生物発光膜電位センサー」を用いた脳活動ライブ計測法を開発することにより、生物発光をワイヤレスに検出し、従来困難であった複数マウスにおける同時計測を実現しました。この手法により、マウスが互いに接触した際に、一次視覚野の脳活動が上昇することを発見しました。ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:鍋倉淳一・揚妻正和)では、二光子顕微鏡を用いて、本研究で開発された生体イメージング手法の有用性を検証する実験に支援を行いました。
プレスリリース(大阪大学のサイト)
【電子顕微鏡支援:小池正人(順天堂大学)】[2019.05.10]
岡崎朋彦 助教(東京大学)の論文が Journal of Cell Science に掲載されました
Tanaka H., Okazaki T., Aoyama S., Yokota M., Koike M., Okada Y., Fujiki Y., Gotoh Y. Peroxisomes control mitochondrial dynamics and the mitochondrion-dependent apoptosis pathway . J Cell Sci, (2019) DOI:10.1242/jcs.224766
<概要>本研究では、ペルオキシソームが実はミトコンドリアを伸長させるミトコンドリア動態制御機能を持つことを明らかにしました。更にこの機能が破綻することでミトコンドリアが断片化し、ミトコンドリアを経由する細胞死誘導経路の異常活性化と、ストレス感受性の亢進が起こることも明らかにしました。 ABiS・電子顕微鏡支援(支援担当:小池正人)では、ペルオキシソーム欠損細胞におけるミトコンドリアの形態異常を観察する支援を行いました。
【光学顕微鏡支援:東山哲也(名古屋大学)】[2019.04.30]
野副朋子 専任講師(明治学院大学)の論文が Frontiers in Plant Science に掲載されました
Nozoye T., von Wirén N., Sato Y., Higashiyama T., Nakanishi H., Nishizawa N.K. Characterization of the Nicotianamine Exporter ENA1 in Rice. Frontiers in Plant Science 10, (2019) DOI:10.3389/fpls.2019.00502
<概要>本研究では、ニコチアナミン排出型トランスポーターENA1の細胞内局在等を調べることにより、ENA1は根の細胞膜とクロロプラスト等の細胞内小器官の間を小胞輸送により巡回していること、ENA1の機能が植物の鉄恒常性維持に関与している可能性を発見しました。ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:東山哲也・佐藤良勝)では、ニコチアナミン排出因子ENA1の局在に関する光学顕微鏡解析支援を行いました。
【電子顕微鏡支援:村田和義(生理学研究所)】[2019.01.22]
河合寿子 研究員(基礎生物学研究所 現:山形大学 助教)の論文が Journal of Biological Chemistry に掲載されました
Kubota-Kawai H., Burton-Smith R.N., Tokutsu R., Song C., Akimoto S., Yokono M., Ueno Y., Kim E., Watanabe A., Murata K., Minagawa J. Ten antenna proteins are associated with the core in the supramolecular organization of the photosystem I supercomplex in Chlamydomonas reinhardtii. J Biol Chem 294, 4304-4314 (2019) DOI:10.1074/jbc.RA118.006536
<概要>本研究では、緑藻が持つ光化学系I(PSI)と集光アンテナ(LHCI)との複合体構造解析を行い、PSIのPsaF/PsaFサブユニット側に8分子のLHCIが二層構造で結合し、PSIのPsaB側に2分子のLHCIが結合していることを明らかとしました。ABiS・電子顕微鏡支援(支援担当:村田和義)では、クライオ電子顕微鏡を使用して緑藻型PSI-LHCI複合体の単粒子構造解析支援を行いました。
【光学顕微鏡支援:東山哲也(名古屋大学)】[2018.11.28]
井川智子 准教授(千葉大学)の論文が Development に掲載されました
被子植物重複受精をコントロールする新因子の発見
〜120年来の謎 解明の手がかり〜
Takahashi T., Mori T., Ueda K., Yamada L., Nagahara S., Higashiyama T., Sawada H., Igawa T. The male gamete membrane protein DMP9/DAU2 is required for double fertilization in flowering plants. Development 145, (2018) DOI:10.1242/dev.170076
<概要>本研究では,被子植物の精細胞で発現するDMP9が新規の重複受精制御因子であること,さらに卵細胞との受精制御に関わることを明らかにしました。ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:東山哲也・佐藤良勝)では、重複受精におけるDMP9変異精細胞の動態を解析するために,共焦点顕微鏡を用いたタイムラプス観察を支援しました。
プレスリリース(千葉大学のサイト)
【光学顕微鏡支援:根本知己(北海道大学)】[2019.03.01]
高橋正行 准教授(北海道大学)の論文がExperimental Cell Research に掲載されました
Yamamoto K., Otomo K., Nemoto T., Ishihara S., Haga H., Nagasaki A., Murakami Y., Takahashi M. Differential contributions of nonmuscle myosin IIA and IIB to cytokinesis in human immortalized fibroblasts. Experimental cell research 376, 67-76 (2019) DOI:10.1016/j.yexcr.2019.01.020
<概要>本研究では、細胞質分裂におけるミオシンIIアイソフォーム(NMIIAとNMIIB)の役割を明らかにすることを目的とし、それぞれを特異的にノックダウンしたヒト不死化線維芽細胞の挙動をタイムラプスにより解析しました。その結果、NMIIAとNMIIBはそれぞれ分裂溝の収縮を加速および減速させる機能をもつことを見出しました。ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:根本知己)では、多点走査型2光子顕微鏡による3次元細胞イメージング支援を行いました。
【光学顕微鏡支援:東山哲也(名古屋大学)】[2019.01.28]
大崎雄樹 准教授(名古屋大学)の論文が Nature Communications に掲載されました
肝細胞の中の脂肪滴はストレスに対抗する機能を持つことが明らかに!
Soltysik K., Ohsaki Y., Tatematsu T., Cheng J., Fujimoto T. Nuclear lipid droplets derive from a lipoprotein precursor and regulate phosphatidylcholine synthesis. Nature communications 10, 473 (2019) DOI:10.1038/s41467-019-08411-x
<概要>本研究では肝癌由来細胞ならびにマウス肝細胞の形態的観察により、核内脂肪滴が小胞体内腔のリポプロテイン前駆体に由来して形成されること、核内脂肪滴ではphosphatidylcholine合成経路の律速酵素CCTalphaが活性化されることを見出しました。ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:東山哲也)では、肝癌由来細胞の核内脂肪滴の動態をタイムラプスイメージングにより解析する支援を行いました。
プレスリリース(名古屋大学のサイト)
【光学顕微鏡支援:東山哲也(名古屋大学)】【画像解析支援:檜垣匠(熊本大学)】[2019.01.15]
植田美那子 特任講師(名古屋大学)の論文が Proceedings of the National Academy of Sciences に掲載されました
Kimata Y., Kato T., Higaki T., Kurihara D., Yamada T., Segami S., Morita M.T., Maeshima M., Hasezawa S., Higashiyama T., Tasaka M., Ueda M. Polar vacuolar distribution is essential for accurate asymmetric division of Arabidopsis zygotes. Proc Natl Acad Sci U S A (2019) DOI:10.1073/pnas.1814160116
<概要>本研究では、シロイヌナズナの受精卵をライブイメージングすることにより、液胞の動態が受精卵の非対称分裂および植物のかたち作りに必須であることを発見しました。ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:東山哲也)では、二光子励起顕微鏡を使用して深部イメージングする支援を行いました。また、ABiS・画像解析支援(支援担当:檜垣匠)では、ライブイメージング像を定量化する支援を行いました。
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