成果発表(2019年)
【光学顕微鏡支援担当:松田道行(京都大学)】[2019.11.21]
伊藤秀明 助教(愛知医科大学)の論文が Oncogene に掲載されました
がん細胞が歩くメカニズムの一端を解明 ~癌の転移、浸潤制御の為の新たな治療標的として期待~
Ito H., Tsunoda T., Riku M., Inaguma S., Inoko A., Murakami H., Ikeda H., Matsuda M., Kasai K. Indispensable role of STIL in the regulation of cancer cell motility through the lamellipodial accumulation of ARHGEF7–PAK1 complex. Oncogene, (2019) DOI:10.1038/s41388-019-1115-9
<概要>本研究では、SCL/TAL1 Interrupting Locus (STIL)がARHGEF7、PAK1と複合体を形成し、これらRAC1活性因子の癌細胞先進部への集積と細胞骨格再構成、細胞運動能に必須であることを報告しました。ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:松田道行)では、Raichu-Rac1を用いた蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)解析実験での細胞イメージング支援を行いました。
【光学顕微鏡支援:東山哲也(名古屋大学)】[2019.10.11]
多喜正泰 特任准教授(名古屋大学)の論文が CHEMISTRY A European Journal に掲載されました
Griesbeck S., Michail E., Rauch F., Ogasawara H., Wang C., Sato Y., Edkins R.M., Zhang Z., Taki M., Lambert C., Yamaguchi S., Marder T.B. The Effect of Branching on the One- and Two-Photon Absorption, Cell Viability, and Localization of Cationic Triarylborane Chromophores with Dipolar versus Octupolar Charge Distributions for Cellular Imaging. Chemistry 25, 13164-13175 (2019) DOI:10.1002/chem.201902461
<概要>本研究では、ホウ素を含む種々の蛍光色素を開発し、双極子性の分子に比べて八重極性をもつ分子のほうが高い二光子吸収断面積をもつことを見出しました。ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:東山哲也・佐藤良勝)では、これらの色素を用いた二光子蛍光イメージングの観察について支援を行いました。
【光学顕微鏡支援:岡田康志(理化学研究所)・東山哲也(名古屋大学)】[2019.08.06]
多喜正泰 特任准教授(名古屋大学)の論文が Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America に掲載されました
細胞が生きたままでミトコンドリアの内膜構造が鮮明に見えた -ミトコンドリアの形態制御異常がもたらす神経変性疾患の診断技術や創薬開発ツールとして期待-
Wang C., Taki M., Sato Y., Tamura Y., Yaginuma H., Okada Y., Yamaguchi S. A photostable fluorescent marker for the superresolution live imaging of the dynamic structure of the mitochondrial cristae. Proc Natl Acad Sci U S A 116, 15817-15822 (2019) DOI:10.1073/pnas.1905924116
<概要>本研究では、光照射に対して極めて高い安定性を示すミトコンドリア染色剤MitoPB Yellowを開発しました。超解像STED顕微鏡で観察することにより、生きた細胞におけるクリステ構造を明瞭に可視化することに成功しました。 ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:岡田康志)では、Leica TCS SP8 STEDを使用し、ミトコンドリアの内膜と外膜の染め分けに関する支援を、ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:東山哲也、佐藤良勝)ではミトコンドリアの形態観察に関する支援を行いました。
プレスリリース(名古屋大学のサイト)
プレスリリース(理化学研究所のサイト)
プレスリリース(科学技術振興機構のサイト)
【光学顕微鏡支援:東山哲也(名古屋大学)】[2019.04.23]
多喜正泰 特任准教授(名古屋大学)の論文がChemical Scienceに掲載されました
Griesbeck S., Michail E., Wang C., Ogasawara H., Lorenzen S., Gerstner L., Zang T., Nitsch J., Sato Y., Bertermann R., Taki M., Lambert C., Yamaguchi S., Marder T.B. Tuning the pi-bridge of quadrupolar triarylborane chromophores for one- and two-photon excited fluorescence imaging of lysosomes in live cells. Chem Sci 10, 5405-5422 (2019) DOI:10.1039/c9sc00793h
<概要>本研究では、様々な四重極性をもつ蛍光色素を開発し、分子構造によって蛍光波長をチューニングできることを見出した。また、これらの蛍光色素は十分な耐光性を有しており、ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:東山哲也・佐藤良勝)では、細胞内への色素の取り込み過程、および二光子顕微鏡を用いた細胞内局在の観察について支援を行いました。
【光学顕微鏡支援担当:東山哲也(名古屋大学)】[2019.11.01]
高野博嘉 教授(熊本大学)の論文が the plant journal に掲載されました
Hashida Y., Takechi K., Abiru T., Yabe N., Nagase H., Hattori K., Takio S., Sato Y., Hasebe M., Tsukaya H., Takano H. Two ANGUSTIFOLIA genes regulate gametophore and sporophyte development in Physcomitrella patens. Plant J, (2019) DOI:10.1111/tpj.14592
<概要>本研究では、コケ植物のANGUSTIFOLIA遺伝子が、茎葉体の茎と胞子体の蒴柄(と足)の細胞の拡散伸長に関与していることを発見しました。ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:東山哲也、佐藤良勝)では、微小管配向に関する共焦点顕微鏡(LSM780; Zeiss)を使用した研究支援を行いました。
【光学顕微鏡支援:野中茂紀(基礎生物学研究所)】[2019.06.07]
能瀬聡直 教授(東京大学)の論文が Journal of neurogenetics に掲載されました
Fujiwara D., Iwahara N., Sebori R., Hosoda R., Shimohama S., Kuno A., Horio Y. Yoon Y., Park J., Taniguchi A., Kohsaka H., Nakae K., Nonaka S., Ishii S., Nose A. System level analysis of motor-related neural activities in larval Drosophila. J Neurogenet 33, 179-89 (2019) DOI:10.1080/01677063.2019.1605365
<概要>本研究は、光シート顕微鏡を用い、ショウジョウバエ幼虫の腹部神経節のほぼすべての神経細胞の活動を記録し、得られたデータを統計解析することにより、前進・後進などの幼虫の行動に対応した細胞集団の活動ダイナミクスを抽出することに成功しました。 ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:野中茂紀)では、光シート顕微鏡ez-DSLMを用いた活動測定の支援を行いました。
【光学顕微鏡支援:野中茂紀(基礎生物学研究所)】[2019.11.04]
磯谷綾子 准教授(奈良先端科学技術大学院大学)の論文が Development に掲載されました
Serizawa T., Isotani A., Matsumura T., Nakanishi K., Nonaka S., Shibata S., Ikawa M., Okano H. Developmental analyses of mouse embryos and adults using a non-overlapping tracing system for all three germ layers. Development 146(2019) DOI:10.1242/dev.174938
<概要>本研究では、初期胚を構成する三胚葉すべてを正確に同時可視化する新規モデルTRiCKマウスを作出、さらに同モデルの3次元網羅解析のため、独自の組織固定法および透明化法を開発しました。複数の細胞系譜が寄与する生命現象解明に対して強力な解析ツールとなることが期待されます。 ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:野中茂紀)では、光シート顕微鏡・各種画像解析ソフトを使用し、上記モデルの3次元解析に対する支援を行いました。
【光学顕微鏡支援担当:根本知己(北海道大学)】[2019.06.26]
堀尾嘉幸 教授(札幌医科大学)の論文が PLOS One に掲載されました
長寿遺伝子SIRT1(サーチュイン)が筋の細胞膜修復に働くことを発見!~筋ジストロフィー治療の研究に光明~
Fujiwara D., Iwahara N., Sebori R., Hosoda R., Shimohama S., Kuno A., Horio Y. SIRT1 deficiency interferes with membrane resealing after cell membrane injury. PLoS One 14, e0218329 (2019) DOI:10.1371/journal.pone.0218329
<概要>本研究は、骨格筋特異的SIRT1ノックアウトマウスでは骨格筋が脆弱であり筋ジストロフィー様の症状を示しました。その原因として筋細胞膜の膜修復が行われないことを見出した研究です。筋芽細胞や筋管細胞ではSIRT1を阻害したりノックダウンすると、細胞膜の修復が阻害されることを発見しました。 ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:根本知己・小林健太郎)では、NikonA1共焦点レーザー顕微鏡を使用し、Photo-activationを用いて、細胞膜に穴を開け開いた穴が修復される過程を観察する技術支援を行いました。
プレスリリース(札幌医科大学のサイト)
【光学顕微鏡支援:亀井保博 (基礎生物学研究所)】[2019.08.22]
西川周一 教授(新潟大学)の論文が Plant and Cell Physiology に掲載されました
植物の配偶体を用いた新たな遺伝子機能解析系を開発
Hwang D., Wada S., Takahashi A., Urawa H., Kamei Y., Nishikawa S.I. Development of a Heat-inducible Gene Expression System using Female Gametophytes of Arabidopsis thaliana. Plant Cell Physiol, (2019) DOI:10.1093/pcp/pcz148
<概要>本研究では、熱ショックによるCre-loxP部位特異的組換え誘導と、雌性配偶体特異的プロモーターを組み合わせて、シロイヌナズナの雌性配偶体を用いた遺伝子発現誘導系を構築しました。この実験系を用いて、雌性配偶体形成過程の極核融合に核内膜のSUNタンパク質が関与していることを明らかにしました。 ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:亀井保博)では、遺伝子発現誘導にIR-LEGO顕微鏡、また、発現観察のためにLeica TCS-SP8を使った研究支援を行いました。
プレスリリース(新潟大学のサイト)
【光学顕微鏡支援:東山哲也 (名古屋大学)】[2019.08.14]
西川周一 教授(新潟大学)の論文が Plant and Cell Physiology に掲載されました
Maruyama D., Higashiyama T., Endo T., Nishikawa S.I. Fertilization-Coupled Sperm Nuclear Fusion is Required for Normal Endosperm Nuclear Proliferation. Plant Cell Physiol, (2019) DOI:10.1093/pcp/pcz158
<概要>本研究では、シロイヌナズナ小胞体Hsp70システムに関する変異株が示す種子形成異常の原因を、受精後の胚乳形成過程のライブイメージング解析によって明らかにしました。解析の結果、中央細胞における受精時の精核融合欠損が、異常な胚乳核分裂を引き起こすことを明らかにしました。 ABiS・光学顕微鏡支援(支援担当:東山哲也)では、胚乳核分裂過程のライブイメージング解析の研究支援を行いました。
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