研究概要

RESEARCH 植物の運動機構と進化(1)オジギソウの早い運動機構

(真野弘明 研究員:大学院生募集中

オジギソウはダーウィンも研究していたほど運動で有名な植物です。多くの生理学的実験があり、葉の付け根にある葉沈で、水が背軸側から向軸側に移動することによって、葉が垂れ下がると考えられています。水の輸送は受動的輸送体であるアクアポリンによって担われていますが、受動的輸送によって、どうやって水はそんなに早く動かせるのかが謎で、それを説明するためにいくつかの仮説が提唱されてきました。しかし、非侵襲での実験が難しく確定的な答えは得られていません。

そこで、真野 研究員は極めて難しいと考えられていたオジギソウの形質転換に挑戦しました。そして、子葉節という子葉の付け根部分を用いると効率的に形質転換体が得られることがわかりました(Mano et al. 2014)。先述のドクダミでも子葉節を用いることで形質転換ができたことから、今後、多くの植物で同じ手法を用いることで形質転換体が効率的に作出できるようになることが期待できそうです。

Mano, H., Fujii, T., Sumikawa, N., Hiwatashi, Y., and Hasebe, M. (2014). Development of an Agrobacterium-Mediated Stable Transformation Method for the Sensitive Plant Mimosa pudica. PLoS One 9: e88611.

オジギソウの形質転換が可能になったので、真野 研究員は、運動時の細胞動態を、蛍光タンパク質で細胞や細胞骨格を可視化することでリアルタイムに観察できないか、挑戦中です。また、オジギソウがどうして動くのか、その適応的意義を調べるために、形質転換によって動かないオジギソウを作って動くオジギソウと比較する研究も計画しています。

オジギソウの運動