研究概要

RESEARCH 陸上植物の発生進化 (3) 偽花進化の分子機構

(菅谷友美 院生、真野弘明 研究員、玉田洋介 助教)

ドクダミの花は花弁を持たないが、花序の基部の4つの花の苞が花弁化し白く巨大化することによって、花序全体で一つの花のように見えます。このような偽花はどのように進化したのでしょうか。菅谷友美 院生は比較トランスクリプトーム解析などから、苞を花弁化し巨大化する遺伝子を明らかにしようと計画しています。

非モデル生物を解析する場合、遺伝子機能解析を行うために、形質転換系の確立が必要になります。そのためには、カルス誘導、カルスへのアグロバクテリア感染、そして、感染個体再生系の確立が必要です。菅谷友美 院生は真野弘明 研究員の助言のもと、子葉節を用いることで、高効率でドクダミを形質転換することに成功しました。しかし、形質転換ができても多くの非モデル植物は多年生で、開花に数年を要してしまいます。そこで、菅谷友美 院生はシロイヌナズナの花誘導を担う FLOWERING LOCUS T 遺伝子をドクダミで過剰発現させるという実験計画をたてました。私はそんなに簡単に花が咲くはずないと全く期待していませんでした。ところが、まるっきり予想外、菅谷友美 院生はみごとに数センチの植物体に花を咲かせてしまったのです。お見事。さて、今後の展開やいかに。

ドクダミの偽花(花序)