X染色体不活性化をモデルとしたヘテロクロマチン化維持機構の解明

研究代表者 小林 慎(国立研究開発法人 産業技術総合研究所)
研究協力者 遊佐 宏介(京都大学 ウイルス・再生医科学研究所)
眞貝 洋一(国立研究開発法人 理化学研究所 開拓研究本部)
X染色体不活性化をモデルとしたヘテロクロマチン化維持機構の解明

哺乳類の発生に必須なX染色体の不活性化(XCI)は、ヘテロクロマチン形成による遺伝子発現制御であり、エピジェネティックな現象を理解するための良いモデルである。我々が報告したFtx(Hosoi, Nat Commun.2018)と呼ばれる長いnon-coding RNA (lncRNA)はXistと同じくXCI制御に必須であり、エピジェネティックな制御にlncRNAが重要な役割を果たすことを示している。一方、XCI制御に関わるタンパク質は、Smchd1、Dnmt1、Spenなど少数が知られているに過ぎず、全貌の解明には程遠い。これまでに、独自に開発した、XCIライブイメージングシステム(Momiji システム)とCRISPR/Cas9ライブラリーを組み合わせ、不活性化の破綻を指標に、XCI制御タンパク因子を網羅的にスクリーニングした。本研究ではリストアップした遺伝子候補の解析から制御タンパクを同定し、制御の完全理解を目指す。その成果は、個体発生・細胞分化の理解のみならず、関連する様々な疾患の原因究明、新しい医療技術開発の基盤となりうる。

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