発生脳における計画的DNA切断によるクロマチン保護機構

研究代表者 見學 美根子(京都大学高等研究院 物質-細胞統合システム拠点)
連携研究者 笹沼 博之(東京都医学綜合研究所 基礎医科学研究分野)
発生脳における計画的DNA切断によるクロマチン保護機構

哺乳類脳神経回路を構成するニューロンは、基本的に置き換わることなく生涯維持されます。ニューロンは幹細胞期の分裂に伴うDNA複製、転写、神経活動で消費する大量のエネルギー生産に伴う酸化ストレスなど、様々な要因でDNA損傷を被ることが知られていますが、これらの損傷が致命的な変異とならないことが、神経回路機能の維持に極めて重要です。我々は、上記の内的ストレスに加え、脳発生におけるニューロン細胞運動に伴う機械的ストレスが、高頻度にDNA切断を誘発することを見出しました。生じたDNA切断は細胞死を招くことなく速やかに修復されることから、ニューロンはDNA切断を予め想定しており、頑強なDNA損傷修復機構で確実に修復する機構を実装していることが示唆されます。

本研究では、発生中のニューロン細胞運動により誘発されるDNA損傷と修復の分子機構を明らかにし、ニューロン固有のクロマチンポテンシャルを検証します。

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