シングルセル解析によるヒト精子エピゲノムプロフィール多様性の検討

研究代表者 岡田 由紀(東京大学 定量生命科学研究所)

*学術変革領域研究(A)が採択されたため、当領域での研究課題は2020年11月に中止となりました。

近年、親の遺伝子以外の情報が子に伝わるエピゲノム遺伝現象が注目されており、精子のエピゲノム異常が子の疾病リスクを増大させる可能性が示唆されています。一方で、生殖補助医療は近年目覚ましく発展・普及しており、特に顕微授精(精子を1匹選んで卵子に注入する)の割合は年々増加しています。しかし精子の選択は客観的指標が乏しい中で行われており、上述のエピゲノム遺伝現象を考慮すると、精子エピゲノムやクロマチン構造の「正常」を定義した上で、精子の品質評価に客観的な指標を確立することは急務であると考えます。

本研究ではマウス精子の研究から得られた精子残存ヒストンの知見をもとに、ヒトにおける「正常な精子クロマチン」を定義し、さらに個々の精子におけるクロマチン構造の多様性を定量的に評価することで、不妊治療における精子の「品質管理」に有用な知見を提供することを目指します。

図)ヒト精子の電顕像。

教科書的に「正常」な精子

教科書的に「正常」な精子(出典:Strickland “Reproductive system” in https://slideplayer.com)。

ヒト精液洗浄サンプル。バルク(集団)ではクロマチン状態を正確に評価できないことは一目瞭然です。

ヒト精液洗浄サンプル。バルク(集団)ではクロマチン状態を正確に評価できないことは一目瞭然です。

研究室ホームページ+
Top